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DM200 on Linux を試す

DM200を購入する「最後の一押し」となった「DM200 on Linux」をためしてみる。

本家 @ichinomoto さん
Linux on Pomera DM200 人柱版 - EKESETE.net blog
Linux on Pomera DM200 人柱版 その2 - EKESETE.net blog

解説を書かれた moyashi(@hitoriblog)さん
KING JIM ポメラDM200でEmacs、Vim、Ruby、Pythonが動くなんて素敵すぎる! - ひとりぶろぐ

今回記載する内容は、ほぼ、本家とひとりぶろぐさんの両方に書かれている内容のトレース・つまみぐい・いいとこどりなので、あまり詳細に書くつもりはない。そもそも書き切れないし。
また、自分の基本スタンスは「コンソールが使えればOK」と考えているのでX等のGUI環境の設定は行っていない。

お約束

もうお約束すぎてアレだが一応。
この記事を参照にしたことでPOMERAが文鎮化したりSDカードが飛んだとしても一切の責任は負いません。
また、この記事の内容を行ったことでキングジムから修理などのサポートを受けられなくなる可能性があります。

バックアップしたファームウェアのイメージは大切に保管しましょう。

導入

DM200 on Linuxデュアルブートの形をとる。以下、通常起動した標準の方を「POMERA側」、Debianで起動したOSを「Linux側」と表記する。

先に挙げた3つの記事を参照。というか、導入にあたってちょっとで不安があるなら、ウチのこの記事を即座に閉じて本家とひとりぶろぐさんを読んだほうがいいですマジで。

今回導入したのは「人柱版 その2 (Debian 9.0 (stretch) )」である。(自分はstretch未経験)

◯手順

本家から「DM200 eMMC NAND バックアップ/リストア ツール」および「DM200 Debian インストーラー v0.2」をダウンロード。

  1. ファームウェアのバックアップ
    • ツール付属のreadme.txtを参照。
  2. 本体データのバックアップ
    1. ファームウェアツールをSDカードに展開
    2. (十分に充電しておくこと)
    3. USB電源を抜く
      • USB給電中に以下のシャットダウンをしようとするとスリープになってしまうため。
    4. クラムシェルを開けた状態で電源ボタン長押しでシャットダウン
    5. [左Alt] + [右Shift] + [電源ボタン]長押しでバックアップツールが起動、バックアップ開始。
    6. バックアップが終わったら[Enter]で再起動
    7. SDカードを抜き、バックアップされたファームウェアイメージをPC等に退避。
  3. インストールイメージをSDカードに展開
    • SDカードは16GB
    • MacOS上でEtcharを使用(これ、お手軽でいいな。今度からこれ使おう)
  4. SDカードを挿して、クラムシェルを開けた状態で電源ボタン長押しでシャットダウン。
  5. [左Alt] + [右Shift] + [電源ボタン]長押しでインストーラが起動。
    • (念のため起動後にUSB挿して給電しておく)

今回バックアップにつかったSDカードをそのままインストーラに使いまわした。

LinuxのディスクイメージはSDカード上で完結しているため、構築されたLinux環境をバックアップする場合はSDカードのDDを行うだけでOK。すごくRPi的。
インストール後のコンソール、ログインプロンプトでは「root」か「dm200」ユーザが用意されているのでこれでログインする。

この時点でこのディストリビューションでは

  • コンソール上で日本語環境(uim-fep + Mozc)セットアップ済み(Ctrl + SpaceでON/OFF)。
  • vim, screenなど一通りのパッケージが導入済み。
  • Debianなので当然aptもあるのでなんでもできる。

自分にはXは必要ないから、もうほとんどこのままで使えちゃうじゃないの!

