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SEIKO 5 Sports SKZ211J1

ツッコミを入れたいがために購入するという、おそらく今後は無いであろう購入理由。

これはネタか?

車とかバイクが欲しくなる理由は人により様々だと思う。自分の場合、バイクについては圧倒的に「一目惚れ」が多い。

時計だとどうだろうか。

俺はこの時計をネットで見つけたとき、

「これはネタなのかマジなのか」

と割とマジで悩み、そして結局購入した。

自分にはこの腕時計が「ツッコんでくれ!」と叫んでいるように見えた・・・のかもしれない。

SEIKO 5 Sports SKZ211J1 「BlackAtlas」

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Amazonにて 21,200円にて購入。(最近見たら値段下がってやんの)

カラーバリエーションはブルーダイヤルの「SKZ209」、ホワイトダイヤルの「SKZ207」が存在する。

ニックネームは「BlackAtlas」。このシリーズは他にも「Gadget」「LandShark」というのもある。この時計の雰囲気としてはGadget(ガジェット)というのはわりと的を射ているような気がするが、Atlasの方がメジャーっぽいのでここでは以後「BlackAtlas」と呼ぶ。Blackと付くのはもちろんダイヤルカラーから。カラーバリエーションの違いで「BlueAtlas」「WhiteAtlas」になる。ネット上で言及されるのはブルーとブラックが圧倒的に多い。

末尾は 「J1」「JC」(国産)と「K1」(海外製)いろいろがあるようだが、どうも情報が錯綜気味ではっきりした事がよくわからない。SEIKOのリファレンスNoは本体に記載されていない1が、裏蓋に「Made in Japan」が刻印されているのでこれは「J1」または「JC」であろうことは間違いないだろう。

このシリーズにはダイバーのような逆回転防止ベゼルに加えて内転式リングの2つの回転ベゼルが載っており、今まで探した(後継モデル以外)モデルにも存在しないこのシリーズの最大の特徴になっている。 後継モデルの「SKZ221」「SKZ229」「SKZ2251」「SKZ231」は二重回転ベゼルは同じだが、機能は異なる(後述)。

ダイヤル、針

f:id:obally:20190608220018j:plain ブラックにホワイトのインデックス、針はイエロー(notゴールド)でコントラストが高く視認性が最高に良い。 高級感が無く玩具っぽくはあるものの、黒・白・黄の配色からなかなかタフな印象を受ける。 時針はバトン針、分針と秒針はアロー。アローの先端から細い針が伸びている。伸びた先端は秒目盛にキッチリ届いている。アナログ時計は針が短いモノが多いが、時計としての視認性を考えれば針は長い方が好みだ。

蛍光の盛りは薄くムラが目立つ。よく見ると「12」の「2」の折り返しの所だとか「6」「9」の線が繋がる部分が薄くなっている。当然他のダイバーズのように明るくはないし持続時間も短いが、それなりに見れる範囲だろう。

デザインに関して自分のお子様的感性に従ったストレートな感想を述べると、すげー格好いい。すなわち、「子供っぽいかっこよさ」である。

ケース

f:id:obally:20190608220352j:plain 4時位置のリュウズと9時位置の内転リングのリュウズにはリュウズガードが付いている。4時位置側はTurtleと同じようにケースに埋没するような形だが、9時位置は飛び出すような形で左右非対称になっている。9時位置側のリュウズガードの上面にリベットらしきものがあるが、これはどうやら装飾っぽい。

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この時計のケースの表面仕上げは変則的だ。

  • ラグ足上面:ヘアライン
  • ラグ内側:ポリッシュ
  • 側面:マット
  • 裏面・裏蓋:ポリッシュ

腕の皮膚に当たる部分はスムーズなポリッシュで統一されているのはダイバーズと同じだが、この時計は3面で仕上げを変えている。目立つ側面のリュウズガード付近がマットなのは形状が複雑なため研磨コストを嫌ったためだろうか。
マットとポリッシュだけだと仕上げ面の継ぎ目で「急に仕上げが変わる」感じになってしまうが、間にクッションとしてヘアラインが入ることで全体的に違和感が少ない。
マット仕上げの時計って珍しいのでは?ミリタリー系では見かけるけど。

