初ナイフ
初めて買ったナイフであり、ちゃんとしたフォールディングナイフ(最近では「フォールダー(folder)」というらしいが)の1本目。正直購入した時期は覚えていないぐらい昔だけど、高校生ぐらいだったかな?
昔から「BUCK」というブランドには憧れがあった。アウトドア系の本でナイフの代名詞として挙げられていたのはBUCKの「#110 Folding Hunter」かヴィクトリノックス「チャンプ」あるいはウェンガーやガーバー、G・サカイ*1ばかりだった。
- 出版社/メーカー: BUCK
- メディア: スポーツ用品
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小学生時代に手垢が付くまで読んだ「冒険図鑑」でのナイフの使い方の解説は#110か#112(Folding Ranger)だった。
※おーAmazonにも在庫があるとは。
- 作者: さとうち藍,松岡達英
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1985/06/20
- メディア: 単行本
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「山屋」で釣り好きのウチの親父に言わせれば、
『(マルチツールでなく)フォールディングか鉈を使いこなせて一人前』
だと聞かされて育ったので、「いつかはクラウン」ばりに「いつかは#110」と刷り込まれていた。
じゃぁ、#110を買ってもらえたかというと
『ナイフなんぞ自分の財布で買え!それでこそ一人前だ!』
『むしろお前にはまだ早い!まずは学校つかってる小刀だ!それが使いこなせたら買う許可をやろう』
当時は反発したものだが、今から思えばたしかに一理ある、と思える。
というか、単に高いナイフを買いたくなかっただけかもしれないが・・・。
まぁ、何はともあれ、小刀(切り出し)・オルファクラフトナイフ・肥後の守をつかって工作したり、錆びさせたり、手を切ったり、指に刺したり、爪を削ったり、落として足の甲に刺さったりと、いろいろ痛い思いをして現在の下地ができあがっているので、結果オーライといったところだろうか。
そんなこんなでいつか#110がほしいなと、カタログや雑誌などを読みふける日々だったが、某通販ショップのカタログでこの#560を見つけた瞬間「こっちの方がカッコいいじゃん!」ということであっさり乗り換えることになった。
小遣いを貯めて、通販ショップに電話で発注(当時はネット通販なんてものは無かった)、向こうはこっちがガキだということはたぶん気がついていただろうが、とくにとがめられることもなく購入できた。今じゃ絶対に売ってくれないだろう。おおらかな時代だな。
もちろんナイフを買ったことは親父には言わなかったが。
レビュー
「#560 チタニウム」シリーズはいくつかバリエーションがあって、初代はピボットピンなど各ピンは六角ネジになっていて分解が可能、ハンドル材と同じチタン製のクリップが脱着可能だったらしい。俺が購入した時期にはすでにカタログ落ちしていて、リベットになっていた。
今持っている#560のブラックコーティングモデルは実は二本目だったりする。
1本目はシルバー(コーティング無し)で初代に近いデザインだったが、海辺のキャンプに行ったときに無くしてしまった。
この#560にはシッカリしたナイロンシースが付属している。クッション性が高く、ボタンホック。
黒地に赤色の「BUCK」ロゴがなかなか良い。
で、この#560、実際にはあまり使うことはなかった。
まず、ブレードが長すぎて、細かい作業がしづらい。
また、ブレード形状はクリップポイントだが、ここまでポイント(先端)が尖っていることによる恩恵をうけることがなかった。
#560のベースは#110 Folding Hunterだが、「ハンター」の名を掲げているとおり、クリップポイントというブレード形状はハンティング用途、たとえば獲物の解体等、には良いのかもしれないが・・・ともかく自分にはあまり使い道がない。
これを買うまで「刃物は先端が尖っている方が良い」という思いこみがあったが、一般家庭の包丁や、電工ナイフなどにクリップポイントが無いことを考えれば、必ずしも尖っていなければいけない理由はない。
