4年前に買ってすっかり忘れていた安物中華フォグランプ、CT125フォグランプ取付の件で思い出して探したら引っ越しに持つの中に残っていた。CT125のフォグ取付ですっかり気を良くした俺は、「もうこの際だからこれも付けちゃえ」とNM4への取付計画を立てるのだった・・・。
この取付作業はCT125のLハンドルスイッチの取付と半分平行して行っている(CT125で本格的に走り回る前にカタを付けたかったから急ぎ足でやっつけている感)。
取付方法
基本コンセプトは今までのカスタムと共通で、
『ノーマルに戻せること』
そして、
『破損時、車体本体への影響を最小限にとどめること』
これが大々前提となる。
そのうえで今回の一番の問題、それは「車体のどこに付けるか」。
条件は
- 穴開け加工が不要
- 配光がカウルに被らない場所
- 樹脂パーツなどに負荷が掛からない場所
- 車検が通る場所(ヘッドライトより下で左右対称取り付け可能)
これらを満たす手っ取り早い位置は「フロントフォークアウターチューブのフェンダー取付ボルトに共締め」。
懸念点は「サス下だけど振動とか大丈夫?」というところだが「まぁぶっ壊れても安物だからいいや!」ということで。このまま放置してても不良在庫品のままだし、わりと実験的なノリで進める。
防水コネクタをどうするかだが、面倒なので基本はギボシにハーネステープ(自己融着テープ)でぐるぐる巻きにする。半田付けはなんやかんやで接点不良の原因になるので結線は基本的にカシメ、それでもダメなところは半田付けとする。
パーツ
集めたパーツおさらい。
かかった費用は集計していないが、ライトポッドを除けば合計1万円以内で収まっているはず(ただし最後の改修でかかった費用は除く)。
フォグランプ
ずっと昔に購入した1個1500円の中華フォグ。
レンズが明らかに拡散配光、六角のカットなので左右ではなく全方位と思われる。わりと小ぶり、でもデナリDMよりはちょっと大きい。明るさについては未知数だが期待はしていない。
リレー
雨がモロ被りするわけではないが一応エーモン防水リレーを選択。ところがこれが思っていたよりデカかった。
収まるスペースはあるだろうか?
スイッチ
安上がりで手軽に取り付けられて、見た目もそれなりで、防水で、動作が確実な物。そんなものがあれば良いのだがなかなか巡り会わず・・・。振り返れば今回の一番の悩みどころだったかもしれない。
最初に購入したものはこれ。
中華のイルミ付きSWを購入。ハンドルバーにそのまま取り付けられる。「防水」とか書いてあったが、どう見ても自分で処置した方がよさそうなもの。正直期待はしていなかったが。
が、光量チェックのために電源を接続したのだが、どのようなパターンで接続してもLEDが点灯しない。スイッチのON/OFFは確認できたので単にLEDが死んでいるのか?防水以前の問題だ。
そもそも接続例のようなものが存在せず、Amazonのレビューなどを参考にしながら電源をあてて試すしか無い。
いつもの自分なら分解して確認するところだが、そんなに安い物でも無いし、さっさと取付を進めたいので初期不良ということで返品。交換でもよかったが、公式な配線例が無いものに手こずりたくないので別な物を購入。
2つ目がこれ。
プッシュポップ型のスイッチでイルミネーションがボタンの回りの輪の形になっている。なかなかおしゃれな感じ。これも「防水」と表記されていたがやっぱり信用できないので、あとからセルフ防水加工の予定。フォグランプの表示色はグリーンがよかったのだけど、この型はブルーしかなかったので仕方が無い。
これについては一応配線例が付属していたのでこの通りに接続して動作が確認できた。共締めするためのステーがついているので、これをハンドルバーのどこかに共締めする方針。
ACC分岐ハーネス
ギリギリまでどこからとるか悩む。NM4だとバッテリー付近のほかにフロント周辺にも取れる場所はありそう。
最近のバイクはオプションコネクタがだいたいあるっぽいようなのでそれっぽいものを探すと、CT125のオプションコネクタのようなものをバッテリー近くに発見。標準状態だとなにも刺さっていないので、オプションコネクタと同じカプラがあれば取り出せるのだが、調べたら高いもんでもないし、下手なことやらずメーカー品使おう。
キタコのACC取り出しケーブル。オプションコネクタから拾える。最近のHONDAの防水コネクタはMH90タイプでほぼ統一らしく車種問わずつかえるっぽい。
ACC取り出しがバッテリー付近になるということで、リレーもこの周辺に固定するとして、スイッチとインジケータの配線、フォグランプへの給電の2系統をフロント側へ送る形になる。
ケーブル、端子、雑多な部品
ケーブルはすべてホームセンターの切り売りを使用。本来車載用には専用のケーブルを使うらしいが、切り売りはされていなかった。ギボシやターミナル・ヒューズホルダもホームセンターとカー用品店を回ってあつめた。ヒューズはミニタイプ10Aを使用するものとする。
