passive log strage

バイク , モバイルガジェット , アウトドア用品 , 腕時計 ・・・等。

KENTEX PROGAUS S769X-05

期間が空いてしまったけど

ネタを書く気分にならない → 書いてないから自分のBlogを見直さない → ますます書く気がなくなる

ネタはあるのにねぇ。
良くないねぇ。

仕事用機械式時計→高耐磁時計と考えるなら

www.kentex-jp.com

  • 耐磁性能:100,000A/m(およそ1200ガウス)
  • Cal. NH35
  • 径44.8mm 、厚さ13.1mm
  • 定価:70,000円(税込み:75,600円)
  • 購入:2019/06

現代の日常生活において、機械式腕時計は常に強い磁場にさらされるリスクを伴う。

磁場にさらされることと、それによって帯磁し動作に影響をあたえる事に関してはググればでてくるので今更ココでは書かない。しかし帯磁のリスクについて高級時計メーカーが注意の喚起をあまりしていないというのは何か「時計業界の闇」的なモノを感じずにはいられないのは俺の深読み的なナニカだろうか?1

それはともかく、磁場に耐える「耐磁時計」の規格としてはJISで規定されている。JISの第1種耐磁時計が4,800A/m(耐磁時計)、第2種が16,000A/m(強化耐磁時計)だ。
ダイバーズウオッチの場合最低限第1種をクリアする必要があるが、とりあえず自分の日常生活ではダイバーズ(MM200やTurtle)が帯磁(着磁)してしまうようなことは今のところは無い。よっぽど長時間磁石に密着させない限りそうそう帯磁してしまうようなことは無いんじゃ無いだろうか、とも思う。

自分の職業柄、強い磁場が発生するものに腕時計を近づけることがまったくない訳では無い
例えばスピーカーやHDD、液晶ディスプレイ(バックライトのインバーター?)や電源(変圧トランス)などがそれに当たる。 仕事でノートPCを打つときには横に置くし、サーバのメンテでラック裏のコネクタに手を回すと電源に直近させることになるし、お客さんの工場のNC工作機械なんかはどこら辺が磁気の発生源なのかよく分からないこともある、というかこの手の工作機械はそこら中が帯磁していると考えて置いた方が良いかもしれないが。
いや、そもそも電流がが通っている配線の近くであれば大なり小なり磁場が発生する。「フレミングの左手の法則」を覚えている人も多いだろうが、要はそういう事だ。そう考えるとIWCが「インヂュニア」=「エンジニア」という名前で高耐磁時計を作ったのは道理に合っているんだな。
これらに長時間密着させるなんてことはちょっと気をつければ回避できるので、やっぱり「JIS第1種耐磁時計程度の性能があれば問題ないだろう」というのが今のところの自分の見解だ。実際今のところは支障が無いし、なんなら外して作業すれば良い。

それでもなお、「念のため」とか「一応」と考えた場合、『耐磁性が低いより高いに越したことは無い」「高ければ高いほどそれに越したことは無い』。それなら高耐磁時計、と展開されることになる訳だ。が、そこを突き詰めて考えてしまうと『機械式時計を選択することがそもそもの間違い』であって構造的に磁場の影響をうけない時計すなわち「液晶デジタルクオーツ」にすれば良いって事でこの話は終了してしまう。
あくまでこれは『趣味』の話なので、その範囲で「あえて機械式を選ぶなら?」という話である。

「高耐磁時計」でググるとパッと出てくるのが

  • ロレックスの「ミルガウス
  • IWCの「インヂュニア」
  • オメガの「シーマスター」

インヂュニアは最近のモデルは高耐磁性を表に出していないので耐磁性を捨てているのかもしれない。ロレックスは磁力の単位である「ミルガウス=1000ガウス」をその名に掲げるだけあって高耐磁性(80,000A/m)が売りだがおよそ100万円。オメガは15,000ガウス=1,200,000A/mと最強クラスの高耐磁性を持ち合わせているのにもかかわらず50万円程度。部品の素材に帯磁しない物を使うから根本から耐磁性があるってことらしい。それならオメガだわな・・・と、ちょっとまった!「10万以上の世界には足を踏み入れない」と決めていたのを忘れていた。