Cal. 7S36

普通のSEIKO5に付いている安いムーブメントで、手巻きも秒針ハックも無いデイデイト。 「巻き上げが軽くて効率がすごぶる良い」というのがこのキャリパーの評価・・・らしいのだが、たしかにローターの回りは早いので巻き上げは良さそうだ。SEIKOのムーブメントの系譜を書いたサイトがどっかに有ったと思うが、それをサラッと読んだ記憶では「7S系を改良して6R系になった」ということだったと思う。キャリパーの採番もおそらく何か法則性はあるんだろうが、無いようにも思えるな。

ねじ込み式リュウズを完全に緩めた状態(他のセイコーカニカルダイバーズと同様バネでポップアップする)を0段としたとき、

  • 0段引き:フリー(手巻き無し)
  • 1段引き:カレンダー送り(日→時計回り、曜→反時計回り)
  • 2段引き:時分針送り(時計回り、秒針規制無し)

手巻きが無いため、巻き上げは時計本体を水平に振って自動巻きローターを回してやることで行う。自動巻きであればどれも同じだが、ダイバーズのようにねじ込み式リュウズの場合はねじを緩めたり締めたりするのが面倒なので、巻き上げだけの時はMM200やTurtleでもこれをよくやる。

バックハッキング(back hacking)

SEIKO5はこれで3本目だが、「back hacking」というものを最近知った。

7S系は秒針規制(秒針ハック)が無いため、2段引きしても秒針は進み続けるし、それに伴って分針時針も進む。しかし、リュウズを逆回しすることで秒針や分針時針を逆方向に(無理矢理)進めることができる。

以下は、一応の方法だが、本当にこれで良いのか、ムーブメントにダメージを与えない方法なのか確証はとれていないため、自己責任で。

  1. 2段引きの状態でちょっとだけ反時計回りに回すと、分針と秒針がちょっとだけ戻ろう(逆回転)とする。
  2. リュウズに掛ける力を緩めると、また時計回り(正方向)に進む。
  3. リュウズを反時計回りに回して戻ろうとする力と、ゼンマイが秒針を進めようとする力が釣り合っているとき、時分秒針が静止状態になる。
    1. 場合によっては手を離しても静止状態が保たれることがあるが、条件はよくわからない。
    2. 手を離しても静止したままの場合、ちょっと正方向に回すか、リュウズを押して0段まで戻すと正回転を再開する。

リュウズを逆回転させるとき一気に回してはいけない。感覚的なモノだが「1秒間に0.2mmづつ」ぐらいの感じでジワりと回すと進んでいる秒針の速度が低下、遅れていき、やがて静止状態になる。さらにリュウズに逆回転させる力を強めていくと、秒針と時針分針が逆走しはじめる。

この「静止状態」を利用する。

  1. 設定目標の5分前ぐらいに分針を合わせる。
  2. 前述の方法で時計の秒針を無理矢理「静止状態」にしつつこれを保ちながら、設定先時刻の秒が時計の秒針に追いつくのを待つ。
  3. 設定先の秒数と一致した瞬間に、秒針の進行を再開させ、設定先時刻の秒と時計の秒が一致させる。
    • リュウズに掛かっている力を抜く(手を離す)。
    • 静止状態が保持されているなら正方向の回転を掛ける
  4. リュウズを時計回りに回して分針をゆっくり進めて、設定先の分と一致させる。秒針が0秒を通過するタイミングで分針が目標の分ちょうどを指すように合わせれば「目標の分の0秒ちょうど」に近づけることが可能。

これで「分」だけでなく「秒」も設定先に合わせることが可能になる。逆回転をかけることで、秒針だけで無く分針時針が秒針の戻り分より多めに戻ることがあるので、「数秒遅れ」程度の時には合わせにくい。