このほかボルトナットワッシャーなどもホームセンターのバラ売りを購入。すべてステンレス製で統一。
ハーネス作成
基本的にはいつもどおりの現物合わせだが、あらかじめハーネスを作成しておく。
配線図
配線を頭の中でおさらいするために回路図を書いた。
これはパジェロミニに取り付けるために書いていた物だが、基本構成はいわゆる「バッ直」の場合車でもバイクでも大きく変わらない。違いはどこからスイッチの信号線をとるか。
インジケータLEDはスイッチユニットに内蔵される物もあるが、頭の整理のために個別の要素として書いている。
- 四輪の場合、スモールと連動させる必要がある(じゃないと車検に通らない)。スモールをONにすると点灯する内装のイルミネーション配線に連動させるのが手っ取り早い。
- バイクの場合、今は常時点灯なので単純にキーONに連動すれば良い。よっぽど古い車種で常時ヘッドライト点灯でないバイクでもこれは同じ。
インジケータランプはスイッチONの電圧をそのまま流し込めば良い。LEDの場合極性があるのでそこだけ気をつける。
現物合わせで結線
ハーネスを自作するというのは汎用品より車両に合わせた取り回しが可能になるのがメリット。今回はNM4の車体に合わせて大まかな長さ配線の取り回しと長さを決定。ハーネスの実体配線図は以下のようになる。
ポンチ絵すぎて申し訳ないがあくまでイメージなんで・・・
フレームグラウンドは車体の取り付けやすい位置にあるのでバッテリーのマイナス端子ではなく、既設に割り込みで追加する。すでにごちゃごちゃとついているのでフォグランプ側からは1本に集約。
フォグランプへの給電は2心VCTFケーブルをフロントへ送り、直前で2分岐する。スイッチ+インジケータは3心VCTFケーブル。こっちは低容量で良いので心線の太さは0.75SQだが、フォグランプは今後大容量のものに変更する可能性を踏まえて心線の太さが2SQのものを選択。つかこれ以上太い物が車両の電装で必要になることはまずあり得ない。どちらも車載用のケーブルではないが、耐熱仕様の被覆1なので問題ないだろうと踏んだ。もしダメなら交換するつもり。
はい、そしてインピーダンスとかまったく考慮してませんです。
長さは測らずに実際にケーブルを添わせて長めで切断。これぞまさに現物合わせ。
電源供給線はリレーからフロントカウル右側のハンドルステムの右あたりまで引っ張り、ここに二股のギボシを取り付ける。ここからライトまではそれぞれ個別の電線とするが、これは今後ライトの取付位置が変わってもハーネスを交換する必要性を最小限に抑えるため。スイッチ関係の位置が大きく変わることは考えにくいので長めに余裕を持たせておく。
ライトポッドから出ている線は短いので、柔らかく取り回しの良い2心ソフトVCTFケーブルを繋いで二股まで伸ばす。このライトポッド自体の消費電力は5W程度なので1.25SQでも十分足りるはず。
ACC電源からの取り出しのギボシがオス、ハーネス側もオス。よく確認せずに組んでしまった。
またハーネスを切るのが面倒なのでサクッとジェンダーチェンジャー的な物を作成したが、この線だけ中途半端に長くなって収まりが良くない。
その他、リレー回りや給電回りの配線を組んで結線は完了。
面倒だったのが電線の太さが違うもの同士の接続だった。ギボシのカシメ部分は0.8SQ ~ 1.6SQ のタイプと 1.3 SQ ~ 3SQ の2種類あり、ギボシ接続の場合はこの辺をうまい感じで組み合わせた。スイッチの線(0.5SQ程度)のようにそもそもギボシに対応していない太さの場合は、ギボシのカシメ部分とスイッチの線端を半田付けするという力業2で対応。
また、ギボシでないカシメの場合、基本的には同サイズの線を繋ぐ前提となるため対応できない部分がでてくる。もうこうなったら半田付けするしかない。これはライトポッドの配線と延長の2心線の接続など。
つまり結局の所は半田付けが必要になってしまう、ということ。
テスト
一発勝負で作成したので、組み付ける前に電源のみ車体に繋いでバラック状態でテストを行う。
はい、OKと
期待していたより暗いけど・・・まぁいいか。
組み付け
テストで繋いだ接続をいったん外し、配線を通したら再接続、エフコテープで防水処置を行いながら組み付けていく。
作業前にバッテリーの端子は外しておきましょう。
ハーネス
当初の予定通り、車体の右側を通す。
右側のカウルを外し、空いたスペースからフレームの上側に添って二本のハーネスを通す。タンクの脇、シリンダーブロックの上を通ることになるが、水冷エンジンだし、ほかの配線も通ってるし、耐熱被覆だし、まぁ大丈夫でしょ。固定できる場所は多くないが、両端をタイラップで止めておけばズレて落ちることは無かろう。固定は他の部分を接続したらまとめて行う。
リレー周辺
フレームグラウンドをバッテリーのプラス端子を繋いでから、リレーを固定。
