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「LETHERMAN Skeletool CX」

レザーマンツールジャパン公式オンラインショップ / SKELETOOL CX

缶切りと栓抜きとコルク抜き

最近の缶詰はプルトップしかない。瓶ビール飲まない。ワイン飲まない。
あっても結局使わないベスト3。

缶切りなら、空き缶をちょっと加工して灰皿にしてみたりだとか、まだ活用方法はあるが、それも頻度は極端に少ない(そもそも携帯灰皿もってくし)。瓶は割れるので基本的にキャンプには不適。ワインも最近はスクリューキャップだし。

まぁ、この3つは極端な例として、あっても使わない(使ったことがない)ファンクションは結構多い。ツールナイフにとって「有っても困らない」というものは無いと思っている。前回のサイバーツールを紹介した時のように、多機能→ハンドルが厚くなる、となってしまうから。

缶切りは「使わなくてもあると便利」ということなら、メインのツールナイフと別にサブツールとして持っておくって手もある。メインは頻繁に使うものだけ含まれていて欲しい。

結局、自分がツールナイフに必要としているファンクションは何なのか。工具として使うことが多いが、基本は

  • ナイフ(無かったら「ツールナイフ」じゃねぇしな)
  • ニードルプライヤー(いわゆるラジオペンチ、ワイヤカッターやワイヤストリッパー含む)
  • ドライバー

これらプラス、

  • リーマー(錐)
  • ボックスレンチ

があればなお良い。



で、去年の関刃物祭りの露天にてコイツを見つけて一目惚れ、買ったと。

レビュー


このSkeletool やStyleシリーズはLETHERMANの中でもやや異質なシリーズに思える。

前述の関の刃物祭りの露天で、前知識無しで初めてみたとき「なんだこりゃ?」と思ったのは、PSTから続く「正当派LETHERMAN」の質実堅固とはかなり違うこの雰囲気のためだろう。PSTの正当派進化系を考えるならSUPER TOOL 300等、WAVEを派生起源とした多機能系ならSURGEだとかCHARGE辺り*1なんだろうが、Skeletoolはファンクションをシンプルに押さえ、軽量化方向へ寄せている。しかしマイクラなどのミニツール系やジュースなどのカジュアル系とはちがう、強いて言うならライトウェイト系ってところか。

目指していると思われる軽量化はかなり徹底しており、肉抜きはハンドルだけでなくメインブレード、さらにはアイデンティティでもあるプライヤー部分にまで及んでいる。

しかも無印Skeltoolでは金属ブロックだった部分が、Skeletool CXは整形されたカーボンブロックに置き換えられている。


無印ではなくCXを選んだ理由は



カーボンだから。



・・・まぁ、半分は冗談だけど。


デフォルトのファンクションは以下の通り。

  • ニードルプライヤー(ワイヤカッター含む)
  • メインブレード
  • ビットドライバー(LETHERMAN専用ビット対応)
    • プラスビット(#1 & #2)
    • マイナスビット(3/16" , 1/4")
  • カラビナフック(栓抜き含む)
  • クリップ

PSTと比較すると大幅に減っているが、ドライバーとプライヤーの2つは工具としては必要最低限な選択だし、ドライバーはビットドライバーになっているので個人々々で必要な物をチョイスすればいい。そのために「Bit Kit」(後述)が用意されているわけだし。
できればリーマーは欲しかったところだが・・・。





プライヤーはPSTと比較してかなり薄型になり、印象としては正直頼りない感じではある。ニードルプライヤー(先端)はPSTのようないわゆる「ラジオペンチ」的な尖ったものではなく、若干幅のある形状。もともと「ラジオペンチ」っていうとその名の通り電子工作なんかで部品の足を曲げたりするのに使うものだけど、幅広にすることでもうすこし汎用性を持たせたと考えていいだろう。軽量化の肉抜きもされているので、PSTと比較すればどう考えても剛性は落ちていると思うが、どこまでハードに使ったら壊れるのかはわからん。海外サイトでプライヤーブロックが崩壊した画像なんかもみかけるので、PSTの時のような感覚で使うのはまずいかもしれない。

