あれだけ、「DM20で必要要件は満たしてる」だの「ちょっと今は金がない」だの好きなこと言ってたクセに・・・
- 出版社/メーカー: キングジム(KINGJIM)
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: オフィス用品
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ファーストインプレッション
『すげー、開きにくい』
天板側のとっかかりが浅いため、開くときにどこに指をかけていいかわかりづらい。
DM10を買ったときも同じようなことを思ったが、DM100よりマシだ。
「指を挟むから気をつけろ」というコーションラベルが張ってある。
まぁ、しっかり指を挟んだ・・・。
だって、指をかけるところがないから、片手で裏側をがっつりもって開くことしか思いつかなかったし。
天板はDM20のように交換できない。高級感を上げるためかプロテイン塗装がされているが、これはやめてほしかった。
Newton MessagePad2100を使っていて、最後の方に気になってたのか塗装の禿げだ。
プロテイン塗装は手に持ったときの感触は柔らかくて滑りにくく、はじめのうちはよいんだけど、やわらかい分、塗装が剥げやすい。特に摩擦の影響をうけやすい角から禿げてきて、だんだんとみすぼらしくなってくる。
開いた様子。
液晶横の機能キーが昔のワープロを連想する。もっとも昔のはSTN液晶で残像がひどく、もっさりした印象だったけど。
DM100ではキーボードの折りたたみがなくなり、天板を開くだけで電源がONにできるようになった。これは大きな進化点だろう。
バックライトは思っていたよりも見やすい。特にちょっと照明の暗い喫茶店なんかで打つのにちょうどいい。もちろん、深夜不意に目覚めて打ち込むのにも十分使える。このバックライトは完全にOFFにすることができない。
もちろん照度調整機能は付いているが、照度変更のたびに[MENU]-[設定]-[バックライト]のメニューをたどる必要がある。
たとえば[Alt]+ファンクションキーなんかは天板側の機能キーと同じ電子辞書やQRコード、Bluetoothなんかに割り付けられているので、このへんにバックライト照度設定画面が呼び出せるようになっていればよかった。
横から。DM20と比較するとすごく薄いのがよくわかる。
筐体デザインのアクセントなのか、ストラップホール(らしきモノ)がある。が、これはケータイストラップっていうか、ベルトみたいなモノを通す形だよな。
どうせなら、手前側につけて液晶を開くときの取っ手がわりにすればよかったのに。
基本機能はDM20から継承
今まで使ってきた限りでは、基本機能はDM20からそのまま継承しているようだ。
俺の必須要件になっているQRコードもDM20と同じように使える。むしろ、バックライトがついたおかげで暗い場所でも認識させやすくなった。ただ、連続QRコードの場合はページ切り替え毎にQRコードを生成しているのか、ページ切り替えにロードタイムが発生するようになった。
ユーザ辞書はDM20で使っていた物をSDカード経由で移行できた。補助辞書もDM20とほとんど変わらず。情報処理用語辞書が入っていないのもそのままだ・・・俺はこっちの方がほしいんだけど。
DM20では記憶にないんだけど、「インターネット掲示板用語辞書」、要するに2ちゃんねる辞書がある。これをONにすると「びっぱー」→「VIPPER」、「きじょ」→「鬼女」のような感じで変換できる。2ちゃん辞書の割には収録内容が微妙に偏っている気がしないでもないが・・・。
今回は「PC版ATOKユーザ辞書」が追加されている。SDカードに保存したATOKユーザ辞書をそのまま参照できるらしいが、俺はPCのATOKは使っていない。もしかするとAndroid版(IS11CAプリインストール)のユーザ辞書が使えるかもしれないが、あれは完全にフリック入力に最適化してあるからなぁ。気が向いたらインポートしてみようと思う。
新機能:2画面編集モード
2画面編集モードは、画面の行の下1/3を「参照ウィンドウ」として表示することができる。編集できるのは上の「編集ウィンドウ」のみで、キーボードショートカット[Alt]+[TAB]で上下ウィンドウを入れ替えることができる。
DM20まででは、別ファイルを参照するにはその都度ファイルを開き直す必要があったが、これで幾分かは便利になった。
難点は3つある。
その1。
2画面編集モードのON/OFFは毎回[MENU]-[設定]-[ファイル設定]とたどらなければいけない。2画面編集モードではファイルを開いていなくても必ず編集画面の1/3を占有してしまうので、必要ないときにはOFFにしたいが、使いたいときにはすぐにONにしたい。この切り替えはキーボードショートカットに割り付けしてほしかった。
その2。
2画面編集モードの上下ウィンドウの幅の変更ができない。参照だけとはいえ、編集ウィンドウよりも参照ウィンドウの方を大きく表示した状態で編集したいことだってある。個人的には参照ウィンドウと編集ウィンドウは同じ幅にしたいことの方が多い。
その3。
編集ウィンドウと参照ウィンドウに同じファイルをロードすることができる。これは利点なんだけど、問題は上下ウィンドウの内容はシンクロされないということ。
たとえるなら、上下ウィンドウは別プロセスのエディタで、ファイルの同期をとっていない状態に近い。
参照ウィンドウの表示位置を動かしたい場合、一旦ウィンドウの入れ替えをしてカーソル位置を動かし、再度ウィンドウの入れ替えを行うことになる。このウィンドウの入れ替えを頻繁に行っていると、どっちを編集していたのかわからなくなってしまう。
別ファイルだったら関係ないし、二つのウィンドウの内容がシンクロされているなら別にどっちをいじってても問題はない。
はじめに編集ウィンドウで開いたものをtest.txt(1)、参照ウィンドウで開いたものをtest.txt(2)とした場合、編集ウィンドウでtest.txt(1)を編集して保存、その後、ウィンドウ入れ替えをしてtest.txt(2)を編集して保存し、終了した。この場合、最終的にtest.txtに保存される内容は(1)、(2)どっちなのか?