実はこのときまでリレーをどのように固定するかを考えていなかった。固定用の穴が開いているわけでもないし、かといって両面テープで貼り付けるわけにもいかない。
ということでこうなった。一応ウレタンシートで挟んだ状態でタイラップ固定しているので振動で死ぬとかそういうことは無い、と思いたい。
配線を通す際にどうしても手が届かない場所は、四輪用の配線通しを使った。ホームセンターで600円程度だったと思う。
それにしても配線のぐちゃぐちゃ感が酷い。エフコテープでぐるぐる巻きにしたのもあって固くて取り回しが良くない。空きスペースに無理に押し込んだような感じだが・・・・外から見えるわけじゃ無いからいいや(めんどくさくなってる)。
ま、一応、長すぎたバッテリーとフレームグラウンドの配線は収まりを良くするため短縮したけどね。
スイッチ
ハンドル左の親指で押せる位置で良い感じで固定、ということで昔購入していたミラー用のクランプの固定ネジがちょうどステーの穴のサイズと同じだったのでこれを流用してこんな感じに。
若干遠い気がするが、インジケータも見やすいのでこの位置で配線の取り回しを行う。
フォグ本体
フロントフェンダーの下側ボルトに共締め。
オリジナルはM6の長さ20mm、ボルトの鍔φ13mmのボルトが入っている。 フォグのステーをフェンダーに干渉しないように1mm厚φ13mmのワッシャを4枚かませた。ワッシャを複数重ねるより一体になったものの方が緩みやずれが発生しづらいので、後ほど厚み5mm程度のアルミスペーサを入手して挟み込む。
このため長さ30mmほどのステンボルトに差し替えた。ステーとフォグ本体を繋ぐボルト・ワッシャ・ナットも防さびのためステンに変更。
この高さならハンドルを切っても左右のフェアリングに大きく被ることはなさそう。配光に上下左右の区別がないのでそのまま横向きに固定できる。光軸はほぼ水平、真正面。
ハンドリングやフォークサスペンションの動きに影響を与えないよう探り探りワイヤリングを行ったが、最終的にブレーキラインに添わせる形とした。
最後に全体の配線を固定し、完成、と。
まぁ、それなりに様になってるか。
テスト灯火
周囲に街頭などの証明が無く林道に近い雰囲気の場所、ということでCT125でテストした場所3で撮影。
まず、NM4ヘッドライト(Lo) 次にヘッドライトHi (Lo + Hi)
そして、ヘッドライトHi+フォグ
んー
まぁこんなもんじゃね?
ヘッドライトの照射範囲外が明るくなっているが、「めちゃくちゃ明るい」というほどではない。
そもそもNM4はCT125のように「まったく使い物にならないくらい暗い」という訳ではなく、「ワインディングのコーナーを照らせないぐらいに光の照射範囲が狭い」というのが欠点だったわけで。フォグの光量はそんなに高くは無いが、足りていない左右の範囲を照らしてくれているのでこれはこれで十分意味がある。そしてステアリングに連動するため、夜のワインディングのコーナーリングランプとしては役目を十分果たすだろう。なんならもうちょっと光軸を左右に開いてもいい。
しかし、明るさはノーマルヘッドライトと同等かやや暗いぐらい。拡散レンズのため面積当りの明るさは低くなってしまっており、CT125の時のように「段違い!!」「付けて良かった!!」みたいな感動は、無いね、正直・・・。
単純な光量の比較でいけば、CT125につけたデナリDMキットの方が間違いなく明るい。これがライトポッドそのもの価格の差なのか、あるいはキット付属のしっかりしたハーネスと自作ハーネスの差なのか、またはその両方なのか現時点ではなんとも言えない。
とりま、せっかくここまで作ったのだから改良を試してみる価値はありそうかな、と。
スイッチの不具合と構成変更
「改良する価値はありそう」と独りごちた帰り道、早速改良というより改修が必要になった。
OFFできない
何度か押しているとOFF状態になるが、ON状態のままOFFにならない場合が度々発生する。
帰ってから状態を確認したところ、スイッチは押し込んで物理的にOFFになるのにフォグは消灯せずインジケータも点灯したまま。
ボタンをOFF位置にしてもインジケータが点灯していると言うことは、スイッチがON状態のままであってリレーが暴走しているとも考えにくい。テスタで確認したところ、やはりボタンはOFFなのに導通したままの状態になることが3回に1回ぐらいの割合でこれが発生した。
PUSH/POP型の押しボタンスイッチは、
- ボタンを押し込む→ 凹んだ状態 → 内部の接点が短絡してON
- 再度押し込む → ボタンを抑えているラッチが外れて凸状態 → 接点が離れてOFF
というものだが、ボタンの位置と、内部の接点が直接つながっているわけではなく、ボタンのバネと接点のバネは独立している。このためボタンがOFF状態でも内部の接点はON状態のまま、という誤動作はわりとあり得るし、経験上古いスイッチだと接点のバネが弱ってきて発生することがあるのはわかる。
でも、買ったばかりでこれはちょっと・・・どうよ?