Broken skeletool...now with possible mods?
http://www.flickr.com/photos/km-m/3845986674/

この剛性の低下は軽量化とのトレードオフだろう・・・。





ハンドルは握り込んでも痛くないようにリブが分厚くなっている。写真のようにカーブしているのは好みが分かれるところだろうな。個人的にはストレートよりも握りやすくなっていると感じる。
カーブの内側が手の先方向に握ると力を入れやすいが、このときプライヤーは掌側に寄っていることになり、狭い場所での使い方に影響してくる。まぁこれは一概にどうとはいえないが・・・。





ビットドライバーは専用の薄いタイプ。他のシリーズと共通のようだ。一見、普通のビットドライバーより強度が低そうに見えるが、ビットの固定はクリップのようなタイプでガッチリ固定されるので案外大丈夫。ただし、太い番手のプラスドライバーやヘキサ、トルクスだとねじ側に掛かる部分が少ないため、ネジ山をなめてしまう可能性があるので注意が必要。


ビットの薄さのおかげでハンドル側に一本収納できる。また、追加ビットのセット「Bit Kit」が別売されている。
もし、通常形状のビットを使いたいなら「Bit Extender」をつければいい。これは延長シャフトを兼ねており、薄型ビットを装着することもできる。このへんは後述する。






メインブレードの収納システムはWAVE系を引き継いでおり、サムホール付きのライナーロック。折り畳んだ状態から片手でオープン・クローズが可能。稼働はちょっと固めだが、逆に安心して使える。オイルを差してやったら多少スムーズになったが、クローズ時の固定のしっかり加減は変わらず。オープン時のガタつきは皆無だが、VICTORINOXのような精巧さも感じない。
フレームは片側だけで、ピボットピンの反対側は大きめのワッシャーのようなもので固定されている。




実をいうと、これが俺の人生初サムホール・ライナーロックではないのだが、正直はじめて手に取ったときはあまりに久々だったのでロック解除に戸惑った。


ブレード素材は154CMのプレーンエッジ(無印は420HCのハーフセレーション)。ブレードの背の角が立っており、非常に硬質な印象をうける。ポイント形状は・・・ユーティリティなのかな?

購入時に店員さんに「CXのハーフセレーションはないんすかwww」と聞いたところ「154CMは硬度が高いからセレーション加工すんの大変なんじゃね?」*2的な返答が返ってきた。154CMはアメリカでは440Cから置き換わり、最近までメジャーだった鋼材らしい。たしかに加工コストはかかりそう。
そもそもハーフセレーションにあまり利点を見いだせないので「ま、CXでいいか*3」となったが、LETHERMANにはナイフ的用途より工具的な用途を求めたいので、そういう意味ではハーフセレーションでもよかったかもしれない。
切れ味は非常に良い。
初期刃付けも十分。むしろ、自分で研げる自信がない。420HCのBUCK #560ですら蛤刃にしてしまうのに、これだけ堅そうな鋼材でこれだけしっかりとした小刃を保てるかどうか・・・。



ツールナイフなので重心はどうしてもハンドル側になる。ペン持ちはちょいと厳しいが、それ以外なら、まぁ問題ないレベルか。



ハンドルに対するブレードのオフセット位置は当然左よりになる。PSTと基本的には同じだが、ハンドルが刃側に膨らんでいないので、細かい作業はSkeltoolに分がある。


そもそも比較するなら、一端ハンドルを開かないとメインブレードが出せないPSTより一発でオープンできるSkeltoolの方が遥かに便利だけどね。


今までのツールとのメインブレードの比較。どれもブレード長に大きな違いはない。




クリップはハンドルのフレームに沿って湾曲したものがついているが・・・正直これは必要あるんだろうか?
最近のフォールディングナイフにはクリップがついているのが一般的になっているが、コイツの場合は、素の状態で持っているならカラビナフックがあるし、腰につけたければナイロンシース付属している。このクリップの目下の役目は、実はメインブレード開閉時に指をかけて滑りにくくするため・・・じゃないかと邪推(?)している。

