前々回の記事でETC車載器の交換が終わり、必須だと思っていたものがすべてそろった状態になった。
ETC、フォグ、カーオーディオなど、新車で買うなら「最初からオプションなりなんなりで付けておきたいもの」がすべて出そろった、いうなれば初期状態。初期状態になるまで1年半もかかっていた事実については目をつぶりつつ(笑)、今後のパジェロミニ弄りの記事は大きく分けて2種類に分類できる。
- 老朽化箇所の「リフレッシュ」と基本装備・機能の「近代化」
- 前回のルーフラック計画のような「便利装備・おたのしみ装備の追加」
「リフレッシュ」は単体でも進められるが、「近代化改修」を行う場合はパーツを交換してしまうので「リフレッシュ」と同時に進めることになる。今回の灯火類のLED化もそんな「リフレッシュ&近代化改修」のうちの一つとなる。
灯火類をLED化
夜はオルタネータに厳しい
夜間の信号待ちで時計の電圧降下アラートが鳴動することがある。
去年の冬からだが、今年は頻度が高い。
最初に取り付けた車載電波時計には電圧が表示できるが、11.5V以下まで降下するとアラートが鳴ってくれる。細かく変動しがちな電圧を表示するためおよそ30秒アベレージだと思われるが、
- 冬場
- 夜間
- 信号待ち(右左折)
この3条件がそろったときに結構な確率で電圧降下アラートが鳴っている。もちろん始動直後にも鳴るがファンベルトが暖まっていない状態ならオルタネータを十分に回せていないので仕方が無い。十分暖まっているにも関わらず電圧降下が発生すると言うことは、
『アイドリングの回転数(1000rpm弱)での発電容量に電装の負荷(消費電力)が追いついていない』
と考えられる。
- 冬場 ⇒ 低気温、エアコン(Fウィンドウヒーター)やRデフォガ作動、降雪ならワイパー動作
- 夜間 ⇒ 灯火類(スモール、テール、ヘッドライト)が常時点灯
- 信号待ち ⇒ アイドリング状態、ブレーキ点灯、ウィンカー点灯
アイドリング状態ということは、エンジンの回転数が低い⇒オルタネータ(発電機)を回す力が弱い⇒発電量が低いということになる。発電量が低く、なおかつ電力を要求する要素が多い、ということだ。
この状態を再現した時の電圧表示がこれだ。 アラートのしきい値をギリギリ切る。この状態でハイビームにしてさらにフォグ(35W)を点灯すると、
10V台まで落ちる。信号待ちでハイビームとフォグを同時点灯させることはありえないが、ここまで負荷がかかってしまう可能性があると言うことだ。余裕が無い。
可能なら「オルタ交換」が良いが・・・
根本的に発電量を増やすなら、オルタネータの交換がベター(あえてマストとは言わない)。
そもそも、ベアリングのような回転部品が使われているオルタネータには当然寿命がある。古くなればなるほど回すための負荷が大きくなるので、新品に交換すれば負荷が減って発電効率が復活する。古い車種なので交換時期は10万km超えからあたりになるだろうか。供給電力が新車の時からこうなのか、古くなったからなのかは解らないが、設計時点で発電量が低いなら根本的な対応として「高効率オルタネータ」に変更するという手が使える。
オルタネータが交換済みかどうかは整備記録が残っていないのではっきりとしたことは言えないが、入手時の走行距離は14万kmなので新車時から交換済みかどうかは微妙なところ。自分が新車から乗り続けていたとしたら「そろそろオルタあかんわ」と言われない限り交換は検討しない。特定条件下で無い限り問題は発生しないし、電圧降下に気がついたのも電圧計がついているからな訳で、普通に乗っていたら気がつかないだろう。つまり「新車の状態から交換されていない」と考える方が自然。
中古車(しかもバックヤードに放置されていた個体)である以上、老朽化パーツの交換はつねに視野に入れるべきだが、「交換時期や走行距離が明確に規定されている」、または「ある日突然破損してダメになる」、あるいは「クラックなど予兆がはっきりしている」パーツと違い、徐々に劣化していきそれなりに高価なパーツは交換を決意するタイミングが難しい。
オルタネータ交換は、やはり費用面が一番の障壁になる。修理工場で新品に交換して「10万から上」というのが相場らしい。バイクとは違い、さすがにパジェロミニの新品部品が出ないというのは考えにくいが、四輪の世界なら「リビルド品」という手もあり、ネットでは15,000円あたりから入手できるようだ。高額になるのはやはり交換工賃だが、率直に言ってDIYで交換できそうな気が(いまのところ)しない。
