NATO(タイプ)ストラップを知ったのはSSC137P1を購入してからなので5年前か。
以降、何本か試したので、そこらへんをまとめてみることにした。
これからの季節はNATOタイプが良さげ
俺がNATOタイプのストラップを使う理由は、
- 脱着が容易なので時計から外して丸洗いできる。
- レザーより蒸れにくい。水に強い。
- 安価で強度があるので雑に扱える。
- 柔らかいので、外してポケットに入れるときに折り返して風防の保護ができる。
- カラーが豊富なので気分を変えられる。
こんなところか。
特にこれからの季節は1.の丸洗いできるというのは大きい。元々はSSC系など潜水防水ではない時計のメンテがやりやすいというのが発端だが、スタメンがダイバーズになって防水性は高い時計ばかりになったとはいえ、洗剤をつけて本体ごとバシャバシャ丸洗いというのはまだちょっと気が引ける。完全に外してしまうことでラグの内側など、バンドを装着したままだと掃除しにくいところに手が届くのもよい。
ここに挙げてないファッションブランド(BEAMS など)もあるようだが、現時点で積極的に選択する理由が今のところ無いので購入していない(店頭販売などで現物を見て良さそうなら買うかも)。
ブランドごとの微妙な違い
一口に「NATOタイプ」とはいっても、ブランドごとに微妙に仕様が異なる。
- ストラップ自体の質(織の細かさ、厚さ)
- 金具類など部品の違い
- 各部の長さ
並べて比較するとわかりやすい。
それから、縫製(縫い目の細かさ、折り返し縫いされているか等)の違いは単価に反映されがちなところにも注意が必要。
CASSISは二重にボックス縫いしてあるのに対してCIVOは一直線に縫ってある。この差が即座に切断に繋がるわけでは無い(この金具が取れたとしても時計が脱落することは無い)だろうが、どちらが長持ちするかは言わずもがな。
やっぱり「安い奴は作りも雑」というのが個人的な見解。
色合いに注意
品質そのものだけでなく、同じ色であっても微妙に色合いが異なる事にも注意。
同じいわゆる「JB(ジェームズボンド)」カラーと称される「ブラック+グレー」であっても、例えばCalmeとZULUDIVERの二本を比べるとグレーの色合いがまったく異なる。
好みかどうかになってくるが、自分はMM200に合わせるならZULUDIVERの方が好みだ。
自分が思ったような色合いかどうかについては、店頭で買えるなら現物を確認するか実際に購入して試すしかない、というのが実情。このため、「買ってみたはいいけどやっぱり自分の時計とは合わなかった」ということで使わないストラップが大量に貯まることになりがちなので注意。
そうそう、ストラップのカラーだけで無く、金具類のカラーリングも考慮した方が良い。
個人的な見立てで行くと、金具類の色(シルバー、ブラック、ピンクゴールド)は、時計のケースに合わせるのが無難だと考えている。シルバーは市場に豊富に存在するが、ブラックメタリックやゴールド系は種類が少ない。
もちろん、バンド幅はラグ幅に合わせる必要があるので、それらも含めて選び出すことになるが、これらを考慮すると意外とドンピシャな物が見つからなかったりする。
NATOタイプブランド別レビュー
独断と偏見が多分に入り込んでいる点にご注意を。
Phoenix NATO G10 Strap
Phoenix社製 NATO軍G10正規 ストラップ 20mm ブラック ナイロン 時計ベルト バンド [クロノワールド chronoworld] [簡単キット付]
- 出版社/メーカー: ChronoWorld(クロノワールド)
- メディア: 時計
- この商品を含むブログを見る
- 本物。オリジナル。
- 4100円とそれなりにお高い。
- 取扱店がクロノワールドのみ
なにはともあれ、とりあえずこれは挙げねば。
いわゆる「NATOストラップ」の本家本元。正式名称は「G10 Strap」で、NATOの規格を満たしたオリジナル。Phoenix社がオリジナルで、その他のブランドは「NATOタイプ」とか「G10レプリカ」のような表現がされる。なので「NATOタイプ」に含めるのはちょっと違うだろうかねぇ。
オリジナルとはあるが、実際に軍に納入されている「そのもの」なのかどうかは怪しいと思っている。なぜなら手元の現物は「Phoenix」のロゴが尾錠に入っているが、本当に軍納入品ならそれはちょっと考えにくいから。しかし部品は多少違ったとしても、作りが異なることはないだろう。
作りにおいてレプリカとの一番の違いは、縫製では無く熱融着で留めてあること。これなら糸のほつれが無く破れることが無い。なにせガチなのでそこら辺に抜かりは無い。
ただし、ガチ軍用がベースなのでカラフルなものは無いし、色気もへったくれも無い。熱融着部分は固まることで硬質化しているのでその部分は柔軟性に乏しい。ベルトの末端処理もカットがナナメになっていたりして、実用性で問題が無いところは徹底的に手をぬいてある。
