はい、買ってしまいました。ネット上(のある一部の物好きの間)では話題沸騰(?)のKINGJIM POMERA DM10。
1週間前まで存在を知りませんでした。
ここ最近ネット上で広く情報を仕入れることが少なくなり、新し物のチェックを怠っていたので、POMERA DM10(以下「POMERA」)の存在をしらなかった。WS020SHにインストールするソフトを探していて、たまたまGIZMODEの記事のさらにそのリンク先でPOMERAの存在を知ることになったのだけど、こういうのがあるならもっと早く察知しておきたかった。なにせ自分がPOMERAを知って慌てて探し回ったら、メジャーな通販サイトは「在庫なし」「次回入荷未定」「12月末ごろ入荷予定」ばかりになっていたという状況。もちろん地元の家電量販店、とくにKINGJIMのテプラを取り扱っている店を重点的に巡回したけど、取り扱い店は1店もなし。まぁモノが特殊なだけにはじめから期待はしていなかったってのはあるけど。
調べてみたら発売前から(よい意味でも悪い意味でも)噂になっていたらしく、10月ごろにはすでにいくつかのBlogに掲載されていた模様。
今回、なんとかとある文具通販サイトにて3色在庫ありの店を発見したので反射的にオレンジを注文、たったいま来たばかりのPOMERAでこの文章を打ち込んでいるという状況。
こういうの欲しかったんだ
実は、以前自分も同じようなガジェットを作れないかと考えたことがあったりする。Palm用シリアル接続キーボードに組み込みLinuxボードとVGAインタフェイス、パチンコLCDを組み込んで「VIM専用マシン」とかって。もっともこのアイデアは、
という超安直な発想からきているもので、結局のところ実現はしなかった(というより自分にそれだけの技術・知識がない)のだけど。
POMERAはこの自分の構想にわりと近いもので、エディタがVIMライクではないにせよWindowsの「メモ帳」専用機といった趣向。モノクロLCDの画面表示を見ていると、なんだか昔のノートタイプワープロ専用機を思い出す。
ファーストインプレッション
使い始めたばかりなので気づいた特徴を箇条書きで。
ハードウェア
- ◎:アルミ製の液晶裏の天板。オレンジだと四隅のボルトの黒がアクセントになっててイイ感じ。
- ○:わりと複雑なメカなはずだが、全体的にガッチリ作ってある印象。
- △:ガッチリ感との引き替えなのか、若干重みがある。ただし重みのおかげで打鍵が安定するという利点も。
- ×:天板以外の部分の塗装。Newton MessagePad 2100と同じようなウレタン塗装。高級感があり滑りにくいが、この塗装って禿げるとみすぼらしくなるという経験があるからなぁ。
- ◎:バタフライ式キーボード。まさにPOMERAのキモ。以前SL-C760に使っていたターガスのワイヤレスキーボードよりも格段にしっかりしている。しいて提言するなら、完全に開いた状態でのロック(沈み込みは無いが打った反動でちょっと浮く)をもうちょっと堅くしてほしいというところか。
- ○:打鍵感。ストロークは短いものの、緩いクリック感があり打ちやすい。キーピッチも下手なUMPCより広い。
- ◎:液晶蓋のヒンジ。180°まで開く。
- ◎:ハイコントラストなLCD。バックライトは無いが、ヒンジの開角度が大きいので、天井照明によって見やすい角度を選べる。
- △:電源。単四電池2本使用。省エネ設計のおかげでこれだけでも十分持つが、入手性を考えると単三電池2本でもよかったのでは?本体サイズとのトレードオフか。
- ◎:USBマスストレージクラスのUSBメモリとしてPCに直付けできる。USBケーブルが付属しているが、POMERA側は通常のminiUSBコネクタなので、市販の好きなケーブル(巻き尺タイプのケーブルなど)が使える。
ソフトウェア
- ○:IM。組み込み向けATOKということだが、初期状態でMS-IME互換モードになっている。Windows機に慣れていれば違和感無く使い始められる。
- ◎:入力レスポンス。超快適。変換速度も早い。キーレスポンスもよい。
- ×:変換辞書。正直なところ登録語彙が少ない。
- ×:ユーザ辞書。登録語彙の「よみ」に記号を設定できない。「ー>」で「→」を登録したいんだけどなぁ。
- △:ファイル一覧。ファイルのソートは更新日時の降順のみ。フォルダ分けもできない。せめてソート順の変更とファイル名検索は欲しい。
- ○:文字・背景の反転機能。自分はコンソールの画面に慣れているので黒バックの白文字にしている。
- ◎:一般的なエディタライクなショートカットキー。基本的な編集操作についてはまったく違和感がない。
- ×:メニュー・設定関連。なにか設定変更を確定する度に毎回毎回編集画面にもどってしまう。ユーザ辞書登録でも一語ごとに編集画面にもどるのはうっとおしい。
- △:展開できるファイルは1つだけ。テキストファイルを編集しながら、他のテキストファイルを参照することはできない。入力専用と割り切ればあきらめがつく。
- ×:空白キャラクタの表示は無し。半角/全角スペースやタブ、改行キャラクタの表示は欲しい。
- △:1ファイルにつき全角8000文字という制限。メモリ容量の制約なのだろうが、通常使うには全角8000文字(プレーンテキストで16kbyte)も打ち込む事はそうそう無いだろうし、許せる範囲だろう。ただ、もし制限容量を越えた場合の事を考慮して、自動的に次のファイルを生成・オープンしてくれるような仕組みがあっても良かったかも。
すげぇ良いところまで行ってるのに
ファーストインプレッションではハードウェア的な問題よりソフトウェア的な×の方が多い。エディタ機能のごく細かいところで詰めが甘い。すごく惜しい!もったいない!
Engadget Jpanaeseの開発者へのインタビューによると、ファームウェアの更新は「ユーザーの手元でアップデートすることを前提とした設計にはなっていません」ということらしい。今時のマイコンはさすがにマスクROMということはないと思うので、おそらくなんらかの手だてはあるはずだ。ハードウェアはこのままで良いので、細かい部分を修正して欲しい。そしてメーカ送付って形でいいのでなんとかアップデートを・・・。