答えは「『どうやら』最後に編集ウィンドウに表示されていたもの」
らしい。
test.txt(1)で保存しtest.txt(2)でも保存した場合、ウィンドウ切り替えをしたあと[MENU]-[ファイル]-[編集を終了]をすると、最後に[編集を終了]した方が保存されていた。このとき(どちらも保存済みなので)保存確認のダイアログがでないため、余計わかりづらい。
※再度確認が必要。俺は一回これで失敗して、古い方で上書きしてしまってから、2画面編集モードを使う気を失ったもんで。
便利に見えるが複雑になった分、わかりにくいと思う。
まとめると「UIや説明に練り込みが足りないため、混乱の元になりかねない」
結論は「迂闊に使うと失敗するぜ」→「使わない方がよくね?」
・・・・だめじゃん
新機能:電子辞書(国語・英和・和英)
機能キーから一発で呼び出せ、すぐに編集画面に戻ることができる電子辞書。これなら、ちょっと調べるだけなら別の電子辞書専用機やスマフォを取り出すまでもなく使えるので便利だし、フルキーボードを使える分専用機よりアドバンテージがある。さらには検索結果をコピーする機能もあるので、引用もできる。
が、そもそも俺は電子辞書自体を使う機会が少なく、ありがたみはほとんどない訳で・・・。
新機能:Bluetooth - キーボード接続
DM100の一つの目玉でもある、はずのBluetooth接続。だがこれがなかなかうまくいかない。
BTキーボード接続と、ファイル転送の二種類がある。
BTキーボードはJIS配列のため、ASCII配列のキー定義しか持たないほとんどのAndroid端末ではキートップ刻印どおりの入力ができない。開発側で標準で「使える」としているiOSなら当然使える訳だが、IS11CAではBluekeyboard PRO JPにて、「REUDO RBK-2100BTJ」モードにすれば使うことができる。逆に言えばBluekeyboard JPをインストールできない端末、手持ちの中ではIdeaPad A1等ではなかなか面倒、ということになる。
一応キーボードとしては使うことができるわけだが、問題は、他のBluetoothキーボードのように、キーボードの正面に端末を据え置いて使うことができない点。
これについてはこちらの記事に書いてある通り。
せっかく液晶側がスタンドのように使えそうに見えて、結局そのままでは安定して使えないという事。天板の後ろに、倒れないように「つっかえ棒」的なもので支えてやれば使えなくはなさそうだが。
新機能:Bluetooth - ファイル転送モード
ファイル転送ついては癖があってなかなか使いづらい。
ファイルの転送には「Bluetooth File Transfer」を使ってみた。
Android端末からDM100に接続し、SDカードのファイルのリストまではちゃんと表示されるが、いざファイルの転送を行おうとすると、「転送中」のままでまったく処理が進まない。これはIS11CAでもIdeaPadA1でも同じ状況。なにが問題なのかはまだわからない。
逆方向のファイル転送にも期待したが、どうやるのかは不明。
そもそもiOSには該当する機能がないので使えない。
ということで今のところDM100のファイルを端末に転送することもできないし、端末のファイルをDM100に転送することもできていない。
まぁ、そもそも連続QRコードでの転送ができるし、端末からPomeraへの転送を使いたい機会はほとんどないので、あまり実害は起こっていない・・・のだけど、せっかくついているのに使えないのは、なんだか腑に落ちないんだよなぁ・・・。
新機能:親指シフト
まったく使うつもりが無いのでなんともいえない。
職場の「生粋の親指シフター」であるM氏に使ってもらったが・・・
- スペースバーが短い、無変換キーは不要(これはキーバインド入れ替えが可能なので対処できるが)
- そもそも、スペースバーが他のキーと同じ時点で打ちづらい(クラムシェルに無茶をお言いますなぁ)
- っていうか「親指シフト」は富士通の商標であって「親指シフト『互換』」であり、正しくは(ry
結論:え れ ー ど う で も い い 。
