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気になるあの道 - 「楢峠」R471-472重複区間

岐阜県から北陸側に抜ける越境ルートには、R41やR360、R1561のようなしっかり整備された幹線区間の他に酷道区間がいくつか存在する。 『おちたら死ぬ』のR157「温見峠」と現在バイパス整備中のR417「冠山峠」は濃尾平野から福井に抜ける酷道として有名だが、それらがあまりにも有名すぎて、飛騨地方から富山県に抜けるR471 楢峠(ならとうげ) は陰にかくれがち。だがここも長い冬季閉鎖や災害通行止めで通過できる期間が極端に少ない「開かずの国道」ルートだったりして以前より探索してみたいと考えていた。

obally.hatenablog.com

で、前回はFirestormで富山市へ買い物に行くついでにちょっと偵察したところ『やっぱこれはCT125やな』ということでパスしたため、二週を跨いで今回CT125で通過してみた。交換したばかりのシールチェーンの馴らしも兼ねているのであまりヘヴィな走りはしない。

あと、ネット上の酷道系サイトやYoutubeチャンネルには、すでにこの区間のレポートが多数存在しているが、今回は前情報無しでトライする。最近は、あまり詳しく事前調査していると、実走時がひたすら答え合わせになってしまい面白くない気がしてんだよな。

R360 から分岐

今回のスタート地点はR360からR471-R472重複区間が分かれる無名(?)の交差点となる。
ここは街道名でいえば「天生カツラ街道」。西進すればR360単独区間で天生峠を超えて白川郷に抜けるルートだが、R360の東端は宮川にそって岐阜県神岡町猪谷付近でR41に接続している。宮川を渡る河合橋東端でR471-R472の重複区間と合流し、この分岐までの1.5km程度の短い区間は、R360,R471,R472の3路線が重複することになる。
そもそもR471は長野方面にむけてR41との重複区間だし、R472は郡上市からR158との重複区間を経て高山市内でR41重複区間に切り替わるという複雑なルートになっている。3桁国道はこの手の重複が多いとはいえ、道案内を3桁国道ベースで説明しようとすると本当に訳ががわからなくなってくる。

んで、R360天生峠への青看板は手前から設置されているのに、R471-R472楢峠方面への看板は直前にはスルーされるという微妙な扱いの悪さ。

分岐の交差点には出ているのでそこら辺は、まぁなんとか面目を持たせている感じか。
つか、この交差点の時点で軽いトラップ。

これ、パッと見て即座に「右」と判断できる人はちょっとした道系マニア以上なんではないかと。

看板の通り、右の急斜面が正しいR471-R472で、左の広い道はR360の橋ができる前の旧道。なんも考えずにR360から右折したら旧道側に入ってしまう。

最近熊の目撃情報を結構見るんだよな・・・今回は熊鈴もってこなかった。

入ってすぐ、安定の「普通の3桁"酷"道」感。

前回撮影位置

前回写真の再利用

Firestormで来たときの場所で同じ構図で写真を撮ろうとしたんだが、

これまたゴツい落石

アスファルトに落石によると思われる傷があるので、やはり斜面から落ちてきたものだろう。

この写真をとっている間、合計8台ほど車が下ってきた。この手の酷道としては結構交通量が多い。この後もすれ違う車両が結構あって、その車両によってなんとなくその道の属性みたいなものがわかってくるもんだが、この道についてはなんかいまいちはっきりしない。
例えば軽トラのおっちゃんなら近隣に畑が多いとか、老夫婦の軽ワゴンなら集落があるとか、ミニバンやSUVなら渓流釣り客、中型トラックの作業者なら林業関係者、とか。(バイク?そりゃ俺と同系統の奴らだよ)

走ったのは日曜日の午後なのでお仕事(林業関係)が居ないのはわかるが、SUV数台、老夫婦の軽、若い人の軽ハッチバック、軽トラの爺さんと統一感がない。この先富山県側は川沿いで釣り人が多かったのでSUVなどは解るんだが、付近に集落があるわけでもないし畑があったようには見えなかった。