設定

POMERA特有の設定とパッケージの導入。
基本的にrootにはならず、dm200ユーザからsudoを経由して行っているが、これは自分の習慣なので。


○Caps → Ctrl設定

とりあえずこれはやっとかねば。

sudo vi /etc/default/keyboard

「XKBOPTIONS="ctrl:nocaps"」を有効化。
自分はキー配列もPOMERA標準のJISのまま。


○SDカード上のvfatのマウント

WiFi設定のために/mnt/vfatをマウントする。インストールが完了した時点で16GBのSDカードのうち2GBがvfat領域として確保されている。これはPOMERA側からは通常のSDカードとして認識されるため、POMERA側とLinux側の共有領域として使える。16GBからするとかなり少なめに見えるが、基本はテキストファイルとスクリーンショットBMPぐらいなので2GBあったら十分だろう。必要があればパーティション編集すればいい。

$ sudo mount /mnt/vfat

WiFi設定

まずWiFiがONになることを確認

$ sudo /opt/bin/wifi-switch on

AP

WiFI設定ファイルはvfat領域の下に格納する。本体側に置くこともできるが、一通り設定し終わるまではvfat領域に置いといて、通常使うアクセスポイントの設定が一通り終わったら、バックアップをとった後本体に移動する予定。

$ sudo vi /mnt/vfat/settings/wpa_supplicant.conf


設定を追加した後、wifi-switch off ⇒ wifi-switch onしてもつながってくれないことがあるので、基本的には自分は毎回リブートしている。
とりあえず自室APとスマフォのティザリング、職場の自分のAPを設定。あと実家に戻った時にAPの設定もしとかないと。

○導入パッケージ

デフォルトで「screen」や「wget」などよく使うコマンドは入っているため、追加したパッケージは本当に少ない。「screen」が使えるなら大体の事はコンソールで収まる。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install aptitude

以下、aptitudeを使って導入。

$ sudo aptitude install nkf
$ sudo aptitude install w3m

iconvよりnkfが好き*1w3mあったら、まぁ大体のことは事足りる、的な。
gawk, php, perlなどスクリプト言語などは思いついたときに導入する予定。javaは気が向いたら。
ともかくaptなりaptitudeなりでいつも通りパッケージ導入できるのでここでは深く考えない。

○/mnt/vfatの自動マウント(保留)

/etc/fstabの中身

/dev/mmcblk1p1 /mnt/vfat vfat user,noauto,rw,sync,dirsync,noatime,utf8 0 0

「noauto」を「auto」にすれば自動マウントされるはずと思ったけど、できなかったので戻す。
/dev/mmcblk1p1が認識されるタイミングの問題か。絶対に毎回マウントする必要性は感じないのでとりあえず保留。

○その他細々とした環境

/sbin/reboot をdm200ユーザからキックできるよう権限変更

sudo chmod u+s /sbin/reboot

環境を終了するときは大体POMERA側に戻してしまうので「halt」は不要という判断。別に「sudo shutdown -r now」でもいいんだけど。

PATHを ~/.bashrc

PATH=/sbin:/opt/bin:$PATH

「/opt/bin/wifi-switch」を補完で引っ張りたいがために追加。

そのほか、aliasや.vimrcなど普段使いの設定を追加。思いついたところから順次追加予定。

デュアルブート環境における時刻ズレについて

※詳細解説(moyashi (@hitoriblog)さん)で対処方法が触れられていたのに途中で気が付いたのだけど、せっかくなのでちょっと詳細に書いておくとともに、やめた設定についても後から忘れないように経過を残しておく。

POMERA側を起動して時刻が大幅に狂っていたのに気がついた。

POMERA側で設定した時刻を「13:00」とすると、Linux側での時刻は「22:00 JST」となる。WiFi接続を下地点でLinux側の時刻は「13:00 JST」と設定されるが、この状態でPOMERA側に切り替えると「04:00」になる。その差は9時間で世界標準時(UTC)と日本標準時(JST)差に一致する。

なんどか再起動しなおして試してみたが、どうやらLinux側でWifi接続すると、自動でNTPで時刻合わせをしてしまうため、これが影響しているようだ。

Linuxタイムゾーンの概念があり、ハードウェアクロックをUTC(世界標準時)としたうえで、設定されたタイムゾーン(日本なので「Asia/Tokyo」)の時差9時間を加えたものをローカル使用する。
しかし、POMERA側にはタイムゾーンの概念が無いらしく、ハードウェアクロックをそのまま現在時刻として使っているようで、Linux側で時刻同期したハードウェアクロックのUTCをそのまま表示してしまう。

同じようなことはMacのBootcampでWindows VistaデュアルブートMacOSと使い分けているときに発生していた。VistaPOMERA側、MacLinux側だが、PC上でVistaLinuxデュアルブートでも同じだった。。

