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「BUCK Bantam BBW 284BK」


BUCK Bantam BBW

(安さが)バンタム級

前回の記事からの続きでLux Proの代用探し。
ネット通販サイトを巡っていくつか候補をピックアップした。

純粋に代用品探しなら別にBuckじゃなくても良かったんだけど、最近のBuckのラインアップは昔と全然違っていてなかなか興味深く、ふたを開けたら全部Buckだった。

一発目は、その中から一番安いモデルをチョイス。

なんつっても1980円だからね。「やっぱ要らない」ってなっても財布に優しい(この時点で他にも買う気満々)。
「Bantam」(バンタム)という、なんかスゲー強そうな名前だけどスゲー安い。Buckの中でも最安モデルなんじゃなかろうか。

逆に言えば「安いんだから期待しないでね」という思い切った割り切りで、それが思いっきり見た目にでてしまっている。
値段だけ見れば中国製以外に考えられないが、これでも一応「made in USA」だ。まぁノックダウン生産*1だろうけど・・・。


レビュー

改めて書いておくが、値段が20ドル切ってる。俺が購入したのが1980円。最安だと1680円ぐらい。そのうえでのレビュー。



ブレードはスピアポイントでサムスタッド付き、ロックはオーソドックスなバックロック。なので、ワンハンドオープンはできるがワンハンドクローズはできない*2

オープン(ロック)時にブレードの回転方向に若干のガタがある。これはバックロックの宿命というか、精度が低いと発生しやすいのだが・・・ロックが解除されるとか、使用に支障をきたすレベルじゃないし、まぁいいか。



ブレードの表面、グラインドで削られている以外の部分は、バフ掛けもコーティングもされていない。素地のモヤモヤな模様が浮いたままになっている。



ハンドルはライナーすらないプラスティック製で非常に軽い。カタログ上の素材名は「サーモプラスティック」とは熱可塑性樹脂、つまり熱で形を成形できるプラスティックということらしい・・・つまり、いわゆる、よくある、普通の「プラスティック」と考えていいんだろうか?



立体成型で厚みがあり、表面のシボ状なので滑りにくくなかなか良い・・・のだけど、全体的に仕上げが結構ザツい(笑)。
表面加工の方法は、ハンドルを成形した後に、加熱したコテかなにかで表面を撫でて荒らしているのではないかと思う。効果は十分。



仕上げのザツさのおかげで(苦笑)、ハンドルは左右と背の3ピースで構成されていることがよくわかる。リベット止めはピボット、ロッキングバーのピボット、バット(ハンドルの後端、尻)の3カ所になっているが、ハンドルはこれらのリベットで留まっているだけなのか、何らかの張り合わせ加工が行われているかは不明。



フラッシュ炊かないと中が見えないんだけど、画質が落ちるなぁ。
リベット止めなので分解はできないが、金属ライナーがないので、のぞき込めばハンドルの裏側が見える。ハンドルの膨らんだ部分は、中に強度アップのためのリブが入っている。この隙間にゴミが入ったら掃除するのはちょっと面倒だな。
ロッキングバー、ロックスプリングも確認できる。



楕円のソングホールがあいているが・・・内側にバリが出てますなぁ。ランヤード通すときに引っかかりそうなのでそのうち削る予定。



普通のフォールダーだったらサムレストになるところ。滑り止めのチェッカリング・・・これロッキングバーが真ん中通っててあんまり意味なくね?



ピボット部分をよく見てみると、ハンドルとブレードの間に金属ワッシャーが入っているのがわかる。この色は銅製かな?ライナー(ハンドル)が柔らかいので、樹脂ワッシャーだとハンドルと一緒に捩れて良くないから、硬いワッシャーを使っているのではないかと想像。
そういや、LETHERMAN Skeletoolのメインブレードのワッシャーも銅だったな。あれはピボットの片側しか保持されていないから、やはり同じ理由なんじゃないだろうか。



ハンドルのグリップ感はすごぶる良いのだけど、ハンドル自体が軽すぎるためトップヘビーでバランスが悪いと感じる。これでもバット側を大きくすることでバランスを取ろうとしたんではないかな。まぁ、使えなくはない。



