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バイク用ライトトレーラー - (2)法規(とか)について

obally.hatenablog.com

前回、構造については理解できた範囲でざっとまとめたのだけど、法令も考える必要がある。 つかこれ、構造よりもよっぽど複雑でわかりにくい。基本的にはWikipediaの「オートバイ用トレーラー」のページをインデックス代わりにしつつ、e-gov(法令検索)で確認して調べていくわけだが、ほんとどうやってまとめようか悩むんよ。

用語とか

用語についてだが、前提条件として明記しておく。

よく交通事故のニュースなどでは「大型トレーラーが横転・・・」と言われているが、それはラクターがトレーラーを引っ張っている状態の大型トラックを指している。

  • ラクター(tractor)・・・牽引「する」車両(動力車)
  • トレーラー(trailer)・・・牽引「される」車両(牽引車)

本記事では「トラクター」「トレーラー」と呼ぶ。バイクでも「トラクター」だ。

  • 「後方灯火類」・・・テールランプ・ブレーキランプ・ウィンカーが車両と連動して点灯するもの。

つまり赤色黄色の反射板は含めない。

「原付二種」が「原付一種」と混同される諸悪の根源

道路運送車両法施行規則

道路交通法施行令

道路交通法施行規則

まず実態として車両(トラクター)としてのバイクは3種類に分類される。

  • 125cc以上
  • 125cc未満、50cc以上
  • 50cc未満

これは、

この辺の区分についてはここの表がわかりやすいかもしれない。

clicccar.com

保険についてはここではノータッチ。それから、50ccの自動車、いわゆる「ミニカー」もトラクターになりうる(し、一応やっても問題はないっぽい)が、今回は割愛。

道路運送車両法

車両運送管理法(以下「車両法」と表記)では

あくまで自分が読んだり、他のサイトでの解説(解釈)をもとに、「おそらくここまでは間違いなかろう」というものであって、実は認識が違っている可能性もある。

ナンバーが必要なトレーラー

  • ナンバーは軽(黄)、普通車(白)、重量サイズにより変わる
  • ナンバー付ける=税金は発生する
  • 後方灯火類が必要
  • 重量(250kg以上)によってはなんらかのブレーキが必要
  • 250kg 以下でもブレーキなしでちゃんと止まれること(ダメなら要ブレーキ)
  • ブレーキが取り付けられた場合はそれでちゃんと止まれること
  • 適用制限速度は車両区分「牽引」が適用
  • 高速料金も「牽引」扱いになる(?)

これらの条件というのは、四輪で曳くライトトレーラーに適用される物と同じ制限(規格)と考えて良いだろう。さすがに乗用車で曳くようなでかいキャンピングトレーラー(白ナンバー)みたいなものは二輪ではほとんど物理的に無理だと思うが。

種別が牽引扱いということは、ETC付けた二輪車だと牽引料金になるんだろうか?高速道路では自動二輪は排気量問わず軽自動車と同じ料金だが、軽自動車でトレーラー牽引した場合は普通小型自動車で牽引したのと同じ料金になる?それなら自動二輪+トレーラーでも軽と同じになりそうだが。

hwsm.jp

四輪ではETCセットアップ時に「牽引あり」にチェックをいれておくと対応できる(ゲート通過時に自動判定される)ようだが、二輪用ETCにそういうのあったっけ?

ナンバー無でもOKなトレーラー

  • 車体の後方灯火類が後ろから見えればトレーラー側に不要
  • 止まれるならブレーキ不要
  • ナンバー無し=税金は発生しない
  • 適用速度制限は「25km/h以下」
  • 原付二種で曳けるのはここまで?