もちろん、今後も末永くのっていくつもりなら、予防措置もかねてやって損は無い。が、好き勝手に弄っているとはいっても、このパジェロミニをあとどのぐらい乗り続けるかはわからないというのが正直なところ。
消費電力を軽減する方向で
根本的な容量を増やせないなら、消費電力を減らすアプローチしかない。
ユニット型のLEDヘッドライト、つまり灯具自体を変更するのは費用面・技術面で敷居が高いし、パジェロミニのカットレンズ式ヘッドライトは後付フォグと雰囲気を合わせるという意味でも変更したくない。よってお手軽かつ低コストで、カットレンズの灯具をそのまま使うLEDバルブへの交換とする。
昔(といっても20年以上前)の交換式LEDバルブのイメージは良くなかった。出先でFirestormのメーターバルブが切れたため用品店でLEDのウェッジ球に交換したが、暗くてタコメータの面積の半分も照らせていなかった。今回近代化に踏み切ったのはFirestormのヘッドライト/ポジションバルブを交換してみて、交換式LEDバルブの性能がかなり上がっているという実感を持てたからだ。
二輪用のLEDバルブで効果が高くコストもかなり押さえられているということは、二輪よりも需要が高く変化が早い四輪用なら性能と信頼性はかなり良くなっているはず。当然二輪車用より安い。今時はホームセンターの交換バルブコーナーに陳列されているほど手が出しやすくなっている。
今回は以下の3カ所をLED化する。
- スモール :T10
- ヘッド(ロー/ハイ):H4
- リア(ブレーキ/テール): S25ダブル
左右必要なので合計6箇所
雪国で懸念されるヘッドライトへの着雪が溶けない点については、フォグランプをハロゲンのままにしておくということでクリアされる。(4代目ジムニーの見積をとったときも、ヘッドはLED、フォグはハロゲンとしていた)
ウィンカーのLED化については考慮検討すべき点がいくつかあるため保留とする。
ハロゲン(白熱球)が前提のウィンカーバルブを単純にLEDに交換した場合、所謂「ハイフラッシャー」現象が発生する可能性が高い。
バイクのLED化カスタムでもおなじみだが、「ハイフラ」対策としては3パターン考えられる。
- ウィンカー回路に抵抗を挿入する
- ハイフラ対策LEDバルブを選ぶ
- LED対応ウィンカーリレーに交換する
購入・準備するものが大幅に変わってしまう。
また、ウィンカーは前後左右に加えてサイドマーカー(車体側面)の合計6カ所あって交換だけでも手間が違うし、前横後でバルブのタイプががすべて異なる。
場所が多いと言うことはその分消費電力も多いと言うことだが、他の部分でカバーできれば後回しでもいいかと。
今回のベンチマークは、高負荷な状況、夜の信号待ちウインカー点灯状態として、電圧降下アラート(11.5V以下)が鳴らなければ成功とする。
LEDバルブへ変更
手っ取り早く近くの用品店でそろえた。
- ヘッド(ロー/ハイ):H4 ⇒ PIAA LEH180 (2個セット)
- スモール :T10 ⇒ PIAA LEP127 (2個セット)
- リア(ブレーキ/テール): S25ダブル(レッド) ⇒ POLARG P2278R
合計15,000円。
信頼性という点で純正バルブを製造しているブランドから選択した。リアの「POLARG」は小糸製作所のグループ会社の日星株式会社のブランドで、店頭に置いてある適合表はKOITOとの連名になっている。「PIAA」については今更語るところは無かろう。すべて「車検対応」の記載がある物。
消費電力の低減という点ではやはりヘッドライトが一番大きい。冷却フィンが付いているような大光量のハイエンドモデルもあるが、今回の目的は「消費電力低下」が主軸なので高価ものを選ぶ必要は無く、最終的にハロゲンと同程度かそれ以上の明るさで「車検対応」ならOKとする。 それにしても車検対応でH4のLED球が2個セットで10,000円を切るなんて、安くなったもんだ。
スモール(ポジション)の選択理由は・・・オートバックスの会員セールで半額の999円だったから(笑) ポジションランプはヘッドライトのように「照らす」のではなく車幅を対向車に「示す」のが目的なので、闇雲に明るい必要が無い。それでもPIAAのECO lineの30lmより明るい45lmだ。色温度はヘッドライトの6000Kに合わせている。
