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「BUCK Lux Pro 0016TTS-B」


BUCK Lux - Pro

BUCK 折りたたみナイフ ラックス LUX PRO 0016TTS-B

BUCK 折りたたみナイフ ラックス LUX PRO 0016TTS-B

完全見た目買い

刃物祭りでSkeletool CXを購入して以来、通販サイトでキャンプ用品をちょくちょく覗くようになった。また、4月に名古屋に引っ越してから、防災用品(非常持ち出し袋的な物)をそろえるためにいろいろと調べ始めたのもあって、必然的にナイフ関連を見るようになる。

そんな中、Amazonにて「BUCK Smidgen 160SS」を見つける。安かったのもあって購入したのだけど、それからまたBUCKに興味がでてきた。

で、Lux Proを見つけて衝動買いしてしまう。

コイツは完全に「見た目」・・・つまり「チタンコーティング」「カーボンパネル」で購入した。
コイツのおかげでしばらく迷走することになった、のだが・・・。

『lux』は『ラックス』とも発音できるが、『ルクス』つまり国際単位系の照度を差すこともある。CMで美人モデルが出てくるあの某シャンプーの表記も『LUX』となっている。単位の「lux」の語原はラテン語の「光」だそうだ。これを語原として「luxury(ラグジュアリー)」という表現なら日本人にも馴染みがある。

ナイフに関して「光」というイメージは、日本人の感覚からはちょっと異質な気がするが、この記事の内容からすれば「luxury」ならなんとなく納得できそうだ。

ジェントルメン・フォールダー


Luxシリーズは「ジェントルメンズ・ナイフ」という位置づけになるっぽい。
「ジェントルメン」といえば紳士。紳士といえば「ジェントルメン」。
しかしナイフにおいて「ジェントルメン」というジャンルについては最近まで知らなかった(意識したことがなかった)ため、「ツールナイフ」とか「アーミーナイフ」のような明確なジャンルとして確立しているのかは把握していない。
要するに、ハンティングやキャンプ、料理などでガシガシ切ってガンガン研いで・・・みたいなものではなく、封筒の開封だとか、鉛筆をちょっと削ったりだとか、『ちょっと必要なときにサッと取り出して使えて便利』的な感じのモノ・・・と考えて良いでしょうか紳士。いかにも紳士が持ってそうな感じで紳士。語尾が紳士。


ほら、シルクハットをかぶった英国紳士が

「お嬢さん、フリースの襟にUNIQLOのタグがつきっぱなしですよ。私がとって差し上げましょう」

的な感じで優雅な動作でフォールダーを取り出し・・・的な映像が浮か、ば、ねぇ・・・か。


本家Webページのトップ映像でも夜景の街並みの背景で強調されているように、「アウトドア派」というよりは「シティ派」、「デニム」というよりは「スーツ」、「道具」というよりは「お守り」的なイメージが近いんだろう。
そう考えれば、「ジェントルメン・ナイフ」的なナイフはずっと昔からあるわな。

最近のBUCKのモデル展開は3レベルのランク分けパターンが主流のようだ。

  • 「Select」 → いわゆるベーシックモデル。
  • 「Avid」 → ベーシックモデル+αの
  • 「Pro」 → 高級版。ブレードやハンドルに高級なものを使用。

つまり「Lux Pro」はLuxシリーズの最上位モデルにあたる。

レビュー



ブレード鋼材は「S30V」で艶のあるチタンコーティング。チタンなのでグレーなんだが、カメラを通さずに直に見るとやや青紫がかっているように見える。
焼き入れ職人のブランド「BOS」のロゴが入っている。ネット上では「ボス焼き」などと呼ばれ、なんか非常に良いらしいのだが、比較対象が無いので自分にはわからない。そもそも「S30V」ブレードのナイフも初めてだし。

形状はドロップポイントだが、スピアポイントのようなスパイン(ブレードの背)になっている。ポイント*1からハンドル側に緩やかなカーブになっていて、チョイル(エッジのハンドル側の根本)近くで膨らんで、すごく微妙なリカーブド・エッジっぽく*2なっている。リカッソ(ブレード全体の根本のエッジになってないところ)のさらにハンドル側からは突起がでていて、オープン時にはキリオンになり、クローズ時にはオープンの際のアシスト代わりになる(後述)。この形に明確な名称があるのかはわからない。

コーティングがつやつやなので、指で触ると指紋がついて気になる・・・。



#560で慣れていると、Luxのハンドルが非常に薄く感じる。



ハンドルの素材はステンレスだがブレードと同様チタンコーティングが施され、カーボンパネルがインレイ(埋め込み)されているが、パネルを仕込む溝の深さよりカーボンパネルがほんの少し厚く、パネルの角が微妙に出ているのが残念な所。まぁ指でなでない限り気になるものでもないし、カーボン好きとしてはこの角のところの微妙なザリザリで、カーボンファイバーの感触を楽しむ*3のがいいんだけどね。無論、であることも個体差も考えられるが、細かい人は気になるかもしれない。



ハンドル裏側(右側)にはハンドルと同じくチタンコーディングのクリップ。チタンの焼き色がいい感じ。このクリップの取り付け方法だと、シャツの胸ポケットに入れても飛び出す部分を小さくできる。
こちら側にもカーボンパネルインレイ。
ソングホールは無いが、ジェントルメン・フォールダーとして考えるならクリップがあればランヤードは不要だろう。おそらく同じ意味でシース(ホルスター)も付属していない。