まぁ、本体から大幅に出っ張っている訳ではないし、とりあえず付いたままでも今のところ支障はない。


で、そのカラビナフック。ジーンズのベルトループにぶら下げるもよし、ザックのDリングに吊すもよし。栓抜きを兼ねているのが特徴だが、普段栓抜きを使うことがないので、使い勝手はよくわからないし、しばらく気が付かなかった。まぁ、少なくとも邪魔になる形状ではないので問題ない。


栓抜きを表す刻印。はじめはこれが瓶に見えず・・・・いや、どうみてもマヨネーズかケチャップのボトルだろコレ(笑)。



薄いプライヤーを採用しているにも関わらず、ハンドルの厚さはSkeltoolの方が分厚い。メインブレードのピボットがプライヤーと共有しているので分厚くなるのは仕方が無いとはいえ・・・


付属のナイロンシース。オーソドックスなマジックテープ式。両サイドにペンホルダっぽいもの、中にはインナーポケットがある。これの役割については後ほど。ベルトループは縦横に対応。

シースの底に穴があいており、これがなんなのかしばらくわからなかったのだけど・・・


こうやってプライヤーを開いた状態のままシースに差すためだった。仮止め用ね。


「Bit Kit」と「Bit Extender」とその他もろもろ

LETHERMAN純正アクセサリについて。

前述の通り、Skeletoolシリーズに対応した純正アクセサリ「Bit Kit」と「Bit Extender」を追加することで、ビットドライバーを拡張できる。


Bit Kitは純正ビットと同形状の追加ビットが21種類と、ビットホルダが含まれている。
ビットホルダは10本分+細いビット用1本文が入り、これが2セット含まれる。

含まれているビットの一覧が公式に載っていないのでここにメモ。
・・・と思ったけど量が多くて面倒なのでヤメ。

プラス、マイナス、ヘキサ、トルクス、日本ではみかけない四角形のタイプ、細いめがねドライバー(これはSkeletoolでは使えない)。PCイジリならこれで網羅できるし、バイクの電装周りならだいたいは対応できる内容か。

ビットホルダーは付属ナイロンシースに1枚分入る。インチ規格のものもあり日本で使うことはほとんど無い(アメ車にでも乗ってりゃ別だけど)のでよく使うビットと使わないビットを分けて、使うもの10本をまとめてナイロンシースに一緒に入れることにした。本体にも2本付けられるので、持ち運べるビットは12本になる。

仕訳結果はこんな感じ。

内容は今後見直すかもしれない。



次にBit Extender。ボックスレンチのセットなんかについている延長シャフト?みたいな奴。根本はLETHERMANのビット型だが、先端は汎用のビットが差せる。つまりこれを使うことによって、汎用品の流用が可能ということ。

先端のボックスレンチ部分、中に抜け止め用のリングバネが入っており、ふつうのレンチとして使うことはできない。これのおかげで汎用品でもLETHERMAN専用品両方使うことができるのだけど、バネは非常に硬く、一度装着すると、ドライバービットなら引き抜くのにプライヤーが必要になるほど(苦笑)。これは使っているうちにゆるんでくるかもしれないが、最悪は抜いちゃってもいいかも。

ドライバー類は揃っているので、市販のソケットレンチを追加してみた。
仕分けた残りのビットを入れたホルダーその他もろもろと一緒に収納。


これだけあれば、バイク関連ならだいたいはカバーできる。これより大きいものはどっちみちコイツでは対応したくないほど大トルクが必要になるはずなので、小さめのモンキーレンチに任せるか、コンビネーションレンチの方がいいな。


付属ナイロンシースの「ペンホルダーみたいな」部分、ここにBit Extenderを差しておける。左右二カ所あるけど、もしかするとまだ同じようなアクセサリーがあるのかもしれない。

数年ぶりのツールナイフ


去年2011年の関市刃物祭りの露天にて購入した。ナイフ関連はしばらくブランクがあり、その間情報を追っていなかったので、久々にみたナイフ業界はなかなか新鮮なものだった。