この「バックハッキング」の最大の難点は、「精神的な抵抗感」だ。7S系キャリバーの具体的な構造を把握しているわけでは無いが、「滑らせてズラしている」感じ、つまり構造に逆らって無理矢理動かしているように思われる。これがムーブメントに負荷を掛けてる感じがするので積極的にやりたくない。
また、ゆっくり慎重に行う必要があるので、忙しい朝とか焦っているような時にはやらない方がいいだろう。

現在、時計の「姿勢差」による日差傾向を調べるため手持ちの機械式の時刻合わせのためにバックハッキングで合わせているが、傾向が把握できたら「1分ぐらい早」程度のざっくりした合わせ方で使うつもりだ。本来のSEIKO5という時計のコンセプトの場合、そこまで神経質に合わせるようなモンでは無いだろうと思うし。

標準ブレス

  • ラグ幅:22mm。
  • バネ棒太さ:φ1.6mmかφ1.5mm2
  • コマは疑似三連の削り出しヘアライン仕上げ、他のSEIKO 5 Sportsシリーズと共通と思われる。
  • 各コマの摺動もスムーズで実用上は問題なさげ。

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ラグ足のヘアライン仕上げがそのまま弓カンへそしてブレスへつながり一体感があって良い。良いんだけど、決して仕上げが悪いとかということではない・・・だけど、この標準ブレスはなんかちょっとコレじゃ無い感じがする。

クラスプ(バックル、中留)の伸びる部分(?)は削り出しでは無くプレス板。本来このクラスの時計に付くブレスならこういった細かいところの質感は妥協すべきだろうが、それでもコマは無垢だし、カンは削り出しのフィッティング(バネ棒を抜くと外れるタイプ)になっている。なんかちょっと惜しい。
前例としてMM200の標準ブレスを見ているので、それと比較するとどうしても「ちょっと安っぽいなぁ」感があるのは仕方ない。それを考慮してもこの疑似三連ブレスはこの時計には合わないような気がする。何が「違う」のかは、うまく表現できないんだけど・・・。

ブレスの長さ調整

いつもは店頭購入した時計屋で調整してもらうのだが、今回は通販なので未調整で届いている。
良い機会なので自分でやってみることにした。安い奴から実験台になってもらって、いずれは高いブレスでも自分で調整できるようになっておきたい。未使用の状態なのでピンが抜けない(ゴミが詰まってるとか錆びてるとか)ことは無いだろうし、最悪破損して使えなくなったらいっそベルト交換で楽しめばいい。22mmのNATOストラップはたくさんある(苦笑)

標準ブレスは割ピン式で、調べた限りでは一番簡単な奴らしい。

Amazonで購入した一番安価な工具キットにハンマー式とねじ込み式のコマ抜き、固定する台(?)が入っていたのでこれを使う。

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時計屋で店員さんがやってみるのを見ていると、ブレスを時計につけたままやっている所をみるが、自分でも真似してみたら時計のケースが机に当たって邪魔になるので、本体からブレスを外した状態の方が固定しやすくてやりやすい。素早く行う必要があるプロではなく素人のお遊びなので時間をかけて確実に行った方が良い。

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4個抜くとキツいので、微調整で1/3コマぐらい広げてみたり、3コマ抜きに戻してみたりといろいろやってみたが、どうしてもジャストにならない。
微調整はクラスプとブレスの付け根のコマをバネ棒外しで押して外して付け直す。やることはラグのバネ棒と同じだけど、こちらの方がサイズが小さいクラスプ専用らしい。
微調整で外側に広げると、クラスプの12時側の伸びる奴(なんていうんだコレ)がコマの途中まで押すので手首に沿わずに広がってフィットしない。内側にすると2コマ分の長さと合うのでこの部分だけで行けばフィットはするが、全体の長さが広がる。それならと6時側を一つ詰めるとジャストよりちょっとだけ絞まる。