ハンドル、クリップの固定、ピボットピンはトルクスネジで止まっている。自分でもバラせなくはないが、保証が効かなくなる可能性があるので自分ではやりたくないな。



フレームロック、つまりフレーム自体がライナーロックの板バネの役割をもっている。分厚いハンドル材なので、板バネの根本に当たる部分は薄く整形され、柔軟性を持たせてある。



緩いカーブが基調のブレードと微妙な曲線で構成されたハンドルのラインが、ブレードオープン状態でつながってなんともいい感じなラインになる。




クローズ時、キリオンがハンドルの背側にでて、開くときにはこいつを押すことで90°ぐらいまで開く。サムスタッドもついているが、閉じてしまうとハンドルとの間がなくなり、通常のサムスタッドの使い方(クローズ状態からサムスタッドに指をかけて開く)というのはちょっと難しい。しかしポケットやホルダに入れたとき、サムスタッドが引っかかって開くこともない。



オープン時、サムスタッドはハンドルにぴったり沿う形で止まる。
このため、オープン・クローズ操作以外でサムスタッドを意識することがない。
サムホールと違い、ブレード側面に飛び出すように付くことになるサムスタッドなので、邪魔にならない場所に配置される必要があるが、こいつは問題ない。






開け始めはキリオンを押して90°まで、以降はサムスタッドに親指をかけて前回まで開く、というのがデフォルトの開け方だろう。サムスタッドは反対側にもあるので、オープンに関しては左利きでも大丈夫。
ロックが入ったときの「チッ!」という硬質な音がいい。



(4:30あたりから)
YoutubeにあがっているLuxのレビュー動画を見ると、キリオンを勢いよく押すことで一気に全開にできるようだ。
自分でやってみて、全開になるちょっと前のタイミングで手首のスナップを利かせれば、まぁ、たしかにできなくはない。
が、ピボットピンの締め込みがきついためか、途中で止まることの方が多い。個体差かもしれないが、確実性が低い。普段使う分には通常のオープンでも大きなタイムラグにはならないから、あまりしないほうがいいかな。ピンに要らん負荷をかけたくないし。






クローズに関してはフレームロックと同様、ロックを親指で押して外側にずらしてロックリリースしながら、人差し指でブレードの背をちょっとだけ押し、ブレードが倒れ始めたらたらロックから指を離して、親指でサムスタッド・または人差し指でブレードの背を押してクローズする。

ブレードを倒し始める直前まで親指をブレードの進行方向に置かなければいけないので苦手な人もいるかもしれない。もちろん両手でクローズしてもOKだけど、ナイフを片手でオープンするときは、クローズするときも片手で行いたい事の方が多い(左手でなにか物をもちながらナイフを開き、しまうときもそのまま片手で閉じる)ので、できるなら慣れておいた方がいいんじゃないかと思う。



リリースノブはちょっとだけ出っ張っているので指はかけやすい。
ロックバネは柔らかめではあるけど、オープン時にはブレードの接触している面との摩擦で食いつくような感じになるため「使っているうちに勝手にリリースされる」なんてことはまずないだろう。

オープン時もクローズ時もガタつきは無い。全体的なしっかり感は上々。
切れ味だが、とりあえずの初期状態での切れ味はさすがに良い。今後自分で研ぐようになってからが問題かも。
いままでの鋼材よりかなり硬いらしいから、#560なんかよりやっかいかもしれない。

LETHERMAN SkeletoolCXも154CMで硬めの鋼材だし、そろそろランスキーシャープナーの導入を考えた方がいいかもしれない。

もっとも、「実用ナイフ」というより「ちょっと使い」のモデルだとすれば、研ぎ易さより刃持ちの長さ(長切れ)のほうが重視されてる可能性があり、それはそれで理屈が通る。ガシガシ使うのは他のナイフにして、Lux Proはデスクナイフにしておくのが良さそうだなぁ。

これはこれで良いとして・・・

ということで、Lux Pro自体はすごくお気に入りになった。大きさ、重さ、見た目、感触、使い勝手の良さのバランスがいい。

ホルスターが付属していないのが不満なんだが、これは俺の今までの使い勝手でいくと、重要度は低いけどやっぱり欲しい。汎用品で使えそうな物をボチボチ探すことにする。
まぁ、入手したとしてもやっぱり使わないだろうけどね。

Buck #560 は完全に引き出しの奥だが、Lux Proは引き出しのすぐ取り出せる場所に配置して、ときどき封筒やパッケージの開封に使ったりしている。

さて、LuxProはどちらかというと「お守り」系となれば、これとは別に「実用系」のナイフが欲しくなってくる訳だ。

条件は、

  1. Lux と比べて使い勝手が遜色ないこと。
  2. Lux ほど派手でなく地味でもなく、手になじむこと。
  3. でもちょっとぐらい遊び心が欲しいかもしれない。

そんなこんなで、しばらく迷走することになります・・・。

Spec

  • メーカー : BUCK
  • モデル名 : LUX PRO 0016TTS-B
  • タイプ:フォールダー
  • 製造年・ロット :2011年
  • MADE IN : USA
  • ロックタイプ :フレームロック
  • ブレード素材 :S30V チタンコーティング
  • ブレード長 :67mm
  • ハンドル素材 :ステンレス チタンコーティング、カーボンパネルインレイ
  • ハンドル長(折りたたみ長) :95mm
  • 購入価格 :10800円

*1:ブレード先端

*2:「リカーブド(recurved)・エッジ」というともっと極端なS字状のエッジを指すんじゃないかと思うのだが、こういうエッジ中央がストレートになっているものを「リカーブド」と表現していいのかは判らん。

*3:冷静に考えれば変態だな。