このナンバー無しのトレーラで想定されている前提条件っておそらく「カブ50のリアキャリアにリアカー繋いで、農機具とか野菜積んで畑と納屋を往復する」ぐらいでしか考えられていない。
っていうか厳密に法令化するに当たって『いままでこれでやってて問題なかったのになんでブレーキやらテールランプが必要になるんじゃい!どないしてくれる!』って農家のじいちゃん達からブーイングされそうだからこうなったって所なんじゃなかろうか、と思っている。つまり『今までを黙認するための消極的法令』とかそんな感じっぽい気がするので、長距離を走ることも幹線を走ることも50ccオーバーで引くことも、お役所からしたら完全に想定外の話なんだろうなぁ、という予想。

なぜそう考えているのかというと、特に 「25km/h以下」という制限速度に関しての具体的な理由付けが弱い(なにかそういう物理的な根拠が見つからない)から。原付(一種)の法廷制限制限速度は 30km/h なので「50ccで引く場合ならこれより低いよね」となる意味もわかる。しかし、一般道の法定速度(60km/h)まで許可されている小型自動二輪(=原付二種)で同じ制限速度なのはおかしくない?と正直なところ思う。
ただこの手の法令って、なにか問題とか不整合が発生して騒ぎが大きくなってからやっと定義とかを明確に規定して絞り込んでいくというパターンが非常に多い(トライク関連とか最近だとマリカー騒動とか)ので、やっぱり単に特に細かく考慮されていないんだろうな。まぁ、カブ50のリアカーの例でいけば、そんな状態で60km制限の幹線を走るシーンは無いだろうから問題になってないだけの可能性。

なにが気になっているのかっていうと・・・

  • 一般道路の法定速度である 60km/h を許可されている小型自動二輪も、原付と同じ「25km/h以下」の根拠は?
  • ブレーキのない所謂「リアカー」が根拠であるなら、ブレーキを装着し、補助灯火類(テールランプとウインカー)を装着し、これらが満足に稼働する(として)軽ナンバー付きのトレーラーを、原付二種で引くことができない*(明記されていないため分類上適応できるものがない=存在できない?)のか?

率直に言えば、

「小型自動二輪で25km/h制限の対象にならないトレーラーにしたいんだけどどうすればいいの?」

ってだけの話なんですよ。

前述の話で「そんなん考慮されていないから無理」って事ならもうどうしようも無いけど。

保安部品

装着義務が無かったとしてもあったほうが良いのは言うまでも無い。が・・・。

後方灯火類

ブレーキランプ・テールランプ・ウィンカー。

車体側に合わせて点灯させるだけなので、単純にリア側に向かっているハーネスから分岐して、トレーラーに引っ張れば簡単に付けられそう。車体側にトレーラー向けの防水カプラを付けてつなげることになる。

「車体側の後方灯火類がトレーラーのせいで見えなくならなければ取り付ける必要は無い」が、トレーラーに付けた以上はきちんと動作しなければならない、つまり「車体側が見えてるから取付けたけど点灯させなくていいよね」とはならない。よって、トレーラーに後方灯火類を取り付けるならトラクターにもそのための電装が最初から必要になる。

つけるならちゃんと全部作る、付けない(取り付けられない)なら車体側が視認できるようにする。どちらかきめてかかる必要がある、という点に注意が必要かと。

実際の構造・回路については、今時はLEDになるだろうし、車体側にかかる電気的負荷はかなり低減できそうではあるが、車体側の発電容量と電装品の消費量を考慮して実際に計算してみないとなんとも。

ブレーキ

四輪と同じようにトレーラーにもブレーキを・・・という訳にはいかなさそうなのがバイク用トレーラー。

慣性ブレーキ

四輪用のライトトレーラーでは一般的。慣性ブレーキの仕組みはヒッチ部分に対してトレーラー側から押す力がかかると、それをブレーキシューを引く力に変換するという物。トレーラー側に慣性ブレーキを動作させるだけの重量が必要ってことだが、ブレーキの効きはトレーラーの合計重量に比例する(トレーラー重量が大きければヒッチにかかる力も大きい)。
ブレーキの動作に関してはトレーラー側で完結し、バイク側に手を加える必要が無いし、特別な操作は不要。ブレーキ無しよりはかなりマシだろう。

問題はヒッチ部分で慣性を受け取る部分の装置をどうするか。四輪用ではユニット化された物があるはずだが、バイクのライトトレーラー用というものは見たことが無い。フルスクラッチするには地味に複雑というか、強度を保ったままドラムブレーキの(ブレーキレバーでいうところの)引き量に相当するストロークをうまく作り出せるかが問題になりそうだ。

