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HAMの人

HAM。ハム。

ハムといっても○大とか日本○ムとか明宝○ムとかのアレではなくて、アマチュア無線家の話。
その昔、「King of Hobby」などともてはやされ、拡大し、違法局が続発し、携帯電話やインターネットの普及に伴い縮小していったアマチュア無線


でね、久々に大須に行ってきたんですよ。それで「KTELのヘッドセットって幾らするのかな〜」などとぶらりとハムショップ*1に入ったら、お店の人となんか妙に話がはずんでしまいまして。

いやね、一応俺高校生のころ四級アマチュア無線技士の資格取得したし、アマチュア無線部だったしで、ヘタレなりともハムではあったんだけど、高校卒業したらまったくやらなくなっちゃった。もちろん無線局免許状も更新せずロスト、今じゃ自分のコールサインすら思い出せない始末(思い出した所で失効してるから意味ないけど)。

店員さんの話を聞いてみると(当然だけど)10年前とは状況がかなり変わっていて面白い。特に気になった点をまとめてみた。

無線機の小型化・高性能化

無線機=リグ(RIG)と呼ばれます。机の上に置いてアンテナを屋外にだして使うのが「固定機」、車なんかに積んで使うのが「モービル機」、いわゆるトランシーバっぽい手持ちタイプを「ハンディ機」と呼んでいる訳ですが、このハンディ機がスゴい事に・・・。

VX-7/VX-7B

この小さな筐体で3バンド、防水性ばっちり、改造不要でマルチバンド受信OK。AM放送・FMステレオ放送まで聴けちゃう。10年前の俺にとっちゃ、これはもはや夢リグですよ。

小ささならこのハンディ機もなかなかいい感じ。
VX-3
こっちは防水は無いしディスプレイ表示も1バンドだけだけど、ちゃんとマルチバンド受信だしFMステレオ受信OK、なにより実売価格22000円ってのがいい。これなら4アマ持ってれば気軽に「これ買って開局しちゃおうかなぁ」って気になる。最悪「ちょっと大きめの携帯ラジオ」としても使える訳だし。

「波長」という物理的壁のあるアンテナは仕方ないとして、リグがここまで高性能に進化したのはバッテリがLi-Ionになって小型・大容量化したのが大きいんだろう。ここらへんは携帯電話の進化に追従している形。

高性能化の波は固定機にも押し寄せていて、今では出力制御もデジタル制御になっているらしい。なんでも、出力違いの同系統リグは制御プログラムの違いだけであって、実際には中身は殆ど同じ物だったりするとかなんとか。逆に極端にブラックボックス化されてしまい、自作レベルで改造やら修理やらはできないようになってしまった。

マチュアパケット通信

アマチュアパケット通信:ja.wikipedia

インターネットさらにi-modeに代表される携帯電話でのデータ通信がメジャーになる前は、「パケット通信」といったらアマチュア無線通信を介したキャラクタベースのデータ通信の事を指してた訳なんだけども、今は「アマチュアパケット通信」と呼ばれるようになったらしい。

現在ではTNC*2で名を馳せたタスコ電機*3が倒産し、TNCそのものがまず入手できない状況とか。

インターネットを介したフォーンパッチ

WIRES-II

無線において、ある箇所で電波を中継する設備を「レピータ」と呼ぶが、公衆回線を経由するレピータ的な仕組みを「フォーンパッチ」と呼ぶらしい(この仕組みについては昔からあるらしいが、日本では法令的な問題で普及せず、俺の感知する所では無かった)。
で、インターネットが普及した現在、公衆回線ではなくインターネット網を使ったフォーンパッチ的なモノが、回線の高速化や法令緩和に伴い日本でもテストされているらしい。携帯と違って、飛距離に限界がある無線において、基地局が増えることで大幅な通信距離の延長が可能になる。

D-STARやWiRES等規格はいくつかあるようだが、この法令緩和自体が携帯電話が普及し、アマチュア無線自体が下火になった後だったので、流行になるには至っていないようだ。

アンテナメーカの生存

各社アンテナメーカは携帯電話関連や無線LAN関係、それから無線タグ関連で食っているらしい。まぁ、無線関係はなんだかんだで日常生活では必須の技術だし、表から見えないところでがんばっているということか。

従事者層の変化

携帯電話の普及で「だれとでも会話」が可能になり、アマチュア無線の「いままでの需要」は減ってしまったが、「会話」という面に関してはニッチながら需要が出てきているらしい。
特に、バイクツーリングなどで山間部を走行する際、携帯電話では「必ず基地局を経由しなければならない」つまり携帯圏外では端末同士が近くても使用できないという点がネックになる。

最近はツーリングで他の車両と通信したい、というライダーが少なからずとも発生していて、これに対応すべく、用品メーカが「特定小電力」のトランシーバ(と、ヘルメットに搭載するヘッドセット)を発売しているが、出力的に物足りないユーザが新たに4アマを取得する事が多いらしい。
最近はバイクモービル向けのリグも増え、バイク用のナンバープレートアンテナ基台も普通にお店で売っている。話を聞いたお店でもKTEL製品が道路側のショーウィンドウに飾られるぐらいの売れ筋商品だとか。お手軽にスタートするにはいい時代になったもんだ。

こうして見ると

10年経って、アマ無線の世界も様変わりしたなぁ、と。
正直な所「もう絶滅してんじゃね?」ぐらいに考えていたけど、表立たない所で細く長く続いている。やっぱり趣味としての歴史が長いからな。
通話という重要度が落ちた今だからこそ、逆に趣味としての部分が強くなっているんじゃないだろうか。ただ、趣味要素が強くなればなるほど、趣味としての敷居が高くなって、新参者が入っていきにくくなる。今後大きく盛りかえす可能性は限りなく低いだろうけど、アマ無線の世界はこのまま続いていってほしい。


あー、VX-3いいなぁ。また開局しようかなぁ。

*1:無線機を扱う店のこと

*2:ターミナル・ノード・コントローラ:terminal node controller、公衆回線通信におけるモデムみたいなもん

*3:懐かしい、なんとなく無線部備品のTNCのガワ開けたらZ80が入ってたよ。