リアは、S25ダブル球なおかつレッドがこれしか無かったから。レンズは赤色なので白色/電球色のバルブでも(車検では)問題にならないと思うが、LEDだと赤レンズを白味/黄味の光が貫通(?)してきれいな赤色に見えないことがある(つまり黄ぽかったり白っぽかったりする)。あと、今後クリアテールに変えてもそのまま使える。丸目パジェロミニのクリアテールがあるのかどうかは知らんが。
スモール(ポジション)
まずは簡単なところから進めよう。
スモールはウインカーと一体化しているレンズのネジを外せばフロントバンパーから引っこ抜ける。
T10ウェッジ球を交換。
写真左がLED、右がハロゲン。色温度が上がって白っぽくなっているので見た目の変化が大きい。光はシャープな印象をうける。
右側もLEDに交換して完了。あとから「そういえば極性どうなってるんだろう」と気になった。ハロゲンのウェッジ球は極性の違いが無いので、おなじように何も考えず差し替えただけで問題なく点灯したが、バルブ側で無極性になっている可能性はある。
ヘッドライト(ロービーム/ハイビーム)
バイクと同じようなロー/ハイ一体の普通のH4バルブ。
外し方が解らずネットで調べる。外す手順は、コネクタを抜く⇒防塵カバーを引っこ抜く⇒ストッパーを外してバルブを取り外す。コネクタは片側にプッシュボタンがあるので押しながらになる。
防塵カバーを付ける前にテスト点灯。写真左がLED、右がハロゲン。
ロービーム。ハロゲンはホワイトバルブをつけていたので色味はほとんど変わらないが、昼間でも全体的に明るいのがわかる。
ハイビーム。こちらはぱっと見は違いがわからない。PIAA LEH180 はハイビームはロービームとの同時点灯になるため、ロービームの配光+ハイビームの範囲を照射する。NM4やCT125と同じだな。夜間点灯してみないとなんともいえない。
防塵カバーを付けたが、ハロゲンより後ろ側に出っ張ってしまっている。ピンの根元が目視できるような状態になっているが、これは大丈夫なんだろうか?
ハロゲンとLEDを比較すると、ピンの長さは同じだが根元の部分が長いため、今まで防塵カバーの縁に隠れていたピンの根元が外に飛び出して見える状態になっていることがわかった。ピンの長さが変わらないならコネクタを差したときに根元が露出するのは仕様だろう。それなら問題ないんだろうが、若干気持ち悪い。
ピンの部分にテープを巻くことも考えたが、空間が出来ることで熱がこもるかもしれない。一旦このままで様子見とする。
両方交換して完了。
テール&ブレーキ
テールゲートの内側にあるネジ2本を外し、手前側に引き抜くとテールランプASSYがごそっと外れる。
テール&ブレーキは一番上。真ん中がウィンカーで下はバックランプ。
バルブの内側に結構煤がついているな。
テールとブレーキ2極が決まっているのに電球と同じような金口でどうやって向きを決定しているのか不思議だったが、金口の2個の突起の位置(深さが)がそれぞれ違うため、間違えて逆にならないようになっている。そういう構造だったのか。
テールランプ点灯。写真左がLED、右がハロゲン。写真ではハロゲンの方が明るそうに見えるが、明るいのはバルブのある中心で、LEDの方がまんべんなく全体が明るい感じになっている。
ブレーキ点灯(ブレーキペダルに雪下ろしブラシの枝をつっかえ棒にして押している)。こちらはLEDとハロゲンの明るさに大きな違いは見られないが、LEDは真ん中が黒点みたいな感じに暗くなっている。バルブの先端にはLED素子が無いためだろう。テールもブレーキもポジションランプと同じく「示す」のが役割なので明るければいいという訳では無い。一体式(増光式)の場合はテールとブレーキの光量の差さが大きい方がはっきりとわかりやすい。このバルブで問題は無いだろう。
右側のテールランプASSYのネジはテールゲートドアのヒンジの間を挟むため若干脱着しづらいが、それ以外は左側と同じ。
ちなみに、うちのパジェロミニのリアスポイラー内蔵ハイマウントストップランプは、砲弾型LEDを横一列に並べた昔ながらのタイプ。やろうと思えばそれぞれの素子を高効率な物に置き換えるということもできなくはないだろう。まず確実にそんなメンドい事やらないが(笑)
LED化の効果
夜間走行してみた感想としては、ロービームがハロゲンよりも明るくなっていることを実感した。逆にハイビームはそれほどでもない。ハイビームにするとハイの素子とローの素子が同時点灯、ロービームの配光にハイビームの配光が追加される形なので、ロービームのエリアの明るさがハイビームの明るさの印象を消してしまっているのかもしれない。
