passive log strage

バイク , モバイルガジェット , アウトドア用品 , 腕時計 ・・・等。

KENTEX MOTO-R S787X-01

KENTEX MOTO-R

f:id:obally:20190131205226j:plain

出資しました

この時計を初めて知ったのは、MOTO-Rシリーズがクラウドファンディングサイト「Makuake」にて『期日前に目標達成』し、「追加80本の応募を開始した」という情報がTwitterのTLに流れてきてからだ。

それまではこのプロジェクトが存在することも知らなかったし、Kentexというメーカー自体も、さらに、そもそも国内に多数の腕時計メーカーが有ることすら知るよしも無かった。

このため、自分が「支援」したのは、製品化がすでに決定したあとのブームに乗っかった、言ってみればニワカであり、クラウドファンディングを行うモチベーションの『MOTO-Rに将来性を感じた』とか『Kentexが好きだから』といった理由では無いことをあらかじめ断っておく。

「ライダー専用腕時計」

公式サイトで開発された経緯を読むと、超絶要約するとこうなった。

「KENTEXの愛用者はバイク乗りが多い ⇒ ならいっそ 最高にライダー向けなライダー専用時計 作ろうぜ!」

「週刊バイクTV」に出てる 末飛登 氏(この方自体の存在は知っていた1)が関わっていたとか、そういった話も公式サイトで知ったぐらいのもの。そもそも、自分はバイク関連の情報に対してのアンテナ感度は低いので、TL上でたまたまタイミング良く見つけて知ることが出来たのは幸運だったと思う。

デザインコンセプト

デザインについては、ベゼルが(公式曰く)ペータルディスク風2になっていたりとか、文字盤がウェットカーボンとか、太めのロゴとか、日常生活で常用するには正直「ちょっとゴテついた」感がある(※あくまで個人の感想です)。でも「バイク乗るとき専用」と考えるならまったく気にならなくなる。ヘルメットを始めライディングウェア(グローブ・ジャケット・シューズ等)はバイクの外装の一部であると考えているため、それがバイクのイメージに合っている3ならゴテゴテなのは嫌いじゃ無いしむしろ大好き4(結局好きなのかよ)。

「ライダー専用」なのだから、バイクに乗るとき以外を考える必要は無い。まぁこの辺は好みの話になってくるから、みんな勝手に好きにすればいいんじゃない?って話だけど。

選択したカラーはレッド。バイク業界において黒と赤は無難カラーですよと(というか青はSUZUKIかYAMAHA、グリーンは言わずもがなで、その・・・)

機能面

Makuakeの「ストーリー」には

これまでなかった、バイクライダーのために設計・開発されたスポーツウォッチ。

との記載がある。が、過去に、(デザインだけではなく)機能面で「ライダー向け」な腕時計が全く無かった訳ではない(とはいえそれらがゼロベースで起こした物があるのかは自分は知らない)。特に「バイク向き」とされるのが、ダイヤル(文字盤)が時計回り方向に傾いた もの。

これについては、以前自分で「本当にその方が良いのか」を思考実験・試したことがあったが、自分自身の結論としては「別に無理に傾ける必要ない」というものだった(ここに書くにはちょっと長すぎるので、気が向いたら記事にしてみる予定)。

MOTO-Rシリーズには「ショックディテクション機能」が搭載されている。衝撃に強度・構造的に耐える「ショックプルーフ」ではなく、衝撃を検知したら緩衝処理を行うということらしい。

「ショックプルーフ」なら、各ギアを頑丈なものにするとか、歯数を減らして一つ一つの歯を太くするとか、緩衝材を入れて衝撃そのものを吸収する(G-SHOCKの基本設計思想はコレ)などが考えられる(※あくまで素人の想像です)が、小型化が難しくなるはずだ。

以下公式から引用。

MOTO-Rの開発の重要ポイントは、振動・衝撃を感知して補正する“ショックディテクションIC”を搭載した、新設計のムーブメントです。 振動・衝撃を感知して電流量を調整するICセンサーが、振動・衝撃発生時に、歯車の動力源となるステップモーターの動きを制御することで、歯車の動きが調整され、強い衝撃でも針飛びが抑制されます。これにより、時計内部から耐振性・耐衝撃性能が格段にアップしました。

