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BUCK Nobleman Carbon 237CFS

BUCK Nobleman

中国生まれの貴人・・・?

Luxシリーズと同サイズ(同クラス)のナイフは結構種類が多い。その中でぱっと目に付いたのがNoblemanシリーズ。
表音は「ノーブルマン」なのか「ノーベルマン」なのかがハッキリしないが、たぶんその中間ぐらいなんだろう(適当)。この記事中では他の名称と同じように「Nobleman」と書く。こうしておけばとりあえず間違いはない。

「Nobleman」の意味は「貴族」「貴人」ということで、シルエットなどのデザインもお上品な感じを志向していると思われる。そのくせカーボンパターン(しかも本物じゃなくてプリント)という、なんというか微妙にズレた感じがしなくもない。「まぁこれはこれで悪くはないかな」と思いつつ「Titaniumの方が良かったかも」と思わなくも・・・。最終的には好みの問題だが。

最近入手したBuck製フォールダーのなかで、こいつだけが正式に「MADE IN CHINA」となっている。

レビュー


全体。

シンプルでオーソドックス、柔らかなラインになっている。とりわけ特徴的な感じはないが、全体的にバランスがとれている印象。Luxと同様に「ジェントルメン・フォールダー」指向でデザインされたものだと思われる。
同じ形状デザインでこれよりも一回り小さいサイズのScholerというモデルもある。



ブレード。

艶消しのチタンコーティングがハンドルとマッチしてて良い。
鋼材は440A。熱処理がちゃんとしてれば420HCと440Cの中間ぐらいの特性になるっぽい。まぁ、大きな違いは使ってすぐ分かる訳が無く、S30VのLux Proが「おっ?」ってなったのとは違って、「そんなもんなのか」程度にしか・・・
形状はスキナーというかケーパーというか、ストレート部分が無い全体がカーブしたエッジ。鉛筆を削る機会があったんでコイツを使ってみたが、細かな工作的な用途ならストレート部分が欲しいと思う。食い物切ったり、封筒の開封のような雑務で程度であれば問題ない。

フリッカ*1が無いため、Luxとは操作感が違う。


「CHINA」の文字は裏側にひっそりと。他のアメリカ産モデルの「U. S. A.」とは大違い(そりゃそうか)



サムスタッドのみでのオープンなので、力をかけやすいようスタッドはより先端側になってしまう。オープン状態ではハンドルとスタッドの間が若干離れてしまい、Buntamと同様一体感は低い。こればかりは構造上の違いなので仕方がないが。
サムスタッドは両側に生えているので、左手でのオープンも問題なし。クローズはやはり厳しいけど。



ピボットとハンドルのフレームロック部分。

フレームロックはオープン時にガッチリ入ってガタもない。この辺はフレームロックやライナーロックでは誤差が出にくいはずなのでもくろみ通り。

ブレードの摺動性はあまりよろしくない。というか、クローズ状態からサムスタッドを押してオープンするのに結構な力が必要。
こいつのフレームロックは、ロックバーの内側に金属球(鋼球)がはまっていて、ブレード側にあるくぼみに填まることで、クローズ時に自然に開かないようになっている。これがガッチリ咬んでしまっているらしい。
ロックバーを内側に押さえるような力が少しでも掛かっていると、もう完全に動かない。なるべくロックバーををさわらないように、ハンドルよりクリップに指を引っかけながら、両面のサムスタッドを親指と人差し指で摘むように押し出せば引っかかりが少なくブレードを出せる。

完全クローズの状態からブレードが動き始めるまでにコツがいるが、動き始めてから完全オープンまでの動きもけっこう渋い。前述のロックバーの鋼球がブレード側にある溝を滑っているためで、摩擦が大きいのではないだろうか?

フレームロックの基本的な構造自体はLux Proと変わらないはずなんだが、ロックバー自体(つまりハンドル材そのもの)の弾力性が低く、硬いため、結果的にロック自体は強いというより強すぎる気がする。
クローズ時に意図せず開いたり、オープン時にロックが外れたりするのはフォールディングナイフとしては欠陥と言えるから、そういう意味では安心感がある訳だが、開くのに難があるのはちょっとなぁ・・・。使ってるうちにこなれてくるだろうか?
ちなみに、左手でのオープン時は、親指でロックの反対側に押しつけるように開くことになるので、ロッキングバーの押しつける力の影響を受けにくい、つまりわりと開きやすい。



ハンドル。

バットがとがっているため、ハンマー代わりに打ち付けるようなことはとうてい不可能。あー、ハンドルでスペーサをサンドイッチしたスカスカな構造のフレームロックの時点でそんなのは無理な話だが。

前述の通り、カーボンパターン風のプリントがされている。印刷なのでリアルでもないし立体感もないが、コーティングの影響なのか妙なぬめり感があり、感触は悪くないし、滑りにくいのがいい。撫でてるとちょっと気持ちがいい。