OS(この場合POMERA)にタイムゾーンの概念がないっぽいので、POMERA側では、これはもうどうしようもないかと思う。かっちりやるならPOMERA側の改造が必要になりそう。
POMERAで時刻がきっちり合っていないと使えない機能は無いが、時刻を直し忘れるとテキストファイル保存時のタイムスタンプがずれてしまう。自分の使い方ではメインはあくまでPOMERAなので、POMERA側を「メイン」として使いたい。なので、あくまで「サブ」であるLinux側で対処する。

ともかく、この問題は「どっちかが妥協して合わせる」しかない。

○暫定対応(※最終的にこれは取り止め)

Linux側でWiFi接続時に時刻同期されてしまうので、POMERA側で起動したときに毎回時刻合わせをする必要が出てくる。なので、NTP同期自体を停止してしまうことにした。

プロセスリストで「ntp」という名前のプロセスは見つからないが、

/lib/systemd/systemd-timesyncd

というそれっぽいデーモンが起動している。調べるとやはりネットワーク接続時にNTP時刻同期を行うデーモンだった。
参考:Arch Linuxで時刻同期 | NTP, systemd-timesyncd | 普段使いのArch Linux
このデーモンを無効化する。上記サイトで「true」で有効化するとあるので、「false」で無効化のはずだ。

$ sudo timedatectl set-ntp false

プロセスリスト上から「systemd-timesyncd」が落ちていることを確認。再起動してネットワーク接続し時刻が変わらないことを確認。これでネットワーク接続をしても時刻同期されることはなくなった。

さて、Linuxの表示上で+9時間されていしまうのはデフォルトタイムゾーンAsia/Tokyoを使っている以上どうしようもないが、とりあえず現在時間を見たときに混乱しそうなので、Linux側のタイムゾーンUTCに変更して見た目だけでもマシになるようお茶を濁す

$ sudo dpkg-reconfigure tzdata

表示された設定画面で[その他]-[UTC]を選択。

$ date
2017年  7月 29日 土曜日 14:14:30 UTC

UTC」が出てしまうし、本来の使い方と違ってちょっと気持ち悪いが、まぁ仕方が無い。
(Systemd使い慣れてねぇなぁ)

○暫定対応(こちらのほうがより真っ当なやり方っぽい)

ひとりぶろぐさんの記事に「時刻のズレ解消」の部分があったのに気が付いた(見てなかったw)
NTPでの時刻同期を有効にしたままPOMERA側の時刻もずれないのでこちらの方がいい。


まずロケールAsia/Tokyo」に戻す。

$ sudo dpkg-reconfigure tzdata

表示された設定画面で[アジア]-[東京]を選択。

systemdの「systemd-timesyncd」を復帰させる。

$ sudo timedatectl set-ntp true

これでデフォルトの状態に戻った。

次に以下のコマンドを実行

$ sudo touch /etc/adjtime
$ sudo timedatectl set-local-rtc 1

この状態でリブートしWifiに再接続しても時刻がPOMERA側とずれないことを確認した。
ロケールも「Asia/Tokyo」のままでロケール固有表記も自然なのでやっぱりこちらの方がいい。

「timedatectl set-local-rtc 1」ではハードウェアクロックをローカルタイムとして使う設定っぽい。
(勉強になるな・・・というかまじめにsystemd調べた方がよさげな気がする)

ということで

一通りの設定はこれでOK。
あとは開発環境を整備するもXを設定するもなんなりと、なのだけど、先に書いたようにあくまでDM200は「POMERA」として使うことをメインで考えているのでLinux側は「PC開くのも面倒だけどちょっとコンソール開いて自室のRPiに繋いで確認したい」とか「出先だけど急ぎでsshで繋ぐ必要がある」みたいな用途で使うつもり。
だが、これが非常にお手軽でいい感じ。必要があればapt(aptitude)でどんどん追加してしまえるのも気楽。
それに、コンソールをDM200のしっかりしたキーボードで打てるのは結構気持ちいい。空き時間に「頭の体操がてらスクリプト書く」的なことができるので、それこそPOMERA感覚でできそうで夢が広がる。結構ちゃんとしたコーディングもできてしまいそうだ。

ちなみに、この記事の下書きはやはりPOMERAで打ち込んで、必要な時だけLinux側と行ったり来たりしながら書いた。面倒かと思っていたが起動が速いので案外なんとかなるもんだな。というかどんどんPC使わない生活が進む・・・。

謝辞

「DM200 on Linux」を整備された@ichinomoto さん、解説をまとめられたmoyashi(@hitoriblog) さんに感謝!