『ステップモーターに流れる電流量を調整」というのは、『ギアに掛かるトルクをある程度緩めることでギアをフリー(バックラッシ分ぐらい)にして、歯どうしがブチ当たって歯欠けしたりするのを防ぐ』 という事5 じゃないかなぁ~ と思われる(※あくまで素人の想像)。が、これ以上のことは解らないし調べる気も無いしで深く考えるのはやめる。第一、これがあったとしても転けたりしないかぎり実感できないだろうしね。

自分はクロノグラフモデルの 「787X」系を選択したが、機能面よりデザイン的な趣味(ゴテゴテ好き)の意味合いが強いので、あまり多く語れないw

あとは、防水か。10気圧防水。ちょっとした雨なら5気圧防水でもなんとかなるかもしれないが、走行中のゲリラ豪雨などを考えるとやっぱりそれなりに強い方が安心。100m防水(潜水防水)までは必要ないだろう。必要になるとしたら、コーナーでスッ飛んで川に落ちたぐらいだな。・・・・それもう時計がどうこうとかそういう問題じゃねぇな

出資してから届くまで

クラウドファンディング自体利用することは初めてなので最初は迷ったものの、Makuakeは日本語ネイティブなサイトなので「いざとなればメールで問い合わせれば良いか」という安心感はある。

  • 2018/10/15:出資。クロノグラフモデル<シルバー>、同交換用バリスティックナイロンベルト
  • 2018/10/31:受付期間終了。
  • 2019/01/29:到着! 予想以上に早かった。クロノを弄っていたらリセット時にクロノ分針・クロノ秒針がちょっとづつ後ろにずれる不具合を発見。
  • 2019/02/01:東京に行くタイミングだったので上野のKENTEXブティックに寄る。交換対応。
  • 2019/02/02:やはり再度発生。
  • 2019/02/19:KENTEXブティックに預ける。どうも組み付け時に針の固定が緩いロットがあったらしい。
  • 2019/03/09:KENTEXブティックより引き取り。以降トラブル発生無し。

初期不具合はあったものの、スタッフさんには丁寧に対応していただいた。この辺はさすがに小回りのきく国内メーカーだし、直営店っていう「駆け込み寺」があるのは安心感が違う。日曜日はお休みなんだけどね・・・。

ともかく、これ以降トラブルも無く、NM4で走りに出る時に必ず付けているという状況。

レビュー的なモノ

バイク専用として購入したモノなのでバイクに乗らないとレビューできないよ~ということで、この記事を書くまで2ヶ月かかってる。

重量サイズ感

重さは感じない。日常用に使っている時計(SEIKO SSC419P1)とほぼ同じか下手すると軽いかもしれない。サイズ感も同じ。ベゼルがある分、見た目的に内側に収束しているような感覚。

レフティ

レフティ、つまり、リュウズやボタンがケースの左側についている。

元々は左利きの人が右腕に付けたときに、つけたままリュウズ操作がしやすいようにそうなっているようだが、これを左腕に付けた場合は手首をそらせたときに手の甲に接触しないため、ボタンの誤操作を防げるという利点がある。 さらにバイクの場合、グローブの裾に干渉しないというもあり、ライダー向けとしてこれを採用したということだが、これは大正解だと思う。 ボタンもリュウズと同様左側だが、操作するなら右手の親指(スタートストップ4時位置)と人差し指(リセット10時位置)でできるので問題ない。

というか・・・

・・・そもそも論だけど、リュウズ操作をするのに、腕に装着しながら操作する?大体外して操作すると思うんだけど。

クロノのボタンも右側の方が逆に押しにくいと思うんだが、なんで右側に付いてんだろうか?スタートストップは親指で押した方が絶対に押しやすいと思うんだが・・・。

バリスティックナイロンバンド(オプション)

実のところ、今回支援を行った動機のかなり大きな部分を占めていたりするのがこのオプションの専用バリスティックナイロンバンド。自分はこのバンドが無ければ支援しなかったかもしれない、というぐらい。 この手の「ウェアのウエアから巻くバンド」というのは、ありそうで実は見つからなかったものだ。 単純に長い時計バンドというものが極端に少ないというものあるが、自分が探した中ではミリタリーウオッチ向けのロングバンドは薄かったり細かったりして心許ないものだったし、バイクウェアの腕周りほど太い径に巻くことは想定されていない6