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具体的にどうしたいかと言えば、6時側に「半コマ」が一つ欲しい。一つ一つのコマが大きいとその分手首のカーブに沿いにくくなる。コマ細かくしていけばカーブに沿う形になり、さらにコマを細かくしていった最終形はチェーン状になったミラネーゼブレスになるわけだが、アレはちょっと上品すぎてこの時計には合わないだろう。

後にブレスを購入したので、次回の記事にする予定。

最大の特徴「回転ベゼル+内転式リング」

いよいよ、おそらくこのシリーズ最大の特徴に触れる。

アウターベゼルとインナーベゼル(チャプターリング)両方とも回転し、機能が割り当てられている。
もちろんインナーベゼルはベゼル用リュウズ、アウターベゼルは直接操作で、それぞれ独立している。つまり回転ベゼル機能を2種類搭載していることになる。

はたして、こんな腕時計って他にあるのだろうか?

IWCのアクアタイマー IW329001が「インナー/アウター」ベゼルだが、これはアウターベゼルを回すことでインナーベゼルが同期して回る(しかも逆回転はフリー)という、これはこれでかなり凝った仕組みだが、あくまでダイバーベゼルとしてだけの1種類の機能だ。

このシリーズ以外で、同じように二重の回転ベゼル(2つの機能)を備えた時計はあるのだろうか?と探してみたが、なかなか見つからない。「あった!」と思ったら・・・

item.rakuten.co.jp

SEIKO5ではないが、このシリーズはSEIKO5の上位シリーズ(現在のSportsに相当?)らしく・・・ということはやっぱSEIKO 5じゃねぇか!

結局、現時点でSEIKO以外で同様の時計を見つけることができていない。
さらに不思議なことに、このシリーズが「二つの回転ベゼルを一つのケースに載せた」という点について明確に突っ込みを入れているサイトとかブログが(とりあえず日本語では)みつからない。

いや、俺これかなり特異な時計だと思うんだよね。どうして両方載せようと思ったのか。
また、ほかのモデルでは二つ載せたモデルが存在しないのか。まぁ、「両方載せる意味が無いし逆に使いにくいから」なんだろうけど。

アウターベゼル:ダイバー(経過時間)

軽いタッチの逆回転防止ベゼルになっていて、60スタートで経過時間(分)を測定できる。MM200のようなしっとり感は無いが、まぁ値段なりってことだろう。

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そうこのベゼル、普通のダイバーには付いている「▼」の開始位置(0分)のマーカーではなく代わりに「60」の表記になっている。「60」の次は「5」なのでカウントダウンではなく間違いなく経過時間計なのだが、なぜ「▼」ではないのだろうか?

おそらくだが、

  • ミニッツマーカー(分のインデックス)の外側に回転式インナーリング(後述)がある。
  • キッカリ「▼」で合わせようにもリングの幅の分だけ離れているから合わせにくい。
  • 「ならもうそこキッカリさせる必要なくね?『だいたいこのへん』ぐらいで」

って事じゃないだろうかと想像する。
たしかに、ベゼルに載っているのは経過時間の数字だけでバーもドットも無い。ここら辺のデザインでいけばそれらと同じく数字にしてしまった方がすっきりしていて良い。
普段使い、例えば「昼休みの経過時間」程度の話でいけばそこまでキッカリ0位置を指定する必要は無いので、まぁこれはこれで悪くは無いんだが、なんとなく「そこはもうちょっとなんとかしてもらえまいか?」な感じがする。「60」でなくて「0」表記とかさ。

インナーリング:簡易方位機能

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9時側リュウズを回すことでインナーリングが両方向に回転する。リングには方位が記載してあって、下記の方法で南が判明したら「S」をその方向に合わせることで、各方位がわかる、というもの。

