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CT125 自作レッグ(フット)ガード

※本記事内で「レッグガード」「フットガード」という二種類の表記揺れがあります。なぜ揺れがあるか・・・自分でもどっちなのかよくわかっていないから。「まぁどっちでも大差ないやん」ということでそのままにしてあります。

※レッグ(reg)=脚、フット(foot) =足

実用性完全無視の雰囲気装備

陸自偵察オートのレッグガードみたいなやつをCT125に付けたい」

・・・とか思ったんですよ。

ja.wikipedia.org

これを思いついたのはまだ納車される前の2020年の秋頃。4月に予約して入荷が11月、それまでにできることって「カスタムどうしようかなぁ」などといろいろ妄想をするしかやることがない時期。

CT125 のマットフレスコブラウンはその色合いからデザートタンカラーのミリタリー(砂漠迷彩)なイメージがあったので、ミリタリー風味なカスタムも入れてみたいと思っていた。自分はミリタリーマニアではないのでガチガチなミリタリーにするのは抵抗があるが、「風味」としてさりげなく取り込む分にはいいかなと。その「風味」の一部として一七式特殊荷箱を取り付けることは決めた。が、これだけだとすこし何か物足りない気が。

オリジナルに寄せるのは無理っぽい

ゼロからガッツり作り込むには溶接が必要で敷居が高い。かといって本物を入手するには相当手間がかかりそう。それなら既製品のパーツを流用改造できるものがいい。

ということでレッグガード。既製品でパイプを曲げたものが何種類か出回っているので構造の基本部分はこれを使い、スチール板を貼ればそれっぽく作ることはできるはず。

そもそもこのレッグガード、どういう意味があるのか。

軍用車両というと防弾装甲だが、パイプフレームにスチール板をはめこんだこのレッグガードに大した防弾性能があるようには思えない。もちろん「何も無いよりはマシ」ではあるだろうが、足を守るとしてもこの高さでは腿までカバーできない。防風効果も同じくだ。そもそも防弾を考えたら生身を晒す二輪車を採用する時点でナンセンス1Wikipediaに上がっている写真を見ると、バイクを倒して隊員は伏せて射撃をするという使い方があるようだが、エンジンブロックなどの固いものを防壁がわりにしてるっぽい。つまりレッグガードは直接防弾に関係がないと思われる。

となると想定用途は、

  1. 倒したときに隊員の足を守る教習車のエンジンガード的なもの
  2. 走行時の跳ね石や草木から足やペダルを守るブッシュガード的なもの
  3. バイクを倒したときに伏せた隊員の分の高さを確保するための突っ張り棒的な物
  4. バイクを倒したときにリアパニアと高さを合わせて安定させるため

ってとこだろうか。

前半二つはともかく後の二つは明らかに自分には要らんですね。もちろん防弾性能は不要なのでオリジナルみたいな強度は不要。ということで実用的な鉄板の強度などは考える必要がなく雰囲気重視の自己満足カスタムで十分と落ち着いた。

見た目を似せるために、オリジナルにあるような鉄板にリブをつける方法を調べたが、やはりプレス加工が一般的な方法になる。プレス加工用の金型を作るとしたら100個以上2の量産品ならともかく、ワンオフのために金型を起こすのはさすがに無理だ。

鉄工関係の友人に相談したところ、やはり

金型は現実的では無い。

とのこと。しかし

雰囲気を出すのならオフローダーやトラックの装飾に利用される
縞板鋼板風のアルミ板を使ってはどうか?