となるともう無いのかなぁ、と思ったら3針で定価10万円以下なのになんとミルガウスを超える高耐磁時計があった。

それがKENTEX 「PROGAUS」シリーズである。

KENTEX PROGAUS S769X-05

気になるポイント:高耐磁性と低コストに特化した尖ったプロダクト

構成としてはオーソドックスな3針デイト付き。見た目のイメージとしてはKENTEXが出しているSKYMANが近い(防水性はSKYMANの方が高いし、ケースサイズも違う)のだが、これを3万円台と考えると6万というのは割高感はあるが、その差額3万円分がほぼほぼ耐磁性能にかかる物と考えたとき「異常に高い」と判断するかは微妙なところだろうか。「ミルガウス」や初期の「インヂュニア」2に耐磁性で上回ってはいるが、防水性能が5気圧だし耐衝撃性もあまり期待できない。つまりPROGAUSシリーズの見所はその耐磁性の高さにある訳だが、100万円のロレックスより高い耐磁性を備えつつ、なおかつ価格はその10分の1以下というのが特徴だと言える。

簡単にまとめると、PROGAUSは「低コストでなおかつ耐磁性に全振り」した、かなり尖ったモデルのように思われる。こういう「全振り」系のコンセプトはMOTO-Rにも見受けられるが、メジャーなブランドではない代わりにこういったことにトライしているのかもしれない。個人的には国内のブランドがこういった挑戦をしている事を応援したいという気持ちもある。

自分の趣味という観点からすると、仕事用時計として耐衝撃性や防水性(普段使いでは防水は5気圧あれば十分だろう)よりも「耐磁性的には高級時計に匹敵、おそらくこれ以上は要らない」なのに「安い」ということを考えると、これほど最適なモデルは無い訳だ。

ムーブメントは「Seiko NH53」とあるが、SEALANE SE54と同じSII NH53Aの事だろうと思われる。どちらにしろCal. 4R35の外販版なので4R35と特性は大きく変わらないと思われる3。ムーブメントが汎用ということは、これといって何か特徴が有るわけでは無いのだが、いざ故障しても代替部品が多いということで実用上は有利に働くし、永く使うことを考えると「部品が無くても最悪は他の時計から移植する」みたいなことも可能だろう。可用性は高いだろうしリカバリコストは低いと想像できる。

サファイアクリスタル風防に内側無反射コーティングはMM200と同じ。さらにダイヤルがブルーの時計を持っていないので、これも興味があるポイントだったりする。

引っかかりポイント1:サイズ

購入する前に気になっていたところは2点。

まず、ケースが大きめであること。
44.8mmというとほぼ45mmで数値的に見ればやっぱりデカいように思える。厚み13.1mmも厚めではあるけど、自動巻きで防磁構造と考えれば致し方ないとも考えられるのだが、仕事で使うことを考えるとやはり薄くて小さければそれに越したことは無い。

手持ちのダイバーズで大きめなのはTurtleで実測は45mmだが、リュウズが4時位置でケースに埋まっている形(リュウズガード)になっている。MM200もBlackAtlasも4時位置リュウズだが(やっぱり4時位置リュウズは良い)、これが現在のサイズ感覚の基準になっている。PROGAUSはオーソドックスな3時位置のリュウズでしかも円錐型でデカい。これが手首にあたりそうな気がする。となると自分の手首に乗せるとすると3針としては4おそらくこれが許容限界をギリギリ超えそうな感じだろうか。
重量は163g(ブレス込み)で、手持ちのダイバーズよりも軽いぐらいで多分気にならないだろう。もちろんバランスの問題もあるので実際に腕に乗せてみないことには断定できない。

引っかかりポイント2:デザイン

いやそれより、一番の引っかかりポイントは端的に言うとデザインの「好み」の話なんだ。

まず、コブラ針みたいに時針の蓄光を何分割かする時針。これ、どうもダメなんだよな俺・・・。このタイプの由来としては、

  • 蓄光の面積を広めに確保しても分割して載せることで剥がれづらい
  • 針の重量を軽減できる

などといった経緯があるっぽい。機能的な意味があるのは解ったけど、それなら時針はアロー針で良いんじゃねぇの?MM200はアローの先端から「返し」の部分までと棒の部分は分かれているがコブラ針のように細かく分割されてはいない。
ロレックスサブマリーナのいわゆる「ベンツ針」をはじめ、IWCのクラシックなパイロットウォッチの「コブラ針」、グランドセイコーのダイバーズに載っているアレも好きになれない。なんていうか、単純に格好イイと思えない。見慣れれば違和感なくなるんだろうか?

