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HONDA NM4-02 (2) - エンジン、DCT

NM4の肝となる第二世代DCTと750cc直列二気筒エンジンについて、特性というか癖みたいなもので気がついたことを書いていく。

750ccのバイクに乗るのは教習所のCB750K以来、さらにDCTは初なので、まったく比較対照が無い。
さらに、NM4と他のNCシリーズのDCT、エンジンとはセッティングが異なる可能性がある。あくまでNM4の感想ということに留意いただきたい。

エンジンのフィーリング

一言で言うと、

「トルクがあって全域で使いやすく実用十分」

アイドリングは1000rpmちょい、レッドゾーンは6000rpm以上。
低回転から上までドロドロとした鼓動感があり、いかにもツインっぽい。直列2気筒だが270°相違クランクのため、Firestormの90°Vツインに慣れた自分としては親しみやすい。かといってFirestormのように巡航で手がしびれるような激しい振動ではなくマイルド。

60km/h巡航だと6速1500rpmでほとんどアイドリング並、Dモードだと下手すりゃ5速に落ちる。80km/hで6速3000rpm行かない。
カタログスペックによると最大トルクは4750rpm(68ps)ということだが、そこまでブン回さずに余裕をもって流す方が楽しい・・・と思いきや、ワインディングできちんと回してメリハリつけて走るのもおもしろい。なかなか汎用性の高いエンジンだと思う。

燃費と航続距離

12/21の納車からおよそ2000kmの現在まで10回の満タン給油で、平均燃費は27.4km/L。
最高は31.1km/L(01/25)、最低は23.6km/L(02/08、ただしこの時の走行距離は119km)。

だいたい25km/Lと考えて、タンク容量が11Lなので最大見込み航続距離は275km。まぁ250kmと考えておけば安全だろう。

PCX初代125ccの実質燃費が40km/L前後、Firestorm(前期型)963cc*1が15km/L程度だと考えると、750ccでここまで燃費がいいのはさすが。NM4のエンジン、NC750シリーズの元となったNC700シリーズのエンジンは、開発段階ではHonda Fit(四輪)の低燃費4気筒エンジンのシリンダーを半分にブッた切ったものをつかっていたそうな。
NC700X(MT)乗りの友人によると、実質燃費は35km/Lというから驚く。125cc並か! 50ccアップしたとはいえ低燃費エンジンの遺伝子を確実に受け継いでいるのだなと感じる。

ただし、燃料計の表示が残り1つで点滅になったとき給油警告表示(リザーブ表示)に切り替わるが、リザーブは4Lもあるため普段は7L消費の175kmで給油することになる。このリザーブちょっとせっかちすぎじゃないかなぁ。全体11Lに対して4Lって、ほぼ半分だぜ?
高速メインの最高燃費の30km/Lなら210kmでリザーブなので、たとえば高速で名古屋→東京を移動(中央道)するとしたら、全行程360kmとして中間の諏訪湖PA(180km)あたりで給油することになる。給油警告表示に変わった頃にちょうど給油・・・なんかFirestormとあんまり変わらないペース配分になるな・・・。

はじめてのDCT

初め乗ったときはものすごく不思議に感じる。普段から普通のバイクになれている人はみなそう思うんじゃないかと思う。
トランスミッションの感覚、加速減速の変速のコツンという感触は今までのバイクそのものなのに、その操作はバイクが勝手に行っている。変速時、特に加速時の変速ショックはほぼ無くで、「超絶クラッチワークで勝手に変速してくれている」と言う感じ。

DCTは奇数段と偶数段それぞれにクラッチがあって、1速に入っている状態で2速に上がるとき、1速のクラッチは繋いだまま2速を噛みあわせたうえで奇数段側(1速)クラッチを切り(回転数を合わせて)偶数段側(2速)を繋ぐ。実質のプロセスとしてはクラッチを切る前にすでに次のギアが入っている状態なので、自動で行われる回転数合わせ(ブリッピング)をのぞけばシフトチェンジにかかる時間はほとんどない。