*1:アンバッファリングオプションが使える。「tail -f -n logfile | nkf -u -W」みたいに。

DM200 アウトラインモードとか

新機能として真っ先に使い始めたアウトラインモードについて。

「アウトライン」モード

○仕組みはいたってシンプル。

「アウトライン」モードがONの状態で、行頭に「アウトライン見出し」のキャラクタ*1がある行が「見出し行である」と判定される。見出しキャラクタが重なればそのぶんオフセット(階層の深い見出し)されたアウトライン見出しとしてが画面左側に表示される。
基本的にはこれだけで見出しに反映される。

行頭に「見出しキャラクタ」がある行が見出しとして扱われる。
行頭が「見出しキャラクタ」でない行(空行含む)は無視される。

ロジック的にはこれだけで、本文の取り扱いとかアウトライン構造を厳密にチェックしているわけではないようだ。
つまり、

.タイトル階層1
..副題階層1
..副題階層2
...副副階層?
あああああ ←この行は本文扱いになって見出しに出ない。
.......無駄に深いなんだかよくわからない階層
.....本文と書くけど本文じゃない
..副階層3

こんな感じで「親子構造が本来ではありえない(親要素から一気に孫要素がぶら下がるだとか)」ガチなアウトライナーでは不可能(ルール違反)な書式であっても、そのまま見出しが見出しウィンドウに反映される。ちなみに上記の書式をアウトラインモードの見出しウィンドウではこうなる。

「見出し」と判定された行は本文ウィンドウではボールドフォントで表示される(ゴシックだとわかりづらいけど)。

「分割」「比較」モードと同じAlt + TABで本文側(ファイル実体側と表現した方がいいか)ウィンドウと見出しウインドウを行き来する。
見出しウィンドウでは見出し間の移動、見出しの折りたたみなど、これまた一通りのアウトライナー的な操作ができる。見出しにカーソルを合わせて[Enter]を押すと本文側ウィンドウの該当行にジャンプする。ただし、見出しウィンドウにて、見出しの削除はできない。追加削除は本文側ウィンドウで行う必要があるし、見出し要素の上下移動や見出し階層の変更もできない。あくまで見出しウィンドウは本文側に同期して「表示」のみを行うだけのものである。

○まとめると・・・

『見出し書式抽出して表示する機能』であり、これはアウトライナーというよりは、『見出しをナビゲーションとして活用するモード』といえる。
感覚的には「付箋文機能の強化版」とも言えるかも。

いや、自分の知っているアウトライナーは『カッチリとしたアウトライン書類』を作るもの*2ばかりで、これだけ自由度が高い(書式無視を許容するという意味)ものは使ったことがない。これはWzエディタのアウトラインモードとほぼ同じものらしい。
というか、なんでもありのプレーンテキスト編集がベースであって、それに被せる形のアウトラインモードであり、最終的にプレーンテキストとして落とし込まれる宿命なので、こういう形でしか実現できないといえばそういう事かもしれないのだが、ゆるい形でアウトラインと適当な本文が混在できて、すべて一つの「txt」ファイルにぶち込めるというのは、お手軽で「いいとこどり」できるので、結局これがマストだと思う。
下手に「アウトラインエディタ」的なものを作ってしまうと、テキスト打ちながらアウトラインを編集しようとして、新しいファイルを開き変えないといけないもんな。「表入力モード*3」みたいに。