ミリタリーって本来そういうものなので、ファンならこっちの方が良いかもしれないが、普段使いするにはちょっとスパルタン過ぎる印象。
そもそも、国内での正規取り扱いがクロノワールド1社しかなく入手性は低い( Amazon.co.jpに出店してるけど )が、ここまでガチな奴を使いたいユーザは極少数だろうし、1本4100円は正直高いしお気軽では無い。やはり「本物」にこだわる人向けだろう。
「NATOストラップとは本来こういうもの」が解ればそれで十分かな、ということで、自分はブラックの一本だけを所有している。
バンビ NATOタイプストラップ
https://www.bambi.jp/products/list.php?category_id=306www.bambi.jp
- 1500円前後(サイズにより違いあり)。
- ビックカメラ、ヨドバシ、街の時計屋、ネット、どこでも購入可能。
- 品質に安定感あり。
- 雰囲気がいまいち。
バンビと言えば時計バンドブランドとしては国内では鉄板中のド鉄板。レザーバンドやメタルブレスなど、わりと安価で実用的な物が多い印象だ。
NATOタイプを細かいところで見ていくと、おそらく他のスポーツ用ベルトや汎用の金具(尾錠)を流用していると考えられ、カラーリングは色が薄いというか浅い感じだし、ストラップの織りも荒い。頑丈そうではあるが全体的に「NATOっぽい」雰囲気が重視されておらず無く作り込みが浅い。
スポーティな腕時計であればガシガシ使い倒すのも有りだが、オシャレな時計に付けたいかと言われれば、好みが分かれるところだと思う。販路が広くどこでも買える、安価で気軽に買えるというのが一番のアドバンテージかもしれない。
CASIS TYPE NATO
- 1500円前後(取り扱いショップによって若干差がある)
- ネットショップまたは一部の時計屋(TiCTAK等)のみ。
- 現時点で高い安定感とコスパ。
- 入手性が微妙。
バンビと同じく国内のバンドメーカー。バンビより高級路線というかちょいオシャレ系な感じのが多い印象。
NATOストラップについてはSSC137P1で長期間愛用してという事もあって、個人的には評価は高めにせざるをえない。以前の記事の写真でわかるとおり、かなりくたびれてはいるがほつれなど発生せずトラブルも無く使えている。
縫製はしっかりしており、織りも細かく肌に当たる部分も滑らかで付け心地が良い。
Amazonだとラインナップされていないカラーがあったり、店頭在庫が極端に少なかったりするので、楽天市場の正規取り扱い店(MANO-A-MANO)をあたるしかない。つまり微妙に入手性に難がある。
楽天はあまり使いたくないんだよなぁ・・・。
と思ったら、最近はMANO-A-MANOの公式からAmazonPayで購入できるようになったらしい。なら断然こっちだわ。
ZULUDIVER、Geckota
- Amazon.co.jp(WatchGecko)にて 3200円。
- 渋めのカラーリングが特徴か。
- 質も悪くない。
- 価格については微妙。
ZULUDIVER、Geckotaと製品ブランドとしては分かれているのだが、おそらく同じ母体メーカーだろう。どちらもAmazon.co.jpにてWatchGeckoというショップの取り扱いになっている。
どちらにもブランドのタグが付いている。はっきり言って不要だが、他のブランドとの大きな差異にはなっている。
ストラップの質はCASSISよりちょっと滑らかで織りが細かいストラップを使っている。尾錠の形状はPhoenixオリジナルに近い。縫製もしっかりしていて悪くないが、CASSISの倍近い価格差を考えたときにそれが適正かどうかは正直なところ微妙な感じだ。
自分が持っているのはこのZULUDIVERが2本、Geckotaが1本。
色合い的に渋めのMM200に合いそうということで購入。JBのブラック+グレイ(最近の007で使っていたカラー)は渋めの色合いでお気に入り。グリーンっぽいストライプ(ジェームズボンドが映画で付けてた本当のJBカラー)もかなり複雑な配色が特徴でわりとMM200に合う。おそらくオリジナルとも違う特徴的なカラーリングなので、このカラーが欲しければ良いのでは。
CIVO
- Amazon.co.jpにて1200円程度
- 安かろう悪かろう・・・
- カラーと在庫は豊富
ストラップ自体の質は悪くなくCASSIS製に近いのだが、縫製が手抜きっぽかったり、定革・遊革の金具がキッチリ正方形に成形されていない、個体差が大きいなど、作りの雑さや品質管理の甘さが目立つ。もう数百円足せばCASSISやバンビがあるので、正直コスパが悪いと言わざるを得ない。
ただ、CASSISはカラーによっては(Amazonでは)欠品が多いため、気になるカラーリングがあるとどうしても手が出がち・・・
CIVOというブランドは中国の時計ブランドらしい。Amazonだと時計本体とのセット売りを勧めてくる。
Calme
- Amazon.co.jpにて1000円弱
- やっぱり安かろう悪かろう・・・
- CIVOよりは多少マシかな?