なお、後に挙げるダムあたりまで、路面状況は写真のような状態がずっと続く。そして渓流釣り客と思われる車両が結構ハイペースで走っているので十分に注意2を。

脇道

接続している林道や作業道が結構ある。

一つ一つ挙げていくときりがなさそうだが、林道の先がどうなっているのかやっぱり気になる。まぁ、今回はタイヤがGP-5だし今回はあくまで酷道部のみの探索ということでパスだが、例えばこの写真の「芦谷林道」を調べたところ総延長1.5kmほどの短いものだった。
脇道として特に気になったのは

これ。

熊野神社跡地」への徒歩道のようだが、なかなかそそられる急勾配だ・・・さすがに行かねぇよ?

無残なおにぎりコレクション

うわぁ・・・メッコりいっておりますなぁ。

なんでこうなる?
この1ヶ所だけではない。もっと先にも

ポールの根元から曲がってぐしゃってるやん。

これもなにか上から力が掛かったものと思われる。

上から背面側方向の力によるものだろう。

これはもっと先の岐阜富山県境付近。一見R471だけ付いているように見えるが、

反対側を見るとR472が。ポールの長さ(上側にスペースがあるし付いていた痕跡が見える)的にも上側にあったR471がずり落ちて反対側にひっくり返って押し込まれたか、あるいは外れたものを反対側にあとから付けた?

今回通しで特に酷いのはこの5ヶ所。
どれも決まっておおよそ上方向からの力によるダメージに見受けられる。単体で付いているだけなら下方向にずり下がるのだが、重複区間でおにぎりが同一ポール上に上下に並べて付いているため、下側の標識に止められ結果的に上に付いてるR471が潰れているパターンか。廃道なんかだと撤去されずに放置された国道標識が錆びて「いい味出してる」的な写真を多く見るが、この道は一応現役の国道でそれなりに管理はされている路線だがこれはいいのか?

豪雪地帯なので雪の重みの影響を考えたが、信号機などとは違い雪がのる面積は少ないためこの暖かい時期に実物を見るとちょっと想像しづらい。そのため雪では無く倒木を疑ったりもした。倒木と言っても幹が腐って折れるとか土砂崩れで根元から倒れるというより、雪の重みで太い枝が折れ、それが電線(架線)を切断してしまうというのが雪国では“まれに良くある”パターン。
だが、倒木というにはその原因となったような倒木の痕跡は見つけられなかった。こんな状態に破損しているのがそのままになっているのに、原因の倒木だけ処理しているとはさすがに考えにくい。冬季閉鎖で長期間人の手が入らない状態が半年ぐらいつづき、そのあいだは雪は除去されず放置される。雪と言ってもさらさらパウダースノーではなく粘り気の強いベッタリした雪だと、吹雪で付着した雪にキノコ状に雪だるまが成長しているようなものは見たことがあるが、それが長期間ゆっくりと力をかけていけば上側だけ折れ曲がるように潰れることはありえそうだ。
こういったことを後から落ち着いて考えてみると、やっぱり雪の重みによる破損という線も十分考えられる気がする。

楢峠

お地蔵様は昔から峠道における峠頂上のわかりやすい目印だ。ちょっと広場?のようになっており、ここが河合町の町有林だという看板がある。
頂上をすこし富山側に下ったところに分岐。

CT125を奥に止めているが、この写真は来た方向からの画角。まず上半分を青いフィルムを貼って消してある印象的な青看板。ヘアピンコーナーを右に下っていくのが今回の順路。そこから視線を下げると、黄色の注意看板に富山県へは通り抜けできません」。さらに視線を下げると、

『万年通行止』

いや、まさかの手書き。「万」が大きく「年」が小さくなっている辺り、なんというか書いた人のものすごい投げやり感が伝わる。「止」の下に道路の線形を表す図がかかれているが、よく見ないとそれだということに気がつけないだろう。