先端をつかって錐のように使えなくもないが、そもそもコジるような使い方は根本が稼働するフォールディングナイフは御法度だし、エッジが落ちる。だいたい、そういうときにはツールナイフを使うし。
ハンドルのフィンガーグループ(指用の溝)も、見た目の良さとは裏腹に使い勝手が悪かった。
見ての通り四本指がぴったりハマる形のフィンガーグループだが、この形状のように四本の指をかけてがっちり握り込むような使い方は、自分が使っていた中ではめったに発生しない。フィンガーグループがある以上、その形に指をあわせなければならず、持ち方の自由度は落ちる。
自分の使い方で多いのは、小指・薬指・中指をハンドルにかけて、親指と人差し指でボルスター*2を摘むように握る方法、
それと、鉛筆を握るように親指・人差し指・中指で支える方法がほとんど。
これらの握り方だと、フィンガーグループは不要。「ペン持ち」の場合、親指と人差し指の間のところに突起が食い込んで痛い。
また、ブレード長が長い=ハンドルも長くなる→ハンドル側が重くなる、ということで、ペン持ちをやりづらくしている一因となっている。
もちろん、ガッツリ握り込む場合は、ハンドル横にある丸いくぼみも相まって、フィンガーグループの効果は高い。前述の通り、あくまで「自分の使い方では」使いにくい、という話。#110のサイズだとアメリカ人にとっては普通のサイズらしいが、日本人にはもうちょっと小さいサイズの方が汎用性は高いだろう。
ある意味マイルストーン
ということで、あまり使われないまま現在に至っている。
それでもなんとか、キャンプへ行くときには、お守り代わりとして他のツールナイフとは別にバッグの奥底に入れていたが、さすがにもうそろそろ良いだろう。
こいつのおかげで、自分が使う上で必要なこと・不要なことをはっきりさせることができた。
また、「見た目だけで選ぶな」という点も・・・。
いや、いまでもこのデザインはけっこう好きなんだけどね。ブラックコーティングで一見ミリタリーっぽい雰囲気を醸しつつも、基本は「#110のバリエーション」という位置づけ。ハンドルはチタンだしね。今でも「チタン」や「カーボンパネル」にはときめかずにはいられない(笑)
あ、あと、初めてちゃんとした「研ぎ」を行ったナイフでもある。コイツの小刃が若干蛤刃っぽくなっているのはその苦労の名残でもある。現状でもまだ補正できていない。いずれは一度刃付けしなおしたいところ。
この#560 Titaniumは、自分の初ナイフ、初BUCKということでいろいろと勉強させてもらった。これ以降、自分が選ぶナイフの基準になったマイルストーンだと考えている。
しかし、現在ではバックロックや「純然たるクリップポイント」*3のナイフが市場から減っている点を見れば、やはり時代遅れ感はは否めない。いや、俺にはしばらくブランクがあったんで『いつのまにか時代遅れてた』って感じ? 、チタンハンドルのモデルって珍しかったんだよね。
ベースとなった#110フォールディングハンター、現在ではレガシーではあるもののフォールディングナイフの代名詞ともいえる存在。ということで、#560は今後とも比較対照としてちょこちょこ引き合いに出す予定。
この後、しばらくはツールナイフに主軸が移ることになる。
Spec
- メーカー : Buck Knives
- モデル名 : #560 Titanium (ブラックコーティング)
- タイプ:Folder
- 製造年・ロット :不明
- MADE IN : USA
- ロックタイプ :バックロック
- ポイント形状 :クリップポイント
- ブレード素材 :420HC (ブラックコーティング)
- ブレード長(※1) :95mm、(うちヒルト長10mm)
- ハンドル素材 :チタン合金(ブラックコーティング)
- ハンドル長(折りたたみ長) :125mm
- 購入価格 :失念
※ブレード先端(ポイント)からピボットピン中心に向かってグリップ根元までの長さ。銃刀法における定義とは違うので注意。
余談
- 廃盤。10年以上前のモデル。
- いくつかのバリエーションが存在する模様。
- 去年(2011年)の関刃物祭りの露天にて、これのゴールドコーティングバージョンを見かけた。出展者名や価格は失念。
- 今後同様のモデルが出ることはなさそう。刃物祭りのように在庫放出で出てくるかもしれない。
参考
- 本家
- ナイフの各部分の名称については下記を参照