SSC137P1のリングと同じで、逆回転防止でもないしちょっと触れるだけですぐ動いてしまうので「方角をホールドする」という使い方もできない。

っていうか、そもそもの話として時計をつかった方位確認は「大体の目安」でしかない。
やっていることは、言ってみれば「日時計の逆算」だ。

citizen.jp

xn--kckb0b8923bek2a25k.biz

  1. 時計を水平に持つ。
  2. 太陽の方角を時針に向ける。
  3. 正午(12時)と時針の中間の位置が「おおよそ南」であることがわかる。

これは北半球の場合で、南半球で測定する場合は、「太陽の方角を12時に向ける」になる。太陽を直視しないようにキッチリ時針を向けるためには工夫が必要だったりするが、それでもわかるのは「おおよそ南」だ。「簡易方位機能」が無くとも正確に時刻を合わせたアナログ時計であればここまではできる。
そのうえで、この「簡易方位機能」を使うと以下の効果がある。

  1. だいたい判明した「南」方向にリングの「S」を合わせる。
  2. 方位の「S」を合わせたなら、その他方位(北・東・西)も示せる。

・・・

・・・

・・・

そりゃね、「南を向いたら背後は北」、「北を向いたら右手が東、左手は西」ってのはそうだよね。小学校で教わったよね。

「おおよそ南」が判明した時点で、わざわざ他のカッチリした方角を示す必要って、ある?

カッチリした北・東・西を示すにしても、その基準となる「南」が「おおよそ南」でしかないわけで、これを基に得られる方角も「おおよそ北」「おおよそ東」「おおよそ西」でしかない。
腕時計に盛り込まれる機能は、計算尺にしろタキメーターにしろGMT機能にしろ「手間(暗算・変換)を掛けずにパッと解る」ことが魅力3だと思うんだが、「簡易方位」については「おおよそ南」を測定するための手間の多さを考えたら、このあと「他の方位が解るだけ」のために文字盤に何か手を加えることようなのは「別にそこまでする必要ねえんじゃねぇの?」となってしまう。
そこまでするなら(上記のカシオのサイトの言うとおり)素直に電子コンパス付きの時計を買うなり、別にコンパス(リストコンパスなど)を持った方が4手っ取り早い。

結局、後継機種(「SKZ221」「SKZ229」「SKZ2251」「SKZ231」)ではこのインナーリングの機能は変更された。「Map Meter」のニックネームの通り、リュウズをホイールとして地図上で転がすことで、1/50000 縮尺の地図のマップメジャー(英語圏では「マップメーター」?)として使えるようになった。腕時計にマップメジャー(キルビメーターとも呼ばれる)を載せるというのもかなり新しいと思う。マップメジャーって安い奴だと精密な割にプラスティッキーで壊れやすい(なのにそれなりに高い)し、コンパスよりも所持する際の優先順位は低いから、いざって時に便利かもしれない。実際に使った事は無いから「Map Meter」が使いやすいかどうかは解らないが。
で、アウターベゼルはやっぱり簡易方位になっている。まぁ、「地図・フィールド行動に特化」という意味では良いのかもしれないけどさ・・・。

話をAtlasシリーズに戻すと、インナーリングについては装飾上のアクセントとしての役割しか無いと感じるが、色々盛り込んだガジェット感を演出するには十分で楽しい。これが先に挙げた「子供っぽい格好良さ」の中身である。

「WATER 200M RESIST」?

ネットショップの説明では「ダイバーズ」と表記されていることもあるようだが、それは「ダイバーズ風」の事なのか、本当の意味で「ダイバーズ」なのかが不明・・・いや、やっぱり「ダイバーズ風」だろうな。

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ベゼルがダイバーベゼルっぽくない回転ベゼル(0点マーカーが無いが)だが、雰囲気的にはダイバーズっぽいデザインが見受けられるし、ダイヤルに書かれた防水表記も「20BAR」ではなく「200M」となっているが「DIVER'S」ではなく「WATER RESIST (防水)」だ。