でも所詮は印刷*2・・・。



Lux シリーズと同様、大きめのクリップがピボット側から生えている。これもチタンコーティングされているが、ブレードのコーティングとはすこし異なり、若干の艶がある。
また、Luxシリーズとはクリップの形状が異なる。


この形状(ビス止めで内側に伸びる形)はよく見る形だけど、Luxシリーズのような形状(一端外側に伸びて折り返すような形)とちがって胸ポケットなどにクリップで差したときにハンドルがポケットから出る量が大きくなる。ベルトなどに付けるなら問題ないし、マネークリップ的に使うなら十分だろう。




ピボットの摺動性が改善できないか、分解してみた。当然保証が利かなくなると思うのでおすすめはできない。
前述の通り、ハンドル材でスペーサを挟んだだけのシンプルな構造。掃除はしやすい。六角レンチとトルクスドライバーなので、ホームセンターに売ってるドライバーセットで十分。ただし、ネジロック剤で固定されているので、とくにピボットには要注意。サイズがあってないとネジ山をなめる可能性がある。


ブレードとハンドルの間には、金属ワッシャ(おそらく銅製)と(おそらく)ナイロンワッシャが挟まっている。シリコンでなくナイロン*3だとしたら、普通の機械油を注油しても問題ないだろう。片側に挟まっているのが一枚じゃなく2枚つづなのは、ワッシャ同士で滑ることによって摺動性を向上させるためだろうか?金属製とナイロン製を混ぜてあるのは、締め付けたときにナイロンワッシャがクッション(バネ)代わりにするためかもしれない。

分解してパーツクリーナーで洗浄したあと、ワッシャ同士の間にBUCK純正のピボット用オイル(かなり昔に買った奴だが)を薄く塗布、さらにロックバーの鋼球がすべるラインにも注油して再組立したら、ブレードの展開が少し軽くなった(ただし、ピボットからオイルが滲むようになったが)。

ピボットのボルトを締め込む際、トルクを調節することでも変わるが、緩すぎるとロッキングバーがブレードを押す力によって、クローズ時にブレードが寄ってしまったり、それによってピボットボルトに負担がかかる可能性が無いとはいえない。ここらへんも含めて、箱出し状態でよっぽどおかしくない限り*4、分解はしないほうがいいかと。


本命のつもりで買ったんだが・・・

なんだかなぁ、いまいち「コレジャナイ感」が拭えない。
もちろん、フリッカが無いことや、ブレード形状が違うことは承知の上で、「使ってるうちに慣れるだろ」と購入しているので今更ンな事いっても仕方がないんだけど、なんかしっくりこないんだよなぁ。

中国生産とはいえ、(今のところ)品質はそんなに悪いとは思えないし、ブレードの質感も好きなんだけど、やっぱりカーボンパターン「風」なのが引っかかってるのかな。でも「本物カーボン削りだしハンドル」なんてこの値段じゃ絶対に買えないし、買ったところで「もったいない感」が出てきてLux Proと同じ事になるだろうし。

こいつの活用箇所については保留と。

しかし、この値段でこの雰囲気は結構いい。ぱっと見の高級感はあるし、プレゼントなんかにはいいかもしれない。
アウトドアナイフとしてガシガシ使えるかはまだ分からないが、見た目が気に入ったら買ってしまってもいいかもね。

とりあえずバックアップとしてみるか。

ということで、次。

Spec

  • メーカー : Buck Knives
  • モデル名 : Nobleman Carbon 237CFS
  • MADE IN : CHINA
  • ロックタイプ :フレームロック
  • ブレード素材 :440A
  • ブレード長 :67mm
  • ハンドル素材 :ステンレス
  • ハンドル長(折りたたみ長) :95mm
  • 購入価格 :4620円

余談

「次。」の前に、初めから本命じゃなくついでに買ってしまったナイフがあるのでそっちを次回に紹介。


(「ついでに購入」とか、すっかりダメパターンに突入しているわけだが・・・)

*1:あとから調べたら、あのチョイルにある出っ張りは「フリッカ」というらしい。

*2:やっぱりどうも・・・ねぇ・・・?

*3:シリコン製のワッシャだと普通の機械油に弱く、劣化してしまう。

*4:一応BUCKは「永久保証」なのでBUCK本社に送れば直してくれるかもしれないが、並行輸入モノだと本国に送らなきゃいけないし、正規代理店経由でも結局本社に送るはずなので、相当待たされることになるだろうし。そういう意味で国内にサポートの無い海外メーカー品の道具は、ある程度自分で修理なり調整なりをすることを前提にしておいた方がいいと思うな、よっぽどレアでプレミアムなものじゃない限りは。あ、初期不良は別ね。