なにはともあれ、この「アウトライン」モードは長文での見通しの良さを保つのに有効で、さっそくいろんなテキストで活用している。

そいういえば

DM200に「表入力モード」は無いのね。DM100でも正直使ってなかったけど。

その他

「カレンダー」の本文入力中に定型文を入れることができるようになっていた。地味にうれしい。

*1:デフォルトで「.」だが「#」に変更することが可能

*2:OmniOutlinerとか

*3:表計算」ではなくセルの幅変更もできないような簡易CSVエディタのような機能

KINGJIM POMERA DM200購入

DM200|デジタルメモ「ポメラ」|キングジム

DM200が発売されたのが2016年11月、購入をずっと保留してきたが、ついに購入を決断した。
環境設定も一段落したので、さっそくDM200でいつもどおり記事(の下書き)を書いてみる。

現段階でDM100での使い方をそのままDM200で使ってみての感想であり、新要素(アウトライン機能など)についてはまだ使い切れていないので、後々またかくことが出てくるかもしれない。

購入の経緯

DM200が発売されたときの記事。

KINGJIM POMERA DM200 発表 - passive log storage - 2nd

移行に躊躇していた最大の理由が「電源が単三電池からリチウムイオンバッテリー(交換不可)に切り替わった」という点だった。
逆に言えば、それ以外で大きな障害要素は無いということになる。

そして、今回、「ダメ元でもとりあえず買ってみるか」という要素として「LinuxDebian)の起動に成功した」というネタが出てきた。

【やじうまPC Watch】キングジムのポメラ「DM200」でLinuxが動作する模様 - PC Watch
Linux on Pomera DM200 人柱版 その2

  • ブートの切り替えで元のPOMERA(のOS)とDebianを切り替えられる。つまりPOMERAの環境は残したままにできる。
  • WiFiが使え、ターミナルエミュレータが使えるとなれば、ちょっとしたメンテナンスなどに使えそう。
    • Bluetooth(の同時使用)については怪しいっぽいが、自分的にはCUIが使えればそれだけでかなり幅が広がる。

Debianの起動は技術的には興味深いが、あくまで「購入しようかなどうしようかな」っていう揺らぎのなかでの「最後の一押し」であって、やはりPOMERAPOMERAとして使うことがメイン要素なので、これについては落ち着いてから試してみることにする。

アンボクシング

Amazonより到着。購入時点での価格は¥35,715円。記憶している限り、これより大幅に高かったり安かったりしたことはないはず。

同時購入品は2点。

  • 純正保護カバー
  • ミヤビックス製液晶保護シート(ノングレア)
    • 純正は「グレア」「ノングレア」の二枚セットになっているが、グレアは不要なので、一枚だけで値段の安いミヤビックス製を選択。

デジタルメモ ポメラ DM200専用ケース

デジタルメモ ポメラ DM200専用ケース

移行作業

  1. ファームウェアのアップデート(Ver1.2→Ver1.3)
  2. 辞書の移動
    1. 他のシリーズと同様、DM100でSDカードにエクスポートした辞書ファイルをDM200でインポートする。
  3. データファイルの移動
    1. 本体内蔵のデータファイルを移動。
    2. カレンダーのデータファイル
    3. ファイルのディレクトリ構造はDM100と共通の模様。
  4. よく使うファイルをShiftJIS→UTF-8変換。
    1. この下書きもUTF-8化したファイルを打っている。
  5. 定型文のコピー
    1. これだけはPCに繋いでファイルのコピーで対応できないので、DM100上で定型文をテキストファイルに吐き出して、ファイルをコピー、DM200上で再設定という手順が必要になる。
  6. 付箋文文字列の変更
    1. デフォルトの付箋文が「.付箋文」でアウトライン対応になっていたので、今までの付箋文の行頭に「.」を追加する
  7. キーバインドをDM100と同じものに(CapsとCtrlの入れ替え等)
  8. 保護シート貼り付け。

ファーストインプレッション:ポジティブ面

1日程度つかってみての感想だが、いろいろ出てきたので分割する。まずはポジティブな面から。


◯相変わらず安定の操作感、むしろちょっとよくなってるかも

DM100から操作感は大きく変わらず、マニュアルを参照せずともまったくストレス無く軽快に打ち続けられる。この点に関しては流石に何世代も重ねてきた実績のたまものだろう。

ATOKもDM100から更新されていて、変換精度はちょっと上がっているように感じるが、もともと自分は単文節変換の癖がついており、ATOKの性能向上についてはきちんと説明できない(苦笑)。