やはりというか、なんというか、頼りない。
ハンドル材に弾力性があり、クローズ時にブレードが入るスリット(これなんていうのかな)側を強く摘むと少し潰れる。もちろん離せば戻るけど。

メインブレードとロック機構は剛性があるのに、ハンドルは柔らかい。このアンバランス感も、持ったときの頼りなさにつながってしまうのかも。

初期刃付けは悪くはない。Lux Proほどじゃないが、あとは研ぎ方次第かな。
実は、この記事を書くまでに結構使い込んでいる。まな板でネギやピーマンなど調理時の包丁代わりだけでなく、皿の上でつまみのサラミやピクルスを切ったり、ネギを削って直接鍋に放り込んだり、割とラフに使ってみた。
これはキャンプでのキッチンユースを想定しているためで、キャンプだとちゃんとしたまな板を使えない*3場合を想定したもの。

「Bantam」を調理用として選んだ理由は、スピアポイントで先端が尖り気味なので、川魚のワタを抜いたり、ピーマンのヘタをくり抜いたりするときに良さそうだという点。
そして、ハンドル構造がシンプルで、丸洗いしやすい点。
さらに、丸洗い後に注油する際、シリコンワッシャを使っていないので、特に意識しなくても食品機械用シリコンスプレーが使える点。
本来はナイフの稼働部にシリコングリスは良くない*4のだが、ナイフ自体が安いので気にならない。

それから、後から研ぎの練習に使いたいので、日常生活で頻繁にしかも酷使する用途→調理用と。

ペティナイフ代わりに使う分には小回りが利いて使いやすい。

ちなみに、硬質な食器の上でナイフで切るのは基本的にはやってはいけない。特に陶器の皿の上で切るのは効果てきめんにエッジが潰れてゆく(苦笑)


早くシャープナーを準備しないと・・・。




購入の切っ掛けとなったLux Proとの比較。サイズはほとんど同じ(っつか、近いサイズのを選んだんだけど)。
ロックタイプが違うのと、キリオンを押し出すオープンのアシストが使えないのがネックですな。



Buck #560との比較。
基本的なバックロックの形状でそのまま発展させた形に見える。BBWはBantamシリーズの中では最小モデルでBantam BHWBantam BLWといったモデルもあるので、#110や#112などに近い使い勝手が欲しい場合にはこちらを。

使いつぶせる・・・か?

「Bantam」シリーズは間違いなくBuckのエントリーモデル的な位置づけだろう。Bantamをベースとしてカラーやサイズ違いでバリエーションがいくつかある。
とりあえずベースモデルを使ってみて、気に入ったらバリエーションを買うもよし。他のナイフのバックアップにするもよし。専用ストックとしてキャンプのクックツールや非常持ち出し袋に入れておくのもいいかもしれない。

が、オーソドックスなバックロックはライナーロックに慣れてしまうと不便だし、「これ一本」を選ぶには、まだなんかちょっと物足りない。

「Bantam」は元々中国製だったらしいのだが、色々な事情でMade in USAに切り替わったようだ。Made in Chinaバージョンの品質についてはわからないし、現在の店頭在庫がChinaバージョンなのかUSAバージョンなのか判断できないので、通販で購入するときはちょっと注意が必要かもしれない。


Spec

  • メーカー : BUCK
  • モデル名 : Bantam BBW 284BK
  • 製造年・ロット :2011年
  • MADE IN : USA
  • ロックタイプ :バックロック
  • ブレード素材 :420HC
  • ブレード長 :70mm
  • ハンドル素材 :サーモプラスティック
  • ハンドル長(折りたたみ長) :95mm
  • 購入価格 :1980円

*1:パーツの生産を海外で行い、販売国で組立を行う事。今回の場合パーツの製造は中国で行い、組立は(主な販売国の)アメリカで行う。「Made in ○○」の表記は最終製造国を示すものなので。

*2:「全く不可能」って訳でもないんだけど。これについてはそのうち別エントリーで書く予定。

*3:いや、オートキャンプとかだったらまな板ぐらい持ってくだろうけど、ソロキャンプで持って行った事がないから。

*4:潤滑性、防錆性が低い。