passive log strage

バイク , モバイルガジェット , アウトドア用品 , 腕時計 ・・・等。

そうだ、ラジオを買おう

はじめに

車には大概カーナビかカーステレオ、古い車でも「カーラジオ」が付いている。 新車で車を買うときに、前の車のカーオーディオを移植したいとか、後から付けたい機種がある、等の理由が無い限り、大概の人はカーオーディオを選択する。そもそも、それは路側放送を受信するために1920kHzが受信できるAMラジオが必須だから、ともかく(ほぼ標準的に)車にラジオ1が付いている。

が、ほぼすべてのバイクはカーラジオを搭載できるようにはなっていないし、装備されていない。吊しの状態でラジオというか音楽を聴くことは出来ない。というか車体にラジオのスピーカーが付いてても(ほとんどのバイクでは)音が聞き取れないので、ヘルメットにスピーカーを仕込む必要がある。つまり車体だけの問題ではなくなっちゃう2。ということで、そもそもバイクでラジオを聴くことは前提になっていない。

で、日常使用ならともかく、特にキャンプツーリングだと出先でラジオを持っていた方が良いと思えてきた。なんとなくテント内で音楽が聴きたくなるって事はあるが、それに加えて最近は出先での「情報収集ツール」としての必要性を強く感じている。発端はもちろん、北海道胆振東部地震だ。

北海道で被災し停電で情報収集手段が減った従姉妹は「時々車に行って(カーオーディオのテレビを)見てた」とのことだった。自宅に電池式のラジオがなくても車にはカーオーディオ(ラジオテレビ)がある、というのが今の日本だと「フツー」みたいだ。

情報収集ツールとしてのラジオ(放送波受信機)の利点

現代の日本ではスマホで情報収集は「フツー」としても、未だにラジオ(受信機)には見逃せない長所がある。そして短所も。

「流しっぱなし」にできる

スマホワンセグチューナーやFMチューナーが付いたモデルもあるが、それとは別にラジオを持っておくことの利点は大きい。

傾向として、ラジオ受信機(以下「ラジオ」で統一)は、市販のコンパクトなものであれば、単三または単四電池が2本から1本で駆動でき、連続駆動時間が短いタイプでもだいたい10時間程度はいけるようだ。 電池の本数とサイズはそのまま稼働時間とのトレードオフだが、スマホでストリーミングを流しっぱなしにするぐらいなら、何か作業しつつ「ながら聞き」して、そこで何か状況の変化を察知したらスマホで詳細を調べるという運用の方がスマホのバッテリー節約になる。

電池の数とサイズは稼働時間とのトレードオフになるが、いざって時になるべくスマホを使えるようにしておくのは有効だろう。機器分散による冗長性の向上にもなる。

放送エリアの「広さ」

ラジオ放送の放送範囲は、AM放送かFM放送か、送信所の出力と送信点の高さ、地形等条件によってまちまちだが、AM放送であれば数10kmは到達する。さらにエリア補完のため中継所を設置している局もあり、カバー単位は例えば「愛知県域」とか「東海地方」といったレベルの広さになる。FM放送もAMほどではないにしろカバー範囲は広い。すくなくとも地上波デジタルTV放送よりは到達距離が長い。

災害時、NHKはTV放送・FMラジオ放送・AMラジオ放送で同じ音声を送信する「音声サイマル放送」を行うことがあり(自分が覚えている範囲では阪神淡路大震災ではそうだった)、これを踏まえると「ラジオよりも地上波デジタルTVのワンセグの方が情報の質が極端に良い」ということもないだろう。つまり「TVじゃなくちゃダメ」と言える要素が見つからない。 (こう言い切れてしまうのは自分がテレビを積極的に視る習慣が無いからかもしれないが)

放送エリアの「狭さ」

FMのコミュニティ放送など地域密着型放送局は送信出力も低く、狭い範囲でしかカバーできない。 これは欠点だが、逆にこれを逆手にとって、狭い範囲の情報をそれこそ地域密着的な感じで情報提供している。

防災の面から地方自治体がコミュニティFMを運営(第三セクターもあり)する例もあり、これらは(小規模すぎて3)IPサイマル放送を行っていない局もあり、「スマホPCだけでは無理、ラジオ受信機が必要」。

変調方式はデファクトスタンダード、当分は「変わらない」

地上TV放送は、アナログからデジタルに移行し、2018年現在はほぼデジタル化して4Kだと8Kだのと高附加価値へと進んでいるが、日本国内のラジオ放送に関しては「AMステレオ放送」は終わったし「みえるラジオ」も終了した。IPサイマル放送(「radiko.jp」や「らじる☆らじる」)は放送波に流す音声をIPストリーミングへ置き換えるってことで厳密な意味で「ラジオ放送」とは言えないし、FMワイド補完放送は「AM放送(中波)帯の都市部のノイズ対策として、地上アナログTV放送の周波数帯(FMラジオ放送に隣接)にAM放送の内容をそのまま流す」という点では良い利用法だが発展的といえるかといえば微妙。 放送波を使用する「デジタルラジオ放送」として「i-dio」があるが、エリア展開はまだ狭いし、チューナーの普及の見込みは当分無さそうなので、「まだまだ」という印象をうけた4

結局の所、「AM/FMラジオ」としては今までのものがずっと「変わらず」継続して広く利用されているが、当分このラジオの方式は「変わらない」と思われる。

AM放送もFM放送も(短波放送帯のAM/SSBもあるけど)世界標準的な方式であって、今更新しい方式に切り替えていくことは難しいだろう。周波数帯は国や地域で多少前後するものの、日本のAMラジオを海外に持って行ってまったく使えないってことは無い5。それだけ世界中に普及し、歴史が古い。