その点、このバンドは分厚く固めだが、千切れるなんて事はそうそう考えられないシッカリ感がある。 ライディングウェアの上から巻くことが前提なので、かなり巻き径の大きいバンドになっている。このため、レザージャケット程度であれば上から巻いて使用することができる。夏用のジャケットであればほぼ選ばず対応可能だろう。ただし、N3-Bみたいに完全防寒用のコートの腕周りは厳しそう。

f:id:obally:20190413150501j:plain
装着例

留め具(尾錠)は無く、折り返しのマジックテープだがかなりしっかり留まる。折り返し金具の幅もタイトに作られており、スルスル抜けてしまうようなことが無い。付け外しも早いので、休憩時にウェアを脱ぎたい時にも楽。というか、手首に付ける普通の時計だと、ウェアを脱ぎ着するときに引っかかってうっとおしいが、それも無い。

f:id:obally:20190310164025j:plain

2mmのヘキサがあれば簡単に交換できるので、標準バンドとナイロンバンドは頻繁に交換すること前提での設計。標準のレザー・ウレタン複合バンドの質感もかなり良い。のだが、自分はもうナイロンバンドを付けっぱなしにしている。使い始めたら正直コレ以外は考えられない。

袖周りがタイトなレザージャケットを愛用している人には絶対にこちらをオススメしたい。マジで。超快適だから。

自分は普段(このブログでも)何かを人に勧めたりすることは無い、という事に留意していただくと、俺の感動具合がおわかりいただけるだろうか?

メカ感

クロノボタンの感触。

腕時計のボタンの感触というと「カチッ」とか「プチッ」とか「グニッ」とか「フニッ」とか、まぁ、いろいろ有るんじゃ無いかと思う。

この時計のスタートストップボタンは「(ぐっ)カカッ!」だ。

ボタンのストロークは深めで、ある一定の所まではバネっぽい押込みが「ぐっ」とかかるが、一定の所まで行くとカチッというかプチッとしたクリック感があるが、それが2連続(二段階)に発生する。そのときに「カカッ!」といった感じの感触になる。ところが「2連続っぽくならない場合もある」。

具体的に例える物が思いつかないんだよなぁ。でも、昔の工業機械のモーターの開始・停止ボタンがこんな感じなんじゃ無いかと想像する。ワンストロークで二つの機械式接点をまとめて押し下げているような。ストップは「フニッ」って感じでクリック感が全くないのでさみしい。

リセットボタンだと「(ぐっ)キン!」という感じ。 空打ち(スタートしてない状態で押す)だと「フニッ」で終わる。スタートストップとリセットはシーソーみたいな機構で繋がってるんだろう。リセット時のクロノの動きを見ると、クロノ分針がステップモーターでスーッと戻すような動きでは無く、スプリングで一気にビョン!と0位置までもどしているような、機械式みたいな動きをする。

ともかく、このスタートボタンとリセットボタンの感触が気持ち良くて、机に置いておいてもなんとなく手に取って、無駄にスタートストップリセットを繰り返してしまう。バッテリーの無駄だと解りつつも、なんとなくやってしまう。そしてニヤニヤする我ながらキモい

f:id:obally:20190131205420j:plain

気持ちいいといえば、リュウズガードの角の部分。

ステン削り出しのなめらかなボディなのに、リュウズガードが出ている部分が四角く出ているんだけど、それ自体はバフ掛けされていてなめらか。その角の部分の感触が良いんだよね。全体的に角の鋭角がきれいにRに面取されていて触っていると気持ちいい。「ステンの塊」感。

角といえば、裏蓋に施されたフューエルリッドの彫刻の角もいい。ケースの角とは逆に「CNC旋盤で削り出した直後」みたいな角が立った感じ。「新製品」感。この時計のスペックが文字で彫り込まれているが情報量が多い。電池型式「BATTERY SR927W」とかは交換の時に参考になるけど、バンドの幅「BAND WIDTH 24mm」とか必要?w その割にラグ幅(18mm)が載ってないのも謎w

なんだろう、この節だけ読むと、俺なんか変態みたいだな。

・・・感触を言葉で表現するのって難しいね!