もう一つ、分針が微妙に短いように見える事。
PROGAUSはミニッツマーカーが「見返しリング」側に入っている。これに対して分針と秒針がちょっとだけ短いように見える。一番理想的なのは、ミニッツマーカーに分針の先端がキッチリ届いていること。ダイバーズのMM200やTurtleもミニッツマーカーは見返しリングに入っているのは同じだが、MM200などはダイヤル外径スレスレまで針が伸びているのでぱっと見の視認性は良い。針の視認性は慣れれば問題ないのだろうけど、見慣れるようになるかは実際に使っていかないと判断できない。

耐磁性=パイロットウオッチのデザインの流れで考えればKENTEXならすでにSKYMANシリーズがある。デザインだけでいえばSKYMANのダイヤル(ダイヤル側にミニッツマーカーが載っている)とハンズそのままで良かったのではないか?と思わなくも無い。正直なところはね。

ミルガウスのオマージュなのか、秒針は根元が稲妻形になっている。ミルガウスは針全体が稲妻形で「秒針」として見るとモヤッとする5ので、好みで行けばPROGAUSの方がいい。

実物を見てみた

ということで、PROGAUSを買うか否かは、俺がこのサイズ感とハンズ(時針・分針)とダイヤルを許容できるかどうか、という点にかかっていた訳だが・・・

腕時計は「現物を目視して手に取ったら全然問題なかった」などと印象がコロッと変わる可能性はあるが、その逆もありうる。Web上の写真は本当に当てにならないので、やっぱり実物を見てから判断した方が良い。。ところが、都内の小売店になかなか置いていないので現物を確認できず、最終的にKENTEXの公式ブティックで現物を確認することとした。

御徒町のブティックから秋葉原へ移動中に人生初6職務質問を受けたのは、また別のお話。

サイズ感とミラネーゼブレス

サイズは正直言ってデカい。が、自分基準としてはギリギリ許容範囲無いという印象。面積的にはSSC147P1と同じぐらいだろう。重量感はそのとき付けていったMM200と変わらず、まったく気にならない。

ミラネーゼブレスは厚地でしなやか。フィット感もいい。Bambinoに付けた薄地のミラネーゼ(フリーアジャストバックル)のように全体がメッシュになっているのではなく、クラスプの横がコマ式になっていてなかなか凝った作りで面白い。

ダイヤルとハンズ

懸念事項の針の長さについてはまったく問題なかった。
分針はミニッツマーカーの入っている「見返し」との間は1.5mmほど開いているが視認性上はまったく問題ない。秒針はスレスレまで到達しているし、針先が赤で塗装されているのでMM200よりよっぽど見やすい。この時点で実用性はバッチリでやっと買う気になった。

時針の形状だが・・・まぁこれはやっぱり慣れだろうなぁ。他の部分でカバーしているので目をつむれる範囲か。

意外だったのは、時針分針が微妙に立体感があること。写真ではほとんど解らないが、光が当たる角度を変えると全体が山形に加工されていて、山の稜線が浮き上がる。単に薄っぺらい針をつかっている訳では無かった。

実物を見たらブラックMOPダイヤルのS769X-06の方も気になってしまった。

買った・・・使ってみて5ヶ月

f:id:obally:20190705085143j:plain

前置きが長くなったので簡単に。

買ったのは当初予定どおり放射ブルーダイヤルのS769X-05。

仕事用なので平日は毎日付けている。毎日付けていて途中から当たり前になってきたのでその分レビューが遅れた。

f:id:obally:20190705090213j:plain

仕事用なのでウォッチバンドカレンダーを付けている。 item.rakuten.co.jp これ見た目の微妙さは置いといて実用上はけっこう便利なのよ。ぶっちゃけコレ有れば曜日表示要らなくない?

f:id:obally:20190705085349j:plain

MM200と並べるとほとんど大きさは変わらない・・・というか実測の幅はどちらも43mmで変わらないのだが、ダイヤルの径が32mmと38mmで違う、つまりダイヤルの占有面積が広いため、大きく見えてしまう。

んで、肝心の耐磁性能についてだが・・・

わからん。

そりゃ実際に意図的に帯磁させない限りそうそう影響がでるもんでもない。しかし、置く場所に対して何も考えなくてもいいのは気が楽だ。打ち合わせの際、ノートPCの横にタイムキーパーとして立てて置いてももちろん問題ない。大きめのダイヤルは机上に置いて使っても視認性が高い。
f:id:obally:20190705085707j:plain
クラスプと止めた状態で傾斜がついた形で自立するので、PC横に置いて使うのにちょうどいい。