入力に関して「DM100ユーザがDM200に乗り換えて問題になる事は皆無」と断言できる。


◯重くて分厚いが「頑丈感」が増した

キータッチ感がしっかりしているよう感じる。重い分だけ安定感が増しているのか。あるいはリチウムイオンバッテリー化にともなう構造強化上必要なのかもしれないが、そのおかげでDM100にあったようなギシギシするネジレ感がない。

まぁ、重いったってそもそも大した重さでもないもんで、全体的な「頑丈感」は重量の増加のネガをカバーして十分だと感じる。

ノートPCのような「一枚板」になったことにより、鞄の中で落ち着きやすい。逆にDM100の乾電池が収まっていた部分が無くなり、いままでその部分をつかんで鞄から引っ張り出していたので、「取り出しにくい」「つかみにくい」という面はあるが、これは単に慣れの問題だろう。


◯画面サイズ拡大による一覧性の向上

画面が広くなったことによる表現力の向上!これは使い始めると「おおっ!」と感心する。DM200が間違いなくDM100のアップグレード版であると感じる一番大きな要素だ。
正直DM100までの「4:3」っぽいアスペクト比で十分、交換不可バッテリーにしてまで実現するべきことだろうか?と思っていたので、この点については『すみませんでしたKINGJIMの中の人』と謝っておく必要があるだろう。すみませんでした。いやマジで。

画面幅が広くなったことによって、「行番号ON」するようになった。横方向が広くなったため、行番号を常に表示していても情報量の圧迫が少ない。「現在表示中の行がファイルのどのあたりか」、をファイルのプロパティをいちいち表示しなくても大体わかる。
元から、Ctrl + F5で一発切り替えできるのだけど、「表示しっぱなしでいいや」となった。

また、カレンダー表示(使っているユーザがどれだけいるかわからないけど、日記的な日ごとのちょっとしたメモを入れておくのに便利)も右側にプレビューを表示してくれるようになった。

「画面って広い方がいいじゃん」というマインドシフトが俺の中に発生した。いや、正直これは自分でも驚いている。

ファーストインプレッション:ネガティブ面

ここからはDM100と比較したときのネガ面になる。


◯ヒンジ部分の構造変更による違和感

DM200ではヒンジ部の背の部分が足になるという構造変更があり、これが開くときの違和感につながっている。
DM200をテーブルに置いて、クラムシェルを開こうとしたとき、直立90度までは底面をベタつけした状態で開くが、それ以上開こうとすると、本体奥側にクラムシェルの背の部分が当たることで底面をリフトすることになる。

底面奥側をリフトすることでキーボード面に傾斜が付き、その割に折りたたみ時の突起部が少なくてすむというのがこの構造の利点ではあるが、滑りにくいテーブルでは底面をちょっと持ち上げてやる必要がある。

同様の形状のUMPCなどはすでに存在しているので、そういったものに使い慣れた人には感じないかもしれないだろう。

しかし、DM10からDM20、DM100までではテーブルにベタ付けしたままクラムシェルを(底面を持ち上げずに)まで開くことができる。これがDM200で変わってしまったため「使用開始するまでの感覚」でここが引っかかってしまう感じがある。

  1. カバーから取り出す。
  2. テーブルに置く。
  3. クラムシェル開く。
    • 本体をちょっと持ち上げつつさらに開く ←このワンクッション!!!
  4. 打ち始める。

たったこのワンクッションだけなんだけど、このワンクッションが「うっ・・・」となる。うまく言えないんだけど。

ちなみに、DM10やDM20では180度近くまで開くことができ、その場合はやはり底面を持ち上げる必要があるが、通常使用においてそこまで開くことはまずあり得ない。


とりあえずこの点については、薄さとのトレードオフの面があるのでなれるしかないかとあきらめようと思う。

◯起動時間の増加とスプラッシュスクリーンの廃止

クラムシェルを開いてから入力可能(パスワードを設定している場合にはパスワード入力画面が表示)になるまでの「起動時間」が伸びた。

  • DM100 : およそ2秒
  • DM200 : およそ4秒

『たった2秒増えただけ?』と思う人は「たった2秒」なんだろうけど、自分には非常に長く感じてしまう。なにしろ『倍になった』のだから。

そして、起動時のスプラッシュスクリーンがなくなったのがこの「待たされる感」に輪をかけてしまっている。

DM100

  1. 電源ON操作(クラムシェルを開く、または電源キーを長押し)
  2. ほぼ瞬時に画面にスプラッシュスクリーンが表示
  3. 2秒
  4. スプラッシュスクリーンから編集画面に切り替わる。