なので、0km/hからの発進など、「ほとんど加速しか可能性が無い」とか「これから停車するような一定減速」ようなありがちで予測できるような場合は、ECUが前倒しで次のギアを入れてくれるため非常にスムーズになる。逆にそのECUの予測を裏切るようなパターン、「停車するかと思いきや20km/hぐらいからちょっと加速が入った」とかの場合(中途半端な渋滞とか、交差点で赤信号で停車する直前に、信号が変わって前走車が進み始めたとか)ギクシャクしがちになる。特に低速でのパーシャルな状況では変速時のブリッピングに時間がかかる傾向にあり、あたかも「ECUが変速するかやめるか迷ってる」と感じてしまう。(笑)

DCTの各モードに関して

低燃費重視の「Dモード」、引っ張りエンブレ気味の「Sモード」、ある程度自由度がある「MTモード」。


「Dモード」は低燃費・低負荷で走るようにセッティングされている模様。
1速スタートしてからすぐに2速に上がり、3→4→5速は気がつかないぐらい静かにシフトアップ、60km/hで交通の流れに乗る頃にはいつのまにか6速に入っている。
たとえば5速で加速していても、スロットルがパーシャルになった瞬間6速に上がる。
緩い上り坂を5速パーシャル上っていて、登り終えて平坦路になって負荷がなくなった瞬間に6速に上っている。
ともかく、状況が許す限りなるべく一つ上のギアを使おうとする感じ。

「Sモード」はDモードとは反対に、なるべくトルクが太い回転数を維持しようとする。スロットルレスポンスも早くなっているようで、スロットルワークが雑だとギクシャクすることになるがワインディングの登り坂ではモリモリと走れる。また、平坦な市街地でもストップ&ゴーが多い所でメリハリをつけて走るのにも向いている。

「MTモード」はその名の通りマニュアル風なモードだが、マニュアル『風』であって完全にマニュアルですべて自由に変速できるという訳ではなく、状況によってECUが自動で変速したり操作を無効にしてしまう。
シフトアップに関してはシフトアップボタンを押さなければ上がらないが、減速していくとシフトダウンだけは自動的に行われる。
また、回転数と速度に見合わないような極端な変速は行えない。たとえば100km/hの6速からシフトダウンボタンを連打した場合でも一気に2速までシフトダウンすることはないし、停止(0km/h)した状態で1速から2速に入れようとしても反応しない。

「Nモード」は本来の意味でのニュートラル。走行用各モードでは、クラッチ断によりトルクを遮断するが、「Nモード」は奇数段側も偶数段側も完全にギアの噛み合いが抜けている状態。NモードからDモードに入れるといつものバイクと同じように、ニュートラルから1速が噛合した時の「ガコン」というショックがある。
D/S/MTモード間での変更は走行中のどのタイミングでもOKだが、D/S/MTモードからNモードへは完全に停止した状態(メーター0km/h)でないと入らない*2
スタンドがでている状態でNモードからD/Sモードを入れることはできない。
また、Nモードから直接MTモードには入らない。NモードからD/Sモードに入れたときは、かならずDモードになる。


今まででSモードやMTモードを積極的に使ったシーンはワインディングで、登りではSモードでトラクションをかけつつ登り、下りでは一定速度を保つため(下りの速度増加で勝手にシフトアップしないよう)MTモードに切り替えるという運用がしっくり来た。特に下りは「そのままだと回転数を上げようとするエンジンをなだめるように走る」というスタイル*3が好きなので、これに合致させるにはMTモードしかない。

スロットル多め開けで一気に加速するなら、下手に自分でMTモードで行うよりSモードでECUに任せた方が圧倒的に速くてスムーズだ。あまりやる必要がなかったから試してないが、0-100km/h加速はどうなんだろうな。

「S/Dモード」でのMT操作

「Dモード」や「Sモード」であっても、シフトアップボタン/シフトダウンボタンは効く。

ただし、一時的に使えたとしても、そのままスロットルパーシャルで速度が変わらなければ元のギアに戻そうとしてしまうので意味がない。しかし、たとえば以下のような状況の時に役立つ。

