趣味変わればツール変わる
Buck #560 Titanium購入からしばらくして、このLETHERMAN の初代ツールを購入する。
一番の理由はバイクに乗り始めたこと。そうなると、しっかりしたツールナイフがほしくなる。
このころはレザーマン以外のプライヤーツールは多くなく、AL-MARやGサカイ、ビクトリノックスぐらいしか出していなかった。
しかし、「ここはやはりレザーマンだろう」と。
レビュー
「PST」=「Pocket Survival Tool」だそうな。俺が買ったときにはそんな名前は付いてなかったような気がするが・・・。
この手のプライヤーが主軸のジャンルの先駆けであり、最初期モデルだけあって、「アメリカン」な印象。全体的な作りが、よく言えば「頑丈」悪く言えば「洗練されていない」。
見てのとおり、ワイヤーカッター付きプライヤーを中心に二つ折りするように畳まれる。プライヤーオープン・クローズに関しては、なれれば片手で行うことができる。全開にしたいときは途中まで指で開いておいたハンドルを、腰などにあてて開けばいい。
プライヤーやツール類のピボットの動きが渋い。各ピボットはスリップジョイントだけど、フルオープンしたときの感触は「カチッ」というよりも「ガグン」*1といった感じで、ちょっといいツールナイフのような高級感は無い。
その分、ラフに扱っても壊れそうな感じはなく、実際けっこう扱いは雑だったが、それでも未だに錆びとピボットのオイル切れ以外のトラブルは発生していない。
ハンドルは、ステンレス板を「コ」の字状に曲げただけのシンプルな設計。各ツール類はこの「コ」の字の内側に納められている。
プライヤー以外のツールは・・・
- ハンドル右側
- メインブレード
- マイナスドライバー大
- マイナスドライバー小
- リーマー
- ハンドル左側
- ヤスリ
- プラスドライバー
- めがねドライバー(?)マイナス
- 缶切り
ハンドル背面にスケール(定規)が刻まれている。プライヤーピポッドにはランヤード用のリングが開いているけど、小さすぎる。
メインブレードの切れ味は問題無しだった*2。メインブレードを出したまま折り畳んだ状態で握り込めば45度以上たたむ事はできないので、スリップジョイントが外れてブレードがたたまれても、最悪ハンドルとブレードで指ギロチンになることは避けられる。
メインブレードと、反対側のヤスリは、畳んだ状態から60度近く開かないとオープンできない。
それ以外のツールは、ツール間のクリアランスがほとんど無い。たとえば、マイナスドライバー大を開こうとすると、マイナスドライバー小とリーマーがくっついて開こうとしてしまう。非常に使い勝手が悪い。
プラスドライバーはネジ山を舐めやすい。もしかするとインチ規格*3なのかもしれないが、ぴったりフィットするネジに出会った試しがない。
初期モデルの最大の欠点が、プライヤーの握りにくさ。
プライヤーも「コ」の字ハンドルの内側に入っているが、オープンすると「コ」の字の開いている側が外側になる。ハンドルはステンの一枚板で厚みがないので、プライヤーで強く握り込もうとすると、「コ」の字板の端が食い込んで素手では痛い。
レザーマンの最大の特徴である「摘む」で、力を入れられないというのは正直どうなんだろう。
実際、後発の各メーカーはこの点を是正するため*4違う設計で世に送り出してきたが、レザーマンはわりと長期間この形のままだったようだ。
そのおかげか、追従他社に追いつかれ、一時期はパッとしない時代もあったようだが、最近盛り返してきた、という経緯があったようだが、この辺はリアルタイムで見ていないのでなんともいえない。
現在においては「PST」はさすがに設計が古く、メインのツールナイフとして使う気にはならないし、人にも勧められない。
しかし、Buckの#110 FoldingHunter、Spydercoのサムホールのように、他社から類似品が多数出てくるところまでになっているという事実を見て解るとおり、ツールナイフの1ジャンルを築いた重要なモデルであることは間違いない。
メインの座から降りたとはいえまだまだ使える。今後は非常持ち出し袋に常備しようかと思っている。
Spec
- メーカー : LETHERMAN TOOLS
- モデル名 : PST
- タイプ:ツールナイフ
- 製造年・ロット :不明。
- MADE IN : USA
- ロックタイプ :スリップジョイント
- ポイント形状 :クリップポイント(?)
- ブレード素材 :420HC
- ブレード長(※) :67 mm
- ハンドル素材 :ステンレス
- ハンドル長(折りたたみ長) :108 mm
- 購入価格 :失念
※ブレード先端(ポイント)からピボットピン中心に向かってグリップ根元までの長さ。銃刀法における定義とは違うので注意。
余談
- 質実堅固なブラックのレザーシースが付属していたが、自分は使わないので実家の引き出しに放置中。
- 実は、このモデルの後、小さなレザーマンをいくつか買っているのだけど、今手元にないので省略。
- 国内公式サイト
- PSTの各バリエーションの比較。
- http://www.smartknives.com/Leatherman-Multi-Tools/Leatherman-PST-Variations.htm
- これを見る限り1995年モデルにちかい気がするけど、確証は持てない。
- 一時期国内(岐阜県関市)で生産していたらしい。それが「Japanese Variations」
なのかな?やはりそうらしい(追記2012/06/11)