なるほど。それなら立体成型をする必要が無く切り出すだけで使えそうだ。後から取り付ける予定の一七式特殊荷箱の天面も縞板風になっているのでそちらに合わせるという意味でも良い。

おおよそこんな感じで、あとはいつもどおりの現物合わせで行く。

制作

計画

この計画をたてたのは去年の秋・・・実はブッシュガードはこの計画は織り込み済みで選択していた。 ブッシュガードの取付ネジ部分に板を共締めできるというのも隠れた選択理由だったりする。

アルミの縞板は近くのホームセンターには無かったのでモノタロウにて取り寄せ。

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同じサイズを2枚として、左右それぞれ用に切り出す方針だが、最初から2枚分つながった物を買った方が余り分を有効活用できたかもしれない。2mm厚のもので思いのほか重みがあるが、これだけ固ければアルミのボックスの構造体として利用できそう。逆に言えば何かの曲面に貼り付ける用途には加工困難で向かない。

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エンジンガード側は取付ネジに共締めするが、これだけではブレが出そうなので外側に固定するためのステーを購入。本来はケーブルを他の部材に固定するための結束用ハーネスクリップ、つまりこの輪っかの部分にケーブルを通すもの。これを逆に使って結束側をφ20mmのブッシュガードのパイプに、ボルト穴側をアルミプレートに固定する。ハーネスクリップの輪っか側にゴム加工がされているタイプでこのまま取り付けてもパイプ側に傷がつきにくく滑りにくい。

3カ所で固定するので振動でブレてプレートとパイプが接触することは無いだろうが、プレートの切断面を隠してパイプとの隙間が開くという見栄えを軽減する意味も兼ねてPOSHのゴムモールを購入。これはアルミタンクの縁にはめるものだが、中にクリップ状の芯がはいっていて組み付けると外れにくいもの。

塗装はアルミホイール用の艶消し黒、サーフェイサーとして以前フォグランプのスイッチステーに使ったミッチャクロンマルチがまだ残っているのでこれを使用。

型紙取り

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ブッシュガードを車体に取り付けた状態で段ボールで型紙を採る。裏返せば左右両方に使えるので1枚で良い。

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マーカーで縞板の裏側に型を転記。同じパターンの繰り返しなのでどのように切り取っても柄は合うが、左右の角度は同じように合わせないと縞柄が片側だけ角度が変わってしまうところだけ注意する必要がある。

全体的にざっくりとした方針だが取付穴の位置だけはシビアに採らないと取付自体がうまくいかなくなるので、切り出した後に現物合わせで位置を拾う。

部材切り出し

2mm厚とはいえアルミなので金属のこぎりで切断できなくは無い。が、正直めんどくさい
今後いろいろ使う可能性があるので、思い切ってホームセンターでグラインダを買ってきた。

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100mm径で固定速度だがちゃんとマキタの奴ですよ。本体のわりになんか妙に安い(500円)純正の補助ハンドルが1本だけ在庫であったのでこれも同時購入。切断砥石は「レジトン 金の卵」という奴。なにをもって「金の卵」なのかよくわからんが、仕事で現場の職人さんたちがよく使っている3ものなのでよっぽど変な物ではないはず。#600の研磨ペーパーとホルダーも購入したが、本体の箱の中に研磨砥石が付属していた。番手が違うからまぁいいけどさ。

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切断砥石を使うときには火花の飛散防止他のために切断砥石用カバー4を付けたいが、マキタ純正は4000円程度と高価。モノタロウにPB商品の切断砥石カバー(同じくPB商品のグラインダ用として売られている)が使えそうな事がレビューにあった。安いので他の部材と一緒に購入したが、無事取付できた。

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実際に切断したところ、なかなか思うように切れない。カバーで切断箇所を確認しづらいというのもあるが、板をガッチリ固定しないと振動(ビビり)で接触面がブレがちになり余計にまっすぐ切っていくのが難しい。アルミはスチールより粘りがあるので、接触面積の多い板状の面に当てると抵抗が大きくなり振動につながる思われる。

まぁ何度も切り直す手間を省くための電動工具なんだけどね。グラインダでおおまかにざっくり切った後削り込んで成型。大きくない部材なので切断面は卓上グラインダで整えた。モールを付けるので切断面を真っ平らにきれいに整える必要は無い。

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穴開けと表面処理

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現物あわせで取付穴を拾う。
ブッシュガードの共締めの穴はφ6mm、ハーネスクリップの穴はφ5mm。ブッシュガードの穴と同じように横方向に楕円状に広げたかったが、ドリルの刃が滑るので最終的にはリューターで広げた。