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ちなみに裏蓋の刻印には「20BAR」とあり、真面目に考えたら『結局どっちなんだよ!』とまたツッコミを入れなければならんのだが、まぁ「DIVER'S」という表記が無いからやっぱり20気圧の生活強化防水5なんだろうなぁ。

たしかに、スクリューバックの裏蓋はスケルトンでは無いため耐圧性は高いだろう。リュウズはダイバーズ風にねじ込み式になっている。ここだけ見ればたしかに200m防水もありえなくはない気がする。

ところが、だ。このモデルには内転式リングが備わっている。インナーリングを動かすために9時位置リュウズから繋がったシャフトがケース内へ貫通しているはずだ。いくらねじ込み式リュウズとかスクリューバックがしっかりしていたとしても、防水性の観点から言えばどう考えてもこのシャフトの隙間からの浸水の方が可能性が高い

なんというか、

「門と玄関はしっかり施錠しました!・・・裏口はあけっぱですけどね~(てへぺろ☆)」

みたいな詰めの甘さというかうっかり加減みたいなものが見えてくる。いや本当に大丈夫!?みたいな。

思い切って蛇口の流し水で洗ったりしてみたが、今のところ浸水の様子は無い。少なくとも10BAR程度は確保されていると見ておけばいいか。同じ内転式インナーリングのSSC137P1やSSC419P1も10BARは確保しているわけだし。

まとめ

今回、なんやかんやで色々とDisりばかり書いているが、このBlackAtlasが嫌いかっていうと決してそういうことはない。むしろデザイン的には好みすぎる。最近標準ブレスをサードパーティに交換(後ほど記事にする)したら、装着感も上がって快適になってしまい、平日の出動率が増えてMM200やTurtleの出番が減って本末転倒な状況だ。

ダイバーズのようでダイバーズではないとか、いろいろと盛り込み過ぎでそれぞれが中途半端になってるところとか、思い切りが良いんだか悪いんだかわからないところもキワモノ感がある。
よく見るとごちゃっと感があって玩具っぽさはあるが、それはG-SHOCKなどにありがちな「ゴチャっとした感じを意図的に盛り込んだようなもの」とは違う。「それぞれ真面目に盛り付けてつじつまを合わせようとしたら結果的にそうなった」といった類いのカオス感に近い。どうしようもなさ、とでも言うべきか。
ともかく特徴的な2重の回転式ベゼルとリング。これは相当エポックな時計だと思うのだが、ネット上でそこに対しての突っ込みが見つからないのも本当に不思議で仕方が無い。

以前「ゴテゴテしたのがわりと好き」と書いたが、おそらく遠目から見るとこの時計がゴテゴテしているようには見えないだろう。
航空機の計器のようなものだろうか。機能の意味が分からないと「なんだかよくわからないもの」だがわかると「そうなるのね」ってもの。いや、「そうなるのね」とはならないな。知らない人には一見解らない、わかったら「何でだよ!」ってなるツッコミ待ちのギャグ漫画のようなもの。それがこの時計の魅力だと思う。


  1. SEIKOに限らず、リファレンスNoが本体に記載される腕時計は無いのかもしれない。購入したボックスに貼ってあったり、保証書に記載されているところから判断するしか無いが、保証書のリファレンスNoは店舗が書いていることが多いようなので、ある意味「店舗を信じる」しか無い。

  2. まだノギス新調してませんw

  3. 言ってしまえばタキメーターもGMTも、経過時間や現在時刻がわかれば、手計算なりなんなりで求めることができなくはないので、究極的にはそれが載って無くても対処はできる訳だが、そういった手間をとらず「瞬時に解る便利ツール」というのがそれぞれの魅力というか一種の「ロマン」だと認識している。

  4. ロマンでいけば実用性を考えるだけ野暮なんだろうけどね。これはあくまでロマンだから。

  5. 「10BAR」「20BAR」といった気圧表記→生活強化防水。ただしこれは国内向けだけの話で海外向けのSEIKO 5シリーズではおそらくそういった表記上の制約はないと思う。