これはr34 「利賀河合線」との分岐。

後ほどGoogleStreetViewでこの部分を確認したところ、

2021年7月

現在最新(2021年7月)のものでは「災害による通行止」で封鎖、となっておりまだ手書き看板は存在していない。

2012年10月

さらに過去(2012年10月)では全面通行止めで封鎖されてはいるものの、この時点では黄色警告看板はついておらず、青看板の塗りつぶされた上半分は南砺市方面の案内だったということがわかる。
つまり、度重なる崩落により通行止め状態が慢性的に継続し、復旧・開通を諦めついに万年通行止、という流れだろう。

南砺市方面への案内が消され、「富山県へは通り抜けできません」という恒久的な注意看板があるにもかかわらず、さらに手書きの看板が必要ということは、よっぽど看板を信用せず富山へ通り抜けようとする車両が多い事の査証だろう。このr34はナビタイムなどゼンリン系電子マップでは途中で途切れているが、GoogleMapでは通行止になっておらず通り抜けられそうな地図になっている。
やはり日本国内の道路情報についてはゼンリンの精度の高さおよびGoogleMapの精度(国内における情報更新頻度)の低さ、それと同時に今時のGoogleMapの利用率の高さが垣間見える。

・・・で・・・まーた悪い癖が。

二ツ屋峠(岐阜-富山県境 , r34通行止)

やっぱどこまでいけるか気になるじゃん?

といっても1kmほど封鎖ゲートに到着。

しっかりしたゲートで四輪の通過を阻む・・・ん、“四輪の”と書いたか?

・・・いや、まぁ、何も言うまい。

ここにもお地蔵様のほこら跡。楢峠と違い“中身”が居ないが、お役目を終えられたということか。

横の隙間から少しだけ徒歩で入らせてもらう。

草ボウボウの廃道状態かと思えばそこまで酷くなさそうに見える。まぁもっと先はどうなっているか知るよしも無いが。

岐阜県側から富山県側に県境看板は無かったが、富山県側からは岐阜県および飛騨市の看板がある。

自分は廃道探索者ではないのでここで切り上げることにする。いつの日か、通行止が解除されたら南砺市へ抜けてみたい。

あとからGoogleMapを確認したら、途中で「謎の池」なるものに行ける道があったようだ。まったく気がつかなかった。こちらは通行止ではないようなのでまた別の機会に行ってみたい。

分岐まで戻ってくる途中で若い兄ちゃんが運転するキューブとすれ違った。富山ナンバーだったけどやっぱりGoogleMap使用者かも。

岐阜-富山県

県境のゲートまで降りてきた。先に挙げた「両面おにぎり」はここにある。

そう、最初は勘違いしていたが、楢峠ではなくしばらく下ってきたここが県境。ゲートを挟んで三叉路になっている

東に伸びるダートは林道かと思ったが、辿っていくとR41 飛騨市打保に抜けられるようだ。この道も気になるところではある。

遊漁証の案内。楢峠を下り始めてからしばらくして大長谷川という渓流に沿って下っていた。R471-R472はこのまま八尾町まで川に沿って下る。釣り客が多い理由がわかった。

渓流に沿って砂防施設、取水設備、ダム、発電所が点在する。

富山側の封鎖ゲート。大雨や災害などの場合、ここから県境までのゲートを塞ぐことになる。

大長谷川 河川敷

大長谷第五発電所のすこし下流で河川敷に降りる道があったので降りてみた。

濃尾平野などは堤防から河川側を河川敷として整備されていることが多いが、上流部では河川敷にできるほど谷間の幅が広くない。飛騨地方でこういう場所は珍しいのでちょっと遊びたくなる。

とはいえ、場所によっては人の頭ぐらいの大きさの石がゴロゴロしているので、オフ車でもちょっとやっかいな場所かもしれない。写真の中州だった所のように流速が落ちる所は細かな石や砂が堆積しがちで地面も比較的締まっているため走りやすい。今回はタイヤがGP-5だし空気圧も落とさなかったが、それでもこのぐらいならまったく問題なし。