配光はカットレンズのためかマルチリフレクターのように大きく影響を与えないようだ。
スモール(ポジション)は走行には特に支障は無い。色温度が上がり白くなったため、フォグのイエローとのコントラストが強くなった印象。
テール&ブレーキについては・・・とりあえず特に問題はなさそう。というか走行中に自分では確認できないし。
次に負荷軽減効果について。
前述の冬の夜の信号待ちシチュエーション「エアコン、ロービーム、ウインカー、ブレーキ」で電圧は13.5V。通常のアイドリングで無灯火が13.9~14.0Vなので相当負荷が減っている。
さらに、ハイビームにしてフォグをON、ハザードを焚くという負荷を掛けても12.7Vでアラートは鳴らない。電圧降下の割合が一気に大きくなったが、30W×2のフォグとハザード(ウインカー全点灯)はやっぱり重いんだろう。まぁアイドリングでこの状態になることは通常はありえないが。
標準のハロゲンと比較して、明るさという面ではハロゲン超え、消費電力ではテキメンに違いが出る。ベンチマークの結果は「成功」。LED化の効果は十分にあると実感できた。
消費電力
数値上ではどのぐらい違いがあるのか。
標準ハロゲンとLED化した場合の容量を表にまとめたものがこれだ。
ハロゲンの定格は小糸のサイトの情報を元にしている。
LEH180はハイビーム時にはロービームと同時点灯となるが、パッケージの定格には「18W / 18W」となっている。これが、ハイとローそれぞれの素子の消費電力なのか、ハイ点灯(ローと同時点灯)時とロー点灯時の消費電力なのかわからない。・・・まぁハイ/ロー同時の容量がローと同じな訳がないので、それぞれの素子の消費電力だとして、ハイビーム時にはロービームの容量を加える形で計算している。
またテール&ブレーキについて、パッケージには「2.7W」との表記はあるものの、テールとブレーキ合算なのかブレーキだけなのかが解らない。ブレーキだけと考えて、テールはパッケージ上の記載「消費電力1/8」をアテにしてハロゲンのS25ダブルのテールの定格の1/8の0.625Wとした。T10のLEDバルブがどれも大体0.5W前後なので大きく外れてはいないはず。
で、夜の信号待ちシチュエーションでいけば、172W掛かっていた物がLED化で44.25W、127Wの減少、およそ25%まで軽減されていることになる。LEDでローと同時点灯であるハイビーム点灯でも80.25W、およそ44%だ。やはりヘッドライトの消費量低下がいちばん大きい。
パジェロミニの電装のすべて合算の容量からすれば127Wというのは大きくは無いかもしれないが、実測で確実に効果が出ていることから、LED化は有効な手段かと。
まだウインカーとバックランプがハロゲンのままなので、さらにつきつめて消費電力を下げるならこれらを全部LED化ということになるが、容量が大きいヘッドライトと同時点灯の頻度が多いスモールとテール&ブレーキでかなり改善されたので一段落。ウインカーとバックは気が向いたら手を付ける予定。
おまけ:ルームランプ
アストロプロダクツの実店舗に寄ったときにたまたま見つけて、安かったので買っておいたルームランプのLEDバルブがあるので、ついでにこいつも付けておこう。
端子部分とLEDユニットが分かれていて、T10ウェッジ球・BA9sタイプ・ヒューズ型タイプに差し替えることが出来る。ルームランプの金口タイプを覚えていなかったけど、390円でレジ横に並んでたら「ちょっと試しに買っとくか」ってなるよね。
交換前のルームランプ。H56Aの車内灯はこの1つしか無い。まぁ、暗いです。
レンズはそのままパカッと外れる。バルブはT10のヒューズ型なのでヒューズ型のアダプタに差し替えればいけると。
端子のバネを広げてやれば普通に取れる。管の端っこがやたらと尖ってんだけど、これってこんなんだったけ?
ヒューズ管アダプタを付けた状態。配線がちょっと長すぎるな。納めるスペースはあるので適当に押し込むか。
LEDで極性アリっぽいので、車体側金口の極性チェック。広い方がプラス。
LED側は常識的に配線の赤い方がプラスだろう。
おー明るい明るい。
両面テープで固定できるタイプだが、車体側に貼り付けられる面積が足りない。まぁ、無理に貼り付けなくても動かなければ大丈夫だと思うが。
ハロゲンと比較したら圧倒的に明るい。マップライトとしてLEDライトを日除けに挟んでいたけど、この明るさならマップライト要らないな。400円以下でこれなら十分でしょう。