特にロック機構の変化と、それがツールナイフにも反映されている点はおもしろい。それまでは「フォールディングナイフはバックロックが付いているのがいい、ツールナイフはスリップジョイントでも(構造上)仕方がない」と考えていたが、現在はSkeltoolのようにメインブレードにもちゃんとロックがかかるツールナイフが普通になっている。ライナーロックはハンドル背面にロックリリースを付ける必要がないというのが大きいのだろう。
スパイダルコがパテントをもっているサムホールでのオープン機構も、サムホールの形状を変形させるという抜け道で各社が対応しているのがおもしろい。サムホールの形状が、半円だったりもっと変形した形だったりと、なんというか涙ぐましいというか「苦肉の策」感がたまらない(苦笑)

とまぁ、そんなこんなで、現在のメインのツールナイフはSkeletool CXになっている。メインブレードの使いやすさ、握りやすさ、拡張性、持ってる自己満足感(カーボンハンドル)のバランスが一番とれている。
利用範囲は自室での工作からツーリングのお供まで幅広い。

ここに落ち着くまでは「多機能が正義」だと考えていた節がある。
しかし、いろいろと使っているうちに
「多機能の方がいい」
→「多機能だったら(何かの時には)いいよね」
→「多機能でも使わないものは使わない」
→「なんでもあればいいってモノじゃない」

という思考の収束に結びつき、
「必要なモノは何か、冗長なものは排除したほうが先鋭化できる」
と納得できるようになった。

簡単にいえば

  1. 「器用貧乏一人いるより、その道のプロが何人も居た方がいい」
  2. 「それでも一つにまとめられる部分はまとめた方がコンパクト」

この2点のバランスを考えるときの、「軸足が定まった」ってことだろう。これは、人それぞれ最適な状態が違うので、人から聞いたり、頭で考えてもわからない。経験が軸足になる。


「俺も大人になったな(ドヤッ」


というわけで、ツールナイフのネタは今回でひとまず終了。



Spec

  • メーカー : LETHREMAN
  • モデル名 : Skeletool CX
  • タイプ:ツールナイフ
  • 製造年・ロット :2010年
  • MADE IN : USA
  • ロックタイプ :ライナーロック
  • ブレード素材 :154CM
  • ブレード長(※) :66mm
  • ハンドル素材 :複合(タングステンDLCコーティング+カーボン)
  • ハンドル長(折りたたみ長) :100mm
  • 購入価格 :11000円

※ブレード先端(ポイント)からピボットピン中心に向かってグリップ根元までの長さ(実測)。銃刀法における定義とは違うので注意。

余談

久々にLETHERMANのラインナップを見たら、似たような機能内容で複数のバリエーションが並んでいて面食らった。
VICTORINOXみたいに「数ある中からチョイスできる」というのは利点でもあるけど、差異が分かりづらいってのは欠点だ。

まぁ、他メーカーの類似品が多く出ているから、LETHERMANというブランドの差別化のためもあるのかもしれない。
その割にはプライヤーの付かないフォールディングナイフなんかも出してたみたいだけど・・・。

LETHERMANを選ぶ際には「この機能は絶対必要」、「この機能は不要」というのをはっきりさせておくべきだな。

おまけ

ツールナイフネタは今回で終了。

ではあるんだけど、

Skeletool CXは「(俺は)ツールナイフの中では最適解」という話であって、「ナイフの中では一番」という訳ではない。

「楽しい」という観点でいけば、「いっぱいあった方が楽しい」・・・




まぁ、つまり、アレだ、


こいつをきっかけにまた色々と買い始めているわけで・・・。

*1:この系統はバリエーションが多くて違いが分かりづらいな。

*2:もちろん実際はこんな口調のやりとりはしてません(苦笑)。女性の店員さんでした。あのときは予備知識なしだったんで長々と聞いてすんませんっした!

*3:セレーションよりカーボンハンドルの方が魅力的(苦笑)。