この辺りから下流はぼちぼち民家が増え生活感がでてくる。

R471-R472分岐

今回の一応のゴールとなるR471とR472が分かれる三叉路に到着。

R471利賀方面は想像していたより広い二車線に切り替わる。

R472富山市街方面も一見二車線になるように見えるが、実はこの先また一車線になってしまう。こちらは拡幅工事がすすめられており、最終的には完全に二車線になるのだろう。

これをもって今回の探索は終了・・・しようと思ったんだが、

さらに500mほど進んだ八尾町栃折の新白石谷橋にて。直進方向はR472だが、

おわかりだろうか。

左側に2方向に分かれている。向かって左の現在工事による立ち入り禁止はR471-R472重複区間、つまり新白石谷橋ができる前の旧道。右はR472単独のおにぎり。

どうやら、このR471とR472の分岐は現在ルート変更の途中らしい。

今通ってきたR471とR472の三叉路の方がどちらも2車線になっており、ここまでの途中が拡幅工事中ということは、最終的には先ほどの分岐が最終的なものになると思われる。
ところが、橋の旧道が重複区間の看板で、右に登っていく道にR471の標識があるということは、元々の分岐はこの三叉路だったということになる。確かに右の上りは結構な傾斜なので昔の車ではなかなか大変そうだ。
最後の〆としてこの旧R471を通ってみる。

上りの途中から旧重複区間を望むとすでに高低差が10mほどある。

途中、R471新道をくぐると、

唐突にR471利賀方面の案内標識。やはりここが旧道なのは間違いないし、GoogleMapでも国道の表記ではなかった。でも標識が撤去されていないのでもしかすると国道指定はまだ残っている可能性がある。

急勾配を登り切ったところでT字路に到達。R471の案内標識があるのでここで間違いない。

この写真で向かって右側が先ほど通ってきた新しい分岐へ降りていき、左がR471の利賀方面となる。
この作りを鑑みるに、R471の整備は利賀方面から進めていき、先に新しい分岐まで建設、後追いでR472から旧道重複区間を拡幅して分岐地点まで伸ばし、完成後は県道か町道に格下げ、という感じだろうか。

今回は富山方面からR41で帰るつもりなのでR472富山・八尾方面へ下るのだが、最後にR471を新分岐地点まで降りてみよう。

分岐(というかこの場合は合流か)手前の青看板はT字となっている。つまりこちら側が一時停止。

先ほどの分岐(いやだから合流)地点に到達。一時停止の標識は「STOP」が併記された新型だが、ここまでのR471新道は白線も結構剥げていてそんなに新しいように見えなかった。結構長い工期であることが見て取れる。

まとめ

  • 実走日時: 2023/6/18(Sun) 15:30 - 18:00
  • 走行車両: CT125 (タイヤGP-5)
  • 区間距離: 38.7km

以前より気になっていた楢峠を一通り探索することができた。
今回はあくまでR471-R472重複区間の探索と言うことで大きく寄り道もせず(俺としては)素直に通ってきた訳だが、新たに気になる脇道が出てきたので再走するつもりでいる。今のところ、r34の途中にあった「謎の池」と県境付近からR41に抜ける道だが、それが内容的に面白いかどうかわからないので記事に起こすかどうかは未定。

『気になるあの道』シリーズは自分が気になっている道を走ることで知的好奇心を満たすだけのものだが、今回の記事は今まで自分が散々他の人の記事を読んで楽しんでいる事に対して、(開かずの国道だけあって)ネット上にもそんなに多くないこの区間の情報を補完(還元)するという意義を含んでいる。

え、r34南砺方面の通行止区間

さすがに明確に通行止とされている道を走る気はしませんよ?たとえ走ったとしても記事なんかにできねぇわ


  1. R156の越境区間は何度も岐阜-福井県境をまたぐ珍しいルート。
  2. 注意つっても、こっちが止まっていたとしても突っ込んできそうな車も居たからな。