肝心のキーボードが微妙
さて、本格的に嫌言を。というか、これがDM100がPomeraとしての一番の問題事項なんだが。
簡単にいうと、最近多いMacBookProのような形状のキーではあるが、それよりもさらにストロークが浅く、剛性感がない。「ペラペラ感が強い」。キー自体のクリックは「有るには有る」のだけど、クリック間より前にキーの「底」に当たるため、あまり意味は無い。DM20もストロークは浅いが、ペラペラでない分打った感触は良かった。
打鍵感の悪さの原因はキーそのものだけでなく、筐体の薄さにも起因する。
DM100の底面全体がアーチ状にゆがんでいるらしい。このため、平らなテーブルで中央のキーを打つとキーボードの中央がたわんで、カタカタ音がするのが気になる。DM10では折りたたみキーボードの右側のロックが甘く、バウンドするように浮いていたがこれはDM20で軽減されたし、使っているうちに慣れた。DM100でも慣れるだろうか?あるいは、中央のゴム足を嵩上げしてやれば軽減できるかもしれない。
打ちごごちは、はっきり言ってDM20系統に譲る。これなら、リュウドの折りたたみキーボードのほうがキーボードとしては打ちやすい。これは慣れもあるかもしれないが、DM20までのユーザとしては残念な結果となった。
ただし、マイナス面だけではない。
キーボード側が薄くなるということは、テーブルなどの高さとの差が減ったということ。つまり、キーボード手前のテーブルの面がノートPCのパームレストのような感覚になっている。これはDM20までではなかった感覚だが、無理矢理たとえるなら「Appleの現在のワイヤレスキーボードに近い」イメージだろうか(もちろん、アレよりはキーストロークが薄いが)。
まとめ:方向性の違う進化・・・
DM20までで熟成された良さが、いったんここでリセットされ、なんというか振り出し(DM10)に戻った感がある。
形態を大きく変えて出てきたDM100だが、方向性が違うためにDM20使いからの「アップデート」としてはまったくおすすめできない。
既存Pomeraユーザの人で、特にDM20系統のキーの感覚を期待している人は、一度店頭で現物を確認してからの方がよいと思う。
もっとも、バックライトや辞書、折りたたみでないから膝上で使えるなど、DM20にはない利点はあるので、それをもってキーボードの変化をカバーできるか?を考えてたほうがいい。
いやぁ・・・DM20で満足してた人じゃ、このキーボードでは納得できんと思うんだがなぁ。
「まったく違う系統になった」のだけど、Pomeraのコアである「キーボードの打ちやすさ」をここまでオミットしてまですることだったのだろうか?と思う。今回、辛口のレビューとなったが、やはりPomeraの真髄はキーボードだと思う。そのブレがなかったから「DM20はDM10から乗り換えてよかった」「スマフォの外付けキーボードは不要」とまで思えたんだけど、その軸がなくなっちゃった以上、Bluetooth機能とか本末転倒だと。
キングジム・・・ちょっと変な方向に向かってないか?
おまけ:いままで使ってたDM20はどうすんの?
もちろん、手放さない。かといって完全にDM20にも戻らない。
DM20からmicroSDカードをDM100に移して、DM20は職場専用とし、DM100はプライベート用として完全に使い分けることにした。
職場で使う場合はバックライトが必要になることはないし、ファイルを転送する場合もWindows7のPCがあるのでケーブル接続できる。
元々、仕事のファイルは内蔵メモリ、プライベートのファイルはSDカードと使い分けていたので、この移行はすんなり終わった。
面倒だったのは定型文。これはユーザ辞書のようにエクスポート/インポート機能がない。仕方がないので新規ファイルに定型文を張り付け、コピーして移した。まぁ、これもそんなに量がなかったので良かったんだけど。
これで、DM20を職場に置きっぱなしにすることができる。休日に普段と別の鞄に入れていて、休日あけに移し忘れる心配がなくなった。あとは単四のeneloopと充電器を職場にもっていけば完全移行が完了だ。
さて、次はDM100用のカバーを考えないと。