  1. 高速にて追い越し加速時のキックダウン代わり:
    • 右手親指でSモードに変更するより左手親指のシフトダウンボタンの方が押し易い。
    • スロットルを開けると同時シフトダウンボタンを押すとスムーズに加速に移行する。
    • Dモードの常用域だと(良くも悪くも)トルクが太いためキックダウンせずにそのままダラダラ加速してしまう。
  2. Dモードでの減速時、早めの減速シフトを行う場合:
    • ブレーキで減速するよりエンブレを効かせながら減速でき、かといってSモードではエンブレがかかりすぎてしまうような場合はこの方法をよく使う。
  3. 5速パーシャル巡航時、トラクションを抜くために6速にシフトアップ
    • 上記2パターンよりは出番は少ないが、50km/hぐらいで意識的にダラダラ走りたいような時には使うこともある。
    • ただし、ちょっと速度が低下すると5速に落ちてしまうので適宜MTモードに切り替えることになる。

ECUまかせにできるとはいえ、自分の好みの感覚とは若干違う。そういうときに積極的にマニュアル操作で変速に介入している。もちろん、MTモードと同じく無茶な変速は許してくれないので注意は必要だが。

普通に走るなら「Dモード」だけでカバーできる

ということで、マニュアル操作がDモードで使えることに気がついてから、普通に市街地から高速まで、ほとんど「Dモード」に入れっぱなしで使っている。今後峠に頻繁に行くことが予想されるため、SモードやMTモードの出番も増えていくとは思うが、少なくともそこまでの道中でDモード以外を使うことはそんなにないと思う。ラリーでいうところの「SS」と「リエゾン区間」で使い分ける感じになると思う。
それもこれも、エンジンのトルクが十分に余裕があってこそだろう。

癖は解ってきた

2000km、高速・市街地・ワインディングをおおよそまんべんなく走って、NM4-02の癖という物がだいたい掴めてきた。

アドベンチャー系(マルチパーパス系)ほど万能バイクとは呼べず(最低地上高が低すぎる)、ロー&ロングのロングツーリングバイクとしてのキャラクターが強い。ハーレーだとこういう見た目のを「Bagger」系、つまりツーリングバッグいっぱい付けた系と呼ばれるらしいが、NM4-02をそう呼ぶにはバッグの容量的に弱いし、それよりももっとワインディング向きな感じがする・・・というにはバンク限界低すぎる。

やはり、現状では「ジャンル分類不可」としておこうか。

とりあえずサードバイクとして俺が求めていた「PCXとFirestormの中間」という要素(ロング楽、高速楽、峠も走れたらいい)は完全に満たしている。
ある主の器用貧乏に近いが、それはそういうものだと初めから割り切っている。でなきゃ「増車」にはしない。

DCTに関して、ジャンル的にどう表せばいいのかいまいちわからないが、YAMAHA FJR1300ASは自動変速は行っていないはず(よね?)だからクラッチレスMT、ビッグスクーターのようなCVTをフルATとするなら、このDCTは「マニュアルモード付きAT」の部類に入るのだろうか。
基本は自動変速であって、ある程度のマニュアル操作が可能、といった感じにとらえるべきなんだろうな。どちらかというとスクーター寄りのイメージ。でもCVTやトルコンATとも違うダイレクト感・・・やっぱ自動MT(Automatic MT)に近いのかな。FJR1300ASも、AMTの車乗ったこと無いけど。

とりあえず「NM4-02」とはこういうモノとして、感覚を定着させる方向で。

まぁ、この癖の感覚をつかむまでに立ちゴケやりましたんでね、イヤでも掴まざるをを得ない、と。
立ちゴケについては落ち着いてから書く(まだ微妙に精神的ダメージが残ってたり)。

*1:まぁFirestormは大口径キャブレターなので燃費的には不利なんだけどね

*2:バイクを押しているときや引いて後退しているときにもメータは動くため、本当に静止している状態でないと切り替わらない

*3:こういう走り方になると、Vベルトのスクーターだとブレーキしか抑制方法がないので、PCXで峠の下りは走りたくなかった