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穴がきれいに広がらずちょっと不細工だが・・・どうせワッシャーで隠れるので気にしないことにする。

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縞板模様は基準の2mmより盛り上がる形についている。ワッシャーを通すときに縞の盛り上がりの部分が干渉するので、ボルト穴付近の盛り上がりをグラインダで潰す。

ゴムモールは2mm厚まで対応しているが、先に挙げた縞の部分の盛り上がりがあるので部分的に3mm厚程度になっている。モールを付けるとこの部分が広がってぴったり合わなくなるので、切り端から5mmほど内側までの盛り上がりを潰しておく。

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ゴムモールを付けた状態で、外したブッシュガードとの合わせ。やはり左右で多少のズレがでてしまっている。板の外周を削ったり取付穴を広げたりと修正。盛り上がりを潰したり修正の段階で表面に傷がはいっているが、どうせ塗装前にヤスリをかけるし塗装したら気にならないだろうから無視。

塗装

塗装の下準備として、金属ブラシと#600番の研磨砥石でアルミ表面を荒らしておく。グラインダの砥石だと縞板パターンの細かいところまで届かないが、今回はミッチャクロンを吹くのでよっぽど丹念にやる必要はないだろう。剥がれるようなら再塗装する方針。

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シリコンオフスプレーで脱脂後、ミッチャクロンは2回重ね塗りを両面。

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本塗装(艶消しブラック)は裏表3回づつ。

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塗装時期は4月中旬で夜は冷え込むことが多かったが、乾燥時間を長めにとって(仕事終わりに2晩ほど)しっかり重ねた結果なかなかカッチリとした感じで仕上がった。艶消しなので仕上げのクリア塗装は行わない。

ついでにハーネスクリップの外側に当たる部分を同じ艶消しブラックに塗装。まぁボルトはステンレスシルバーなのでここだけ塗っても特に意味は無いのだが。

組み付け

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全体を仮止めしてから位置調整の後、いったん本締めして固定。 最終位置が確定したらボルトを一本づつ外しネジ止め材を塗布して締め付け。
自分の持っているトルクレンチは最小設定トルクが19N・mで規定トルクの8N・mが計れないため「手ルクレンチ」で締める。

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完了。もっと下側に動かせると理想イメージに近くなるんだが、ブッシュガードを固定できる最低位置が写真の状態までなので仕方が無い。

完全自己満足プロダクト

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オリジナルのレッグガードの要素を抽出して雰囲気だけでも再現したかったが、諸処の条件により最終的に元ネタと大きく異なるものになってしまった。この最終形だけ見たら偵察オートが元ネタなんてだれも思わないだろう。が、これはこれで悪くないんじゃ無いかと思っている。
実用のミリタリーと見た目だけの民製品の中間みたいな位置づけ(それって単に民製品じゃね?)だが、「完全自己満足」なので無問題ってことで。

さあて、残りはトップケースとパニアバッグ、あとはトレールタイヤか。


  1. これまたそもそも論だが、偵察オートは「偵察(scout)」のためのものであって、基本的には交戦しない前提の運用のはず。

  2. ここでは100個と書いているが、そのためにプレス金型を作るのはコスト的に割に合わない。本来は数千個単位でなければペイしないはず。しかし陸自のなかでも配備数が多くないと思われる偵察オートバイのためだけに1000個もの生産を行うとも正直思えないので全体+スペアパーツとして100個というざっくりした数を挙げた。つか実際の所、偵察オートは何台配備されてるんだろうかね?

  3. 昔、ヘルプで電気工事の現場に行くことがあるが、俺自身は切断砥石を扱う資格(「回転砥石取り扱い現場教育」だっけ?)を持っていないので使ったことが無かった。こういうところはちゃんとしてるんだよなぁあの会社。

  4. 研磨用の砥石は砥石面を当てるため片側が開いているが、切断の場合は砥石の円周部分を当てるので両側が覆われたカバーを使う。まぁ無くても良いっちゃぁいいんだけどね。