ポジ要素

f:id:obally:20190705085500j:plain

まずミリタリー(空)的な雰囲気のデザインの一端を担うリュウズ。逆三角錐型で回しやすい。

そしてともかく視認性が高い。ブルーのダイヤルに白のアラビア数字インデックスはコントラストが高く、見返しリングに刻まれたミニッツマーカーはフラットな風防のおかげで視認できる角度が広い。

精度は日常使いで日差+5秒程度。歩度を良い感じに調整してあるのだろうか。 Cal. NH35 は Cal.4R35 の外販版キャリバーであることを考えれば、同じ4R系が入っている Turtle よりもプラス側に調整されている分扱いやすい。日々の調整は数秒間リュウズを引いて戻せば良いだけだ。
ムーブメントの歩度調整はムーブメントの製造(SEIKO)ではなく組み込む時計メーカー側で行うはずだが、KENTEXはしっかりやってくれているらしい。

よく、自動巻きだと「デスクワークだと巻き足りない」みたいなことがあるようだが、着席してるときに外してしまう自分でも一週間平日にパワーリザーブを使い切るという状況は発生していない。月曜朝に調整と手巻きしておけば、ウイークデイに増し巻き?をする必要が無い。巻き上げ効率が良いのだろうか。ともかく機械式自動巻きであるウイークポイントはまったく感じない。

ネガ要素

6時側のラグのカンの摺動が良くない。三つ折れクラスプのこの部分だが、半年ほど使ってアタリが付いたのかやっとスムーズに動くようになってきた。

f:id:obally:20190705085213j:plain

三つ折れバックルのこの部分、バックルの位置のせいか、飛び出す形になってしまう。対処として12時側にずれるようコマ調整することもできなくはないが、そうすると装着時のバランスが悪くなるのでなんともならない。手のひら側なので引っかかって支障が発生することはほとんど無いが。

f:id:obally:20190706213345j:plain

そして、やはり重さは感じることがある。特に普段机で仕事中は外す(重いからとかではなくて集中してキーボード打鍵するときにはどんな腕時計でも外す)ので、席を立つときに付けると、その分重みは感じざるを得ない。まぁ、それはどんな時計でも同じなので・・・。

仕事用時計を選ぶ意味

「仕事で使うなら耐磁時計」で選んだわけだが、半年ほど使い続けて仕事と休日で時計を分ける意味はもう一つあったことに気がついた。

仕事用の時計をつけることで、オンとオフの気持ちの切替ができるようだ。

以前はスーツか作業服なので意識しなかったが、今の仕事は私服なのでオンもオフもほとんど服装が変わらない。で、今は腕時計だけが「モード切替」のスイッチになっていたという訳。
スーツなら、ある程度「スーツに合わせた時計」は欲しいが私服ならあまり関係なくなる。結果的に仕事の日と休みの日の違いが腕時計だったと。

非常に些細なことだが、セルフコントロールの一つとしてこの時計を使っているんだな。


  1. SEIKOのアウトレットショップなどは店内に「(スピーカーなど)強い磁気に近づけないように」という注意喚起のポスターが貼られてるのを見たことがあるが、それ以外の時計屋ではほとんど見たことが無い。

  2. KENTEXでインヂュニア(=エンジニア)に対抗するなら「クラフツマン」シリーズではないかと思うのだが。まぁ、こちらはこちらで耐磁性能は80,000A/m(初期のインジュニアと同等)で JIS第2種耐磁時計を余裕でクリアしたうえで3針モデルは16万円台なので、やっぱり「高品質な時計を、適正な価格で」というKENTEXのブランドコンセプトらしい価格構成といえる。

  3. 現状、Seiko製キャリバーと比較してSEALNE SE54のNH53Aはあまり精度はよろしくない、というのが今のところの俺の中の評価だが、これはムーブメントの製造元の問題というより組み込む際の歩度調整をどこまでやっているか次第なところがある模様。KENTEXが製造時にどこまでやってくれているかはKENTEXの機械式時計を一本も持っていないのでなんともいえない。

  4. これがクロノグラフになると表示面積の問題からケースサイズが大きくなることを許容せざるを得なくなる。デカい時計が好きならクロノグラフを買おう(そうじゃない)

  5. ミルガウスに限らないけど、時計の針はやっぱり中心から外周に向かってまっすぐ伸びていて欲しい。ミルガウスは斜めにミニッツマーカーに到達する形なので(秒針としては問題は無いんだけど)なんか好きになれない。

  6. むしろなぜ今更という感じがしないでも無い。20台に東京都日野市に住んでいた時の方がよっぽど秋葉原に通っていたんだが・・・。まぁ、G20開催中だったし、そういうことなんだろうかね。