まぁ、「変わらない」というより普及しまくった結果「変えられない」と表現した方が正しいかもしれないが・・・。

だから、昔のアナログTVが現在使えなくなっているのとは違い、今後、当分は今使っているラジオを使いつづけることができるだろうと思っている。

しかし・・・

以下は欠点というより、「過信してはいけない」という点になる。

ノイズ

都市部の、様々な装置や、我々の普段持ち歩いている機器から発せられるノイズは、特にAMラジオ(中波)や短波ラジオの受信状況に影響を与えやすい。 ノイズ源は至る所にあって、影響の与え方もいろいろあるのでここではもう言及しないが、都市部ほどAMラジオの受信状況は良くない。 じゃぁ、今更様々な機器の使用をやめるか?というとそういう訳にはいかないので、もう諦めるしかない。 せっかくFMワイド補完放送も始まって、FMワイド対応したラジオも増えてきたんで、そっちを使おう。

まぁ、郊外のキャンプ場とかはノイズ源は少ないはずなんで、そういう意味ではまだまだ活用するシーンは多いんじゃないかと。

「全国どこでも」という訳ではない

『 放送エリアの「広さ」 』でエリアの広さを長所としてあげた、が、それでもやっぱり「絶対にどこでもラジオが入る」という訳じゃない。平野部と都市部はかなりカバーされているが、山間部で厳しいところが出てくる。 登山家向けにAM/FM/短波放送対応のポータブルラジオがソニーから発売されてる(た)が、逆に言えば標高の高い山の上では「短波しか入らない(入りにくい)」可能性があるということだ。

電波を利用した仕組みの宿命で、想定よりも飛ばないことがありえる。逆に想定よりも飛んでしまう(異常伝搬)こともあるのだけど。いや、もうこれは「電波だから仕方が無い」。

エリアで言えば、例えば面積の広い北海道とかはなかなか厳しそうだ。 下記はHBC(北海道放送)のエリア図だ。

HBC北海道放送 サービスエリア

海沿いはまだしも、内陸部はエリア外になっている。

岐阜の山間部でも似たようなもので、先日バイク屋主催のツーリングで新平湯温泉郷に泊まったのだけど、旅館の部屋ではメジャーな局は入感せずAMは全滅、中継局経由で辛うじてHit'sFM(飛騨流葉中継局)の1局が入っただけだった。

場所によっては局も入感しない、なんてことも十分あり得る。

ツーリング向きなラジオとは?

ということで、バイクでのツーリング向きのラジオを探してみる。

  • FM放送・AM放送対応。
  • ツーリング中の情報収集。
    • 走行中に聴くことは難しいので、休憩中や宿泊先で使う前提となる。
    • キャンプで使うことも考慮に入れるとイヤホンだけでなくスピーカー出力も欲しい。
    • 走行中では無理だが、念のため路側放送(ハイウェイラジオつまり1620kHz)も入ること。
  • 小さいこと。軽いこと。
    • SONYが言うところの「ライターサイズ」とか「名刺サイズ」。
  • 誤操作が少ないこと。大げさな意味ではなくバッグのなかで電源が入らない、程度でいい。
  • 乾電池単四または単三で駆動すること。
  • アナログチューニングでもいいけど今時はやっぱデジタルチューニングが良いな。
  • 価格:1万円以内。

ざっと挙げるとこんなところか。

本当は・・・

  • 防水が欲しい。
  • 短波も受信したい。

だが、これらは本体サイズが大きくなったり予算オーバーだったり電池本数が増えたりと難しい。 短波に関してはポータブルラジオとしてって事じゃなく、BCLラジオ6を別に用意する方針でいこう。

路側放送(1620kHz)については、都市部や幹線沿いなら、停車して受信できる可能性がある。高速バスでの移動中に聞くこともできるし(できたらどうなんだってのは置いといて)。

自分がここまで路側放送にこだわる理由は、路側放送(ハイウェイラジオ)は更新間隔が10分でそれなりに細かく、内容も『追い越しレーンが規制』など有益な情報が多いからだ。

さて、何を買ったのでしょうか、と。

次回に続く。


  1. 今こそ「カーナビ」っていうか「カーオーディオ」が普通だけど、最廉価グレードオプション無しだと「カーラジオ(AM/FM)」だったり「カーラジオ(AMのみ)」なんてのもあったんやで?

  2. はい、「ほとんどの」と断っているとおり、ゴールドウィングやらハーレーやらならカーオーディオ付けられますよね。しかも1DINの奴。そういうバイクを買えませんが。

  3. 防災が主目的の自治コミュニティFM放送局は、運用コスト低減のため、平時は昼間数時間のみ放送しそれ以外停波(非常時にむけ待機)とか、毎週水曜日のみ放送する、という局すらある。

  4. 実は・・・モニター応募期間にi-dioのチューナーを入手して使ったことがあるんだけど、あまりにも使い勝手が悪くて放置してたりする。ラジオが聴きたいだけなのにスマホを使わなきゃいかんとかお手軽じゃない。

  5. 忘れてたけど、国内だとAMラジオのステップは9kHzなのに対し、海外では10kHzの国があるため、選局できない放送局がありえる。なので厳密にいえば『絶対に使える』とは言えない点に注意。変調方式は同じだけどね。

  6. ・・・いや、実のところ、BCLラジオ持ってるんですけどね・・・