電磁ブレーキ

ブレーキランプが付けられるなら、ブレーキランプ点灯をスイッチとして電気的にブレーキ制御が可能になるかもしれない。ブレーキランプへの入力は「ON」と「OFF」の2値だから「ガックンブレーキ」にならないよう良い感じに制御できるかどうか。2値の入力をリニアに変換するようなマイコン制御が要るかも。四輪用のキャンピングトレーラーだと、ここらへんを制御する装置(慣性センサを使って良い感じに制御するっぽい)があるようだが、そのままバイクに使うには難しそう。
また、車体のバッテリーから給電しソレノイドかなにかをつかったとして、ドラムブレーキのブレーキカムを回すだけの力を出すのは難しそうなので、へたすると外部バッテリーが必要になってくるかもしれない。

手動ブレーキ

難しいことを考えず、ドラムブレーキのブレーキワイヤーを車体まで伸ばして、ライダーが手動操作するというのもアリっちゃぁアリか。

通常より長いブレーキワイヤになるのでバイクのブレーキよりはレスポンスは悪いだろうし、追加のレバーをどこに付けるか(どうやって操作するか)、トレーラーを外したときにどうするかが課題になるが、それらさえクリアできれば既存のパーツの寄せ集めでなんとかなりそうな気はする。
クラッチレバーの無いカブ系やリアブレーキがフットペダルのスクーター(ベンリィプロとかヤマハギア等)なら左レバーを追加するのがもっとも簡単で、リアブレーキが左レバーの普通のスクーターならフットブレーキとして実装できるかもしれない。バイクがリアドラムブレーキならドラムブレーキアームに繋いで連動させることも可能か?
1軸1輪ならスクーターのリアドラムブレーキがそのままだが、1軸2輪ではブレーキワイヤを分岐(引く力を2分割)しないといけないのが難易度高そうではある。それでも慣性ブレーキをフルスクラッチするよりは作りやすそうだが。自転車ではハンドル回りをすっきりさせるために1レバーで前後ブレーキを引く「2本引き」なるカスタムがあるようだし、もしかするとコンビブレーキ関連が流用できるかも。
1軸2輪でも、三輪バギーでよくあるデフギアのない車軸1本タイプにするなら車軸にブレーキを固定すればいけるだろうが、旋回性が落ちるのでトレーラー側には向かないだろう。ただ、左右輪が差動しない⇒コーナー内側(または外側)の車輪にブレーキ効果が発生する、と考えれば(コーナーでブレーキが自動的にかかる)あながち悪くない・・・いや直進ではかからないから意味ないか。

というか、そもそも

なんで唐突にこんな記事を書いたのかという話だが。

このライトトレーラーについては「NM4でハーレーみたいにライトトレーラーを曳いたら面白そうだなぁ」と思いついた事がスタート地点(つまり4~5年ぐらいぐだぐだ考えてた)なので、NM4を手放した現在ではあまり考える意味が無くなっている。それでも防災用途として考えれば有用かもな、ということで車種を限定せず広く浅くで書いてみた。
まぁ防災用途といっても、有事のためだけにコストを払って用意だけするのは厳しいわけで、どうせならツーリングで使うことにも考えを広げるわけだが、冷静に考えると「正直どうなんだろう」となり、そんなこんなで、前回の基本的な構造、そして今回の法規面とそこから逆算される構造面に至るまで考えるだけ考えてみた訳だが。

考えるだけならタダだから良いよね、と(そして俺は考えるのを止めた)

今のところ、実際にやろうと思うとどこかで腑に落ちない面を抱えつつ「とりあえずやってみた」な形になる。「やってみたら大したことなかった」ならいいし、ダメでもそれを糧に次に進めれば良いんだが、なんとなくそのまま放置になりそうな気がしないでもない。
自分は「理屈から先行する」タイプである自覚はある。考えすぎとか気にしすぎって部分はあるかもしれないが、そういう性分なのでいかんともしがたい。なにかのきっかけでやる気になる可能性はあるので、塩漬けのままここに記しておくことにする。