スイッチ交換
やっぱりね、中途半端な中華製品はこんなもんなんすよ、と。
またも博打失敗ですね、と。
さすがに懲りたので国内メーカーのスイッチユニットに変更する。
前から目を付けてはいたんだけどね、これ。薄型のデザインは非常に良いけどインジケータが内蔵していないのとその割に価格が高めなので選択肢から外していた。
既設の左スイッチボックスとのデザイン上の差異が少なく親和性が高い。
スイッチの線は細いので、目に付く部分だけコルゲートチューブで覆った。ワイヤリングは左スイッチボックスから伸びている配線に添わせている。
やはりこの手のスイッチはシーソー式が確実だな。
LEDインジケータ増設
スイッチにインジケータが無い、つまりインジケータを別体で用意する必要がある。逆に言えば、スイッチの位置に係わらず自由な位置に取り付けてよい、ということに。
キジマの汎用LEDランプ。バイク用設計で12V入力に対応。一般的にLEDを点灯させるにはアノード(+)側に抵抗を挿入する必要があるが、このランプは電球の置き換え用として設計されているらしく最初から抵抗が入っているようだ。直接12Vをかけて問題なく駆動した。
アメリカンなどのメータパネル向けで台座がシルバーメッキのリフレクタになっているが、これはこのまま使う。
インジケータのハウジングとしてエーモンのスイッチカバー(写真右)を一緒に購入したが、最終的にこれは使わない方向に。
比較的風雨の影響を受けやすいハンドルバーに付けなければいけないスイッチとは別に、インジケータはメーター周辺などの視認しやすい位置に設置できる。大前提の「穴開け加工(復旧不可能な加工)をしない」最大限まで譲歩して「両面テープで貼り付け」を落としどころとする。
材料ストックの中にあったスチールの汎用ステーを加工して、こんなものを作った。端子部分をカバーするように熱収縮チューブで防水処置済。これを・・・
こんな感じにメータユニットの下に両面テープで貼り付け。この位置ならフォークチューブに干渉せず、ステーをブラックに塗ったのでLEDだけメータから生えているような感じになる。LEDのケーブル側は完全に隠れるのでカバーを作る必要が無いし、風雨が直接当たらないので簡単な防水処置で済む。
配線は左側から手前へをぐるっと回ってスイッチ用ハーネスに伸びている。
あとは両面テープが剥がれないことを祈るのみ・・・。
まとめ
とりあえず一段落といったところ。
実験的
今回はハーネスを自作するところから始めている。車載用の電線ではなく工場などの耐熱耐油仕様のケーブルを使用するなど、アプローチはわりと邪道な感じだが、汎用品をどこまで流用できるのか、問題になるのか(つまりなぜ専用品が必要になるのか)という部分を知りたいという興味もあった。
まだ取り付けたばかりで長期間使用を行っていないので問題が出てくるとしたらこれからだが・・・。
安物買いの・・・
スイッチを3つも交換することになるとは。
やはり確実性を求めるならちゃんとしたところの部品が良さそうだ。
ライトポッドそのものにも・・・
一応、安物ライトなのでライトそのものの精度とかについては期待してなかったが、やっぱり細かいところで雑さが目立つ。
- 点灯すると「ジー」という音がする
- ライトのベゼルと本体の間に隙間があり光が漏れている
音については大なり小なり発振はあるものだが、エンジンを停止しているとけっこう目立つ。エンジンをかけていればそんなに気になる物では無いので様子見。
光の漏れについては本体に防水性がそれなりにあるはずなので、よっぽど水が入るようなことが無ければ様子見か。雨天時の走行を試してみてからか。
てことでしばらく走ってみて不具合が発生するかどうか様子見。