CIVOよりさらに安い価格帯(ぶっちゃけどんぐりの背比べだが)。金具はCIVOよりマシだが、やっぱり縫製は雑。
積極的に購入する理由は無いという判断。
ダイソー
すっかり忘れていた。
一時期ダイソーの300円時計に付いていたため、このストラップ目当てに時計を買う人も居たらしい。現在ではストラップ単体で購入できる。
なにより安い。なんせ100円で買える。
カラーは6パターンあるそうだが、オーソドックスなカラーに混じって「ネイビー+グリーン」なんて微妙なものもあったりする。自分が入手できたのは2色のみだ。
ダイソーは店舗によって在庫があったり無かったりが激しい(まったく在庫が無い店舗もある)。また商品の入れ替えが頻繁で1つの商品が長期間継続して売られる可能性が低いので、どうしてもほしければ早めに確保するしか無い。
バンド素材の厚みが明らかに薄く、ストレートに言えば低質。質が低くても100円なら許せるし、改造したり、”材料”として使うのもアリだ。幅が20mmしか存在しないが、加工して18mmのチプカシに取り付ける例もあったりする。CIVOやCalmを買う前に、こっちを使って検討してみてもいいかも。
俺も「なんでも汎用工具袋」に入れた奴はこっちに切り替えようかな。
MARATHON US MIL SPEC STRAP
これは米軍なので厳密にはNATOタイプではないが、近いのでこっちに書いておく。
NATOに対して、米軍は「引き通し」というのが大きな違いだ。NATOとアメリカの気質の違いが良く現れている。
これもPhoenixと同じく「本物」ではあるが、そもそもがMARATHONにつけるためのオプションとして販売されている。ロゴなどが入っていたら他の時計に使うのはためらわれるが、さすがにMIL SPEC準拠なだけあってそういった物は入っていない。
購入したのは幅20mmのデザートタンの「エクストラロング」。30cmと長いストラップだが購入の際にバイクウェアの上から巻くことを想定したため(実は前述のPhonix G10も30cmでおそらくウェアの上に巻くことを想定していると思われる)。
ところが付けようと思っていたSSC137P1の22mmではなく、間違えて20mmを購入してしまったため出番が無く、「なんでも汎用工具袋」にSUNTOのリストコンパスを付けて長らく放置していた。
最近になって20mm幅を使うことが増えたことと、リストコンパスはバックアップ時計の方に付けることになったのでスタメン復帰となった。
とはいえ、20mmのMM200をバイクウェアの上から付けるのには抵抗があるし、そもそもバイクの時にはMOTO-Rをつけるのでやっぱり出番が無いという不憫な子状態。
コスパ的にはCASSISか
と、これまでに購入したNATOストラップを挙げてみた。
ブランドごとに差異はあるが、『何買えば良い?』と聞かれたなら「安価で安定した品質」「雰囲気も良い」という意味では現時点ではCASSISがオススメになる。
量販店で現物を確認しやすいのでバンビが次点、どうしても欲しいカラーがあるならGeckota・ZULUDIVER、本物が欲しければPhoenix、といったところか。
本体の次は交換バンド沼が続く・・・
また試していないブランドはある。イタリアのバンドメーカー、モレラートのNATOや「パーロン」など。パーロンは夏場向きっぽいのでそのうち一本買ってみようと思っている。 今回はNATOのレザータイプは除外してナイロンベルトのみを挙げた。レザーNATOは使い始めて日が浅いので、秋口に本格的に使うようになってからレビューしようと思う。
NATOタイプに限らず、バンドに関してはレザーバンドやメタルブレスもいろいろと試してみたいところだ。本体をいじらず気軽に安価に雰囲気を変えられるバンドは楽しい。ただ、先に挙げたとおり、発注したカラーが自分の時計にドンピシャに合うかどうかは試してみないと解らないという部分がある。幸い、安くてそれなりの物があるので、それを色々とやってみるしかないのだろう。
ストラップが増えて余って、それに合う時計を探すのもいいかもしれない。
本末転倒の極みだが。