DM200

  1. 電源ON操作(クラムシェルを開く、または電源キーを長押し)
  2. (画面に変化なし)
  3. 4秒
  4. いきなり編集画面が表示

DM100では電源操作後に即座に「起動している」とユーザが認識できるが、DM200では4秒経過するまでまったくリアクションがないまま、いきなり編集画面になる。

ようするに、4秒間「本当に起動してる?」と不安になる訳だ。実際、一番はじめに起動したとき、クラムシェルを開いて自動起動しているはずの状況で、思わず電源キーの長押しをしようとしてしまった。

UI設計上、レスポンスタイムを伸ばしてしまうのは悪手であってやっちゃ駄目なパターンである。

これらに関して、正直「もっとなんとかできなかったのか」と思う。

もしかして、という話だが・・・

LCDが変わったことにより、LCDの起動(初期化)に時間がかかっているのではないか?と。

DM100はモノクロTFT液晶だが、モノクロの部品供給が難しくなったとのことでDM200はカラーTFTになった。

単純に一枚絵のスプラッシュスクリーン(駄目なら「起動中です」の文字列でもいい)を出すだけならそんなにかからないと思うのだが、もしそれができないとするなら、そもそもディスプレイ表示可能状態になるまでに時間がかかってしまう、つまりLCDの起動に時間がかかってしまうのでは?

などと思ったりするが、組込系は詳しくないのであまり書かないでおこう(苦笑)

『開いてすぐメモれる』というのがPOMERAPOMERAたらしめる部分のはずで、この部分だけは妥協しちゃ駄目だと思うし、どうしても駄目ならDM100のようになんらかのリアクションをユーザに提示すべきだ!と思うのだが・・・。

対応可能ならファームウェアアップデートでなんとかしてほしい点だ。


○連続QRコードが読めない

DM100まではAndroidのGrQrReaderというアプリを使って連続QRコード読み込み込んでいた。
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.grape.grqrreader&hl=ja
Androidではこれが一番手軽で確実な方法だったのだが、DM200ではGrQrReaderでのQRコード読み込みができなくなった。
原因は不明だが、連続QRコードを読み取ると読み込まれたはずのテキストが入っていない。

面倒だが、この記事はSDカード経由でテキストファイルを転送した。

ファーストインプレッション:その他、気になった点

◯「オートパワーオフ」と「スリープ」

DM200の『電源管理』には「パワーオフ」という概念に加えて「スリープ」という概念が追加された。


  • 「オートパワーオフ」
    • 今までと同様、一定時間後に電源OFFする。
    • 電源OFFになるので、復帰するには電源キーの長押し(またはクラムシェルを閉じて開く)が必要。
  • 「スリープ」
    • ディスプレイの消灯。
    • 何かのキーを押したタイミングで即座に復帰する。
    • 電源OFFではないので、パスワード設定済みであってもパスワードは要求されない。

特筆すべき点として、ユーザからの操作で「スリープ」状態に遷移させる手段が無い点が挙げられる。
クラムシェルの閉じる操作や電源キー長押しはいままでどおり電源OFFになり、スリープさせようとすると「操作せずに放置」しか方法がない。

これについては前述の「起動時間が長くなった」に関連する部分なのかもしれない。LCDとそのバックライトは特に電池の持続時間に影響する要素なので、なるべく電池に対する負担を緩和していこうという工夫だと思われる。
そのため、新たな操作要素としてスリープを追加せず「おまけ」として組み込まれた機能ではないかと思う。

◯「画面分割機能」が「分割」と「比較」に分かれた

自分は頻繁に画面分割を使っていたので気がついたが、画面分割機能がアップグレードしている。

自分でもDM100のインプレッションの際に「画面分割機能」については触れている。

キングジム Pomera DM100 - passive log storage - 2nd

※以下、分割した画面の片側ファイル内容のことを"バッファ"と表現する

DM100の画面分割を簡単に説明すると、ディスプレイのスペースに二つ目の"バッファ"を作り、個別にファイルを読ませる、という単純な仕組みで実装されている。
このため、双方のバッファ上で同じファイルを読ませて、それぞれ別の編集を行って、両方のバッファでファイルの上書き保存を行うと、あとから保存を実行したバッファの内容だけが保存されるという「めんどうなことになる」。

DM200では「分割」と「比較」という形で挙動が違う。

「分割」と「比較」の共通点。

  1. 上下分割ではなく左右分割になった。上下分割はできないっぽい。
  2. DM100で上下バッファの移動(Alt + TAB)すると「上画面と下画面の内容の入れ替え」だったが、左右分割では「カーソルが右バッファと左バッファ間を移動する」になっている。


「分割」と「比較」の違い。

  • 「分割」は『同じファイルの表示位置を変える』機能と表現した方がわかりやすい。
    • 片側のバッファで編集した内容は即座にもう片方のバッファに反映される(内容が同期する)。
    • 「分割」モード中で片方のバッファで別のファイルを開こうとすると、もう反対側にも同じファイルがロードされる(左右はつねに同期する)。
    • 「分割」モードを終了(再度メニューから「分割」を選択する)すると1画面モードに戻る。
  • 「比較」は『左右で別のファイルを開く』ための機能。
    • 「比較」モードをONにするとファイル選択ダイアログが表示され、選択したファイルがロードされる。
    • 「比較」モードをOFFにする(再度メニューから「比較」を選択するか、「分割」モードを選択する)と、『(左右の)どちらの編集を終了しますか?』ダイアログが表示され、選択した側が閉じる(編集アリの場合は保存するか確認される)
    • 「新規ファイルの編集」(Ctrl + N)すると、編集中のバッファが新規ファイル編集状態になる。
    • 「比較」モードで、左右バッファで同じファイルを開くことはできる。この場合「別ファイル」として扱われるため、「分割」モードのように左右の内容の同期は行われない(つまり「めんどうなこと」になりかねない)


「比較」モードの方がDM100での「画面分割」モードにより近い挙動になっていて紛らわしいので注意が必要。

また、「比較」モードと「分割」モードで画面がほとんど一緒で、一見現在どちらのモードなのかわかりづらい。見分け方は画面下に表示されているファイル名が、1画面モードのように一つだけなのが「分割」、左右で二つ出ている場合は「比較」モード。

「比較」モード

「分割」モード

それぞれ画面下のファイル名欄に注目。


◯「スクリーンショット」が追加されてた

Ctrl + Shift + 3 で画面イメージのBMPファイルがSDカードに保存される。
あきらかにDM200を使うブロガー向けで、「是非紹介してくれ」って機能だよねこれw
ちゃっかりしてんなwww

ファーストインプレッション:とりあえずまとめ

新機能については自分がまだ追いつけていないので、今回はあくまでDM100使いの自分としてのレビューとして割り切ってみた。
前回DM200について触れてから、極力新しい情報を見ないようにして、今回も他の人のレビューを頭に入れずに書いたため、すでに既出の情報も含まれているとは思うが、自分としてはDM200をわりと新鮮にとらえている。


単純に「DM100の正常進化版」であると同時に「正常進化故に諦めたシンプルさとか軽量性」がすごくわかってしまう。
はたして多機能化することが「POMERAとしての正常進化」かどうかは難しいところだが、間違いなく言えることは「既存機能のソフトウェア的に細かいところまで練ってきている」ということは確実だと思う。まだ「詰め微妙に甘いなぁ」と感じるところもDM100を導入した時と同じ。

ともかく、これはファーストインプレッションであって(それでもこれだけ書きたいことが出てくる)、もっと使い慣れてきたら新しい発見がでてくるかも。

メモ:とりあえず、DM100からの移行組が覚えると捗ること

ショートカットキー(DM100にもあったけど、本体キーがなくなったので、忘れてるだろうから)
・カレンダー:Alt + F1
QRコード:Alt + F5
・辞書関連:Alt + F7〜F10

Bluetoothのショートカットキーは標準では入っていないが、ショートカットの変更が可能になっているので、今後カスタマイズするのもアリだろう。