バイクの「イメージ」

ケースとベゼルの間に挟まっているゴムパッキンリング。

普通の時計であればベゼルの縁を伸ばして、ゴム部分を隠すようなデザインになるんじゃないかと思う。これが見えている、というか意図的に見せているんだろうけど、なんとなくこれがフォークシールやシリンダーガスケットなどのバイクの樹脂部品を連想させる。「しっかり密封してまっせ!」とか「ああ、定期的に交換しなきゃなぁ」っていう感じ。

例えば、ダイヤル(文字盤)をメーターに見立てるとか、レバーなどの操作系をデザインに取り入れるのは 時計では極ありふれている。車とかバイクに「乗る人」に訴求するデザイン。

MOTO-Rのデザインって、バイクをある程度弄ってる人(清掃とかそういうレベルでも各部のパーツの確認をしたりするだろう)に対して訴求するデザインなんじゃないだろうか?と、ふと思う。なんというか「解ってるなぁ」と思う。デザインした人はバイク好きなんだろうなぁ、と思う。

全体的に「メカメカしい」もっというと「バイクバイクしい」(?)。こういうのが好きな人は好きだと思う・・・俺のことか。

「専用」って、いいよね。

ということで、「バイク専用」として、日常生活ではまったく装着せず、バイクに乗るときだけ付けている。 公式サイトには「普段使いにもお使いいただける」みたいな事は書いてあるし、まぁ使えなくは無いんだけど、なんというか「もったいない感」が出てくる。それは「使うことで消耗するのがもったいない」とかではなく「バイク専用なんだからもっとバイクに乗るときに使わなきゃもったいない」という感覚だ。

ランチアストラトスは史上初の「(モノ)パーパスビルドカー」と呼ばれる。

「市販車だけどこれレース用だから、ホモロゲ通すために市販してるだけだから。それ以外想定してないから知らんよ?」

という、『いや、そんなんええんか?』という話だが。

MOTO-Rに関してもそんな雰囲気がする。「(モノ)パーパスビルドウォッチ」とでも表現すべきか。もちろん開発者がそうだとは言ってなくて(ストラトスだってメーカーがそう言ったかどうかは?)、俺がそんな気がするってだけの話だが。
日常生活で使えなくは無いし、今で言えばほとんどの人が「ダイバーズウオッチ」7を日常生活で使っているのと通じるかもしれない。
それはストラトスで温泉旅館に泊まりに行くよりはずっと普通に使えるとは思う。でもやっぱり、「使うべき時に使う時計」なんじゃないか、と。

言うなれば、とっておき の時計。

そういうのも良いんじゃない?ってことで。
この時計を調べるにあたって、KENTEXだけでなく国内には知らなかった腕時計メーカーがあることを知ったし、もっといろんな時計が気になってきた。

沼る?


  1. むしろ末飛登さんがミュージシャンだったということをこの公式サイトで知ったわけだが。ずっとバイク関係のライターかプロレスラー(名前的に)あたりだと思ってたw

  2. 自分としては12角形がペータルディスクって感じはしない。ペータルディスクなら歯車型というか回転ノコギリ歯型のイメージだが、さすがにそれはあぶなっかしすぎるからこの形に落ち着いたんだろう。

  3. そういう意味もあって、自分は『原則1バイクごとに1ヘルメット』で運用している。NM4-02にはSHOEI NEOTEC(マットブラック)、FirestormにはArai ラパイド(レオングレー)。極端な話、「ホンダ車にSUZUKIのロゴ入ったジャケット着るのどうよ?」ということだが、ウェアに関してはレザージャケットとデニム(風)パンツが万能過ぎてバイクごとにそろえる必要が今のところ無い。

  4. 例えば、クラシカルなバイクに乗ることになったら、流石にちょっと考えるかもしれない。最近多い「ネオクラシカル」ならMOTO-Rでも全然イケる印象だな。

  5. 回転するギア(歯車)どうしが噛み合って針を動かす動力を伝えている訳だが、時計の歯車は非常に薄く小さく細かい歯なので、回すトルク(回転力)が想定以上に大きくなると破損するだろう。衝撃が加わると、その方向によっては設計想定より大きくなる可能性があるだろう、と(※あくまで素人ですんで詳しい話知ってる人いたらコメントくれたらうれしいな~、なんて)。

  6. ミリタリー関連については疎いが、ライディングウェアのような分厚くて固い袖の上に付ける前提じゃないと思う。

  7. 『ダイバーズ』と名乗るためには、JISやISOで定められた防水性・耐磁製・耐衝撃性・機能性を持たなければならない。普段使いにはオーバースペックでも、その「規格をクリアしている時計」を持っているという事に価値を見いだす